オトナな中学生のコメディ『PEN15(原題)』。バラ色の学校生活を夢見ていた大親友のコンビだが、現実は甘くなく......。性に目覚める二人の女の子を追った全10話が、2月上旬から米Huluで配信中だ。
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やんちゃな女子の中学校ライフ
電話越しにクラスメイトの噂話で盛り上がるマヤ(マヤ・アースキンによる本人役)とアナ(同アナ・コンクル)。親友の二人は、キャンプの夜に胸が成長した別の女子といった下世話なトピックスで盛り上がっていた。ひとしきり情報交換を終えると、話題は明日からの中学生活へ。きっと人生最良の日になるに違いないと、二人は希望を抱きながら眠りに落ちる。
しかし、マヤを待っていたのは予想外の日々。「校内一醜い女」とのレッテルを貼られた上、好きな男子と大ゲンカをしてしまう。それでもめげないマヤはアナとともに、恋と性への興味、そして大人への憧れを爆発させる。大人たちを赤面させ、時に大人たちに赤面させられながら、学校でも家でもやんちゃ放題。クラスメイトとの掛け合いや学校行事に始まり、ファーストキスの練習、おっかなびっくりの自慰行為まで、ドキドキの中学生ライフが詰まったコメディシリーズだ。
時代設定は2000年で、登場人物もこの時代の空気を反映している。ほぼ同年代に生まれたコメディドラマ『フリークス学園』とコメディ映画『ナポレオン・ダイナマイト』を合わせたような雰囲気、と米Vulture誌は評する。当時のビジュアルと雰囲気を再現しており、ノスタルジーにどっぷり浸れること請け合いだ。当時流行したSNSの「AOL」を通じて性的なメッセージを交換するなど、マヤとアナは禁断の世界を体験する。クラスメイトのオトナな下着をこっそり試着したり、マヤが内緒の行為を家族に見られたりと、かなりドキッとする描写も。
中学時代には誰もがおかしな子供だったものだが、この二人ほど変な生徒は珍しい、と米Arizona Republic紙。極端なマヤとアナを描く本作は青年期の性というタブーを果敢に扱っており、素直なティーンエイジャーの生活を大胆に描写し、ドラマの可能性を広げる作品だ、と同紙は作品に惚れ込んでいる。似た題材ではNetflixに『ユニークライフ』や『セックス・エデュケーション』が揃うが、本作は過激さでそれらを上回るとの評価だ。
30代が中学生役に挑戦
主演のマヤ・アースキンとアナ・コンクルは実際はどちらも31歳だが、大人の背丈のまま13歳役で出演している。この年齢の女子の振る舞いを真に理解しているからこそ可能なキャスティング、とVulture誌は二人の能力を高く評価。本編を観ていると、二人が実際には大人だということを次第に忘れてしまうから不思議だ。歯列矯正具をつけたマヤが脚を組んで座れば、その姿はまさに中学生そのもの。アナも、空想の世界に浸りがちなピュアな少女を、天性の演技力でこなしている。
リアルなのは、本作のクリエイターでもある二人が自分たちの過ごした中学生時代の実際のエピソードを作品に投影しているからでもある。マヤ役のマヤ・アースキンは日系アメリカ人。アジア系のルックスで差別を受けた経験もあるという彼女は、その経験もストーリーに反映している、とArizona Republic紙は紹介する。一方、アナ役のアナ・コンクルは、ファーストキスの思い出を劇中で再現。周囲のクラスメイトは本物の子供が演じているため、大人であるアナとは実際に唇が触れないよう配慮しながらの撮影となった。主役コンビは実生活でも友人同士。実際に出会ったのは大学以降だが、それぞれの中学生活の思い出を持ち寄ることで、やんちゃな二人がもしも中学のクラスメイトだったら、という世界を作り上げた。
タイトルの15がISに見えるような気もする『PEN15』は米Huluで配信中。前述した、童貞高校生が性の指南役を務めるコメディ『セックス・エデュケーション』は、Netflixで視聴可能だ。(海外ドラマNAVI)
Photo:
主演&クリエイターのマヤ・アースキンとアナ・コンクル(左より)
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