2月1日(金)の配信開始から秀逸な作品として多くのメディアの話題にのぼっている『ロシアン・ドール:謎のタイムループ』。『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』のニッキー役で知られるナターシャ・リオンが主演を務めるNetflixオリジナルシリーズ。ロシアン・ドールとは、中から小さい人形がどんどん出てくるロシアの入れ子人形、マトリョーシカのこと。不思議な人生のループはいつ、どのようにしたら終わるのか、なぜ起こっているのかをひねくれ者の主人公に共感しながら鑑賞したい作品だ。脚本はコメディ映画を手掛けたレスリー・ヘッドランド、コメディエンヌのエイミー・ポーラー、そして、主演のナターシャ本人も携わっている。
◆毎日がリセット、死んでも誕生日の夜に戻り続ける
36歳の誕生日、ビデオゲーム制作会社でコーディングの仕事をしているナディアは、友人宅で自身の誕生日パーティーに出席していた。トイレに行って台所に戻ると、友人はドラッグ入りのタバコをナディアに差し出す。一服やってパーティ会場にいた初対面の男性をお持ち帰りすることに。外に出たところで、道の反対側に行方不明になっていた飼い猫の姿を見つけ、猫を連れ戻すために慌てて通りを横切ろうと道に飛び出したナディアは...。次の瞬間、また先ほどの友人宅のトイレで手を洗っている自分に気が付く。半信半疑でトイレを出て台所に行くと、友人が怪しげなタバコを勧めてきた。ドラッグのせいかと疑いながら友人と会話をするナディアだったが、デジャブのように繰り返されるシーン。そしてまた死んでしまう...。階段から落ちて、地下に落ちて...。何度、自身の誕生日パーティーに参加しても最後には死んでしまい、まるでビデオゲームのように同じ夜を繰り返すナディア。どうしたらこのループを抜け出せるのか。そして、そもそもこのループはなぜ起こっているのか?
◆生き生きとした魅力と複雑な心。シンクロする役者と主人公
繰り返される人生のループに翻弄される主人公ナディアを、ナターシャがコメディタッチで魅力的に演じる本作。少々下品で過激なところのあるナディアだが、ぐいぐいと人を惹きつけるチャーミングな赤毛のニューヨーカーは、東欧系ユダヤ人とイスラエル系ユダヤ人の両親のもとで育ったナターシャと重なって見えるところも多い。
米New Yorker誌は「ナターシャはついに彼女の魅力を発揮できる役を得た」として、彼女の適役ぶりを挙げている。現在39歳の彼女は、6歳で子役デビューを果たし、18歳の時に『Fカップの憂うつ』で初主演。同メディアは、どんな端役でも存在感を発揮していたナターシャだが、見る者をくぎ付けにするこのシリーズを特に高く評価している。
ナターシャの好演ぶりは、米San Francisco Chronicle紙のレビューでも言及されている。同メディアは、NY訛りの英語と、ナターシャの持つ常に新鮮な魅力の「絶妙な組み合わせ」と表する。ナターシャ自身もNY育ちで、デビュー以来、隣人とのトラブルや交通違反など様々な問題が報じられたり、病を患って俳優業を休止するなど、紆余曲折を経て、波乱万丈な人生を歩んできた。『ロシアン・ドール』は、ナターシャのように悩みや浮き沈みを経験する、不安定な現代に生きる人々に寄り添う「心」があると同メディアは指摘。テクノロジーの発達の陰で、私たちが日常的に直面している問題と対処法を暗に提示するシリーズであると述べている。
実は、ナディアの送る1日は完全な繰り返しではない。彼女の選択によって少しずつ変わっていく。同じようだけど少しだけ違う。ナディアは、マトリョーシカの一番奥に入っているものに行きついてループを止めることができるのか。全米批評家サイトRotten Tomatoesで100%の最高評価のお墨付きがついている本作をお見逃しなく!
『ロシアン・ドール:謎のタイムループ』はNetflixにて配信中。作品見どころやレビューなどは海外ドラマNAVI作品データベースをチェック!(海外ドラマNAVI)
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Netflixオリジナルシリーズ『ロシアン・ドール:謎のタイムループ』プレミアイベントにて
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