【Amazon新作紹介】『The Tick/ティック~運命のスーパーヒーロー~』シーズン2、ファンの期待に応える良質の新章!

まるで昆虫のようなダサダサのスーツに身を包み、隠したつもりの素顔はほぼ丸見え。インタビューされると、うっかり本名を名乗ってしまう――。パワフルだがいま一つパッとしない、そんな正義の味方たちが町を守る『The Tick/ティック~運命のスーパーヒーロー~』に、シーズン2が登場した。4月上旬からAmazon Prime Videoで配信中の新シーズンは、同サイトでの評価は星4.5と、同4.6のシーズン1に続いて極めて好調だ。

ヒーローはクールだって誰が決めたの?

どう見ても安物の昆虫スーツをまとったアーサー(グリフィン・ニューマン)。本職は会計士だが、空気読めない系正義漢ティック(ピーター・セラフィノウィッツ)の相棒をしぶしぶ務めている。シーズン1では宿敵テラー(ジャッキー・アール・ヘイリー)を倒してオランダの国際司法裁判所へ送り込むことに成功。うっかり本名を漏らしたことも相まって、良くも悪くもすっかり町の有名人になってしまった。

このシーズン2では、まだまだいる敵の残党が市民を苦しめる。モンスターを一掃しようとティックは鼻息を荒げるが、一方で貯金の尽きたアーサーは職場の会計事務所に戻りたいと必死。結局ヒーローとの両立は難しく、職場をクビになってしまう。もはやヒーローの道しかなくなる中、ヒーローを管轄する政府機関イージスにより、ヒーローチーム"フラッグ5"の再結成が発表される。敵と闘い続けるには、このメンバーに採用されることが必須だがその見込みは薄く......。殺人依存症のヒーロー、オーバーキル(スコット・スパイサー)と、その相棒でおしゃべりなAI搭載のデンジャーボート(声:アラン・テュディック)など、キャラが立った脇役陣も続投している。

出足好調の新シーズンもヒーローのボヤきが止まらない

好評だった前シーズンからさらに磨きがかかった。フルスロットルになるまでに多少時間がかかったシーズン1に比べ、今シーズンは出だしから絶好調だ、と米AV Clubは高く評価する。一見豪快だが実は神経質なティックと、会計士だけにきちんとしていそうで実は物忘れが激しいアーサーによる凸凹なヒーローコンビが楽しい。ファンの期待を裏切らない、出来の良い新章となっている。

前シーズン同様、ほど良く力の抜けたシーンも健在。今の時代にとってパーフェクトなヒーロードラマ、と米Voxは絶賛。凛としたヒーロー像は一切なく、代わりに先代作品へのパロディなどに溢れている。とあるシーンでは、スーパーマンをもじった「スーペリアン」なるヒーローが登場し、自分のアクションにケチをつけるTVコメンテーターにイライラを募らせるといった具合だ。度量の小さいがっかりヒーローに思わず口許が緩んでしまう。

不合理なだけじゃない、キャラの成長が生み出す絶妙なカタルシス

そうした不合理なユーモアだけでなく、カタルシスを感じさせるストーリーテリングも魅力。この2つのバランスが素晴らしい、とAV Clubは称賛。ぶつぶつ呟くだけだったアーサーは時折深遠なセリフを吐くようになり、以前よりも賢く頼り甲斐のあるキャラクターに成長した。ティックもヒーローらしさが板につき、町の住民から頼られる存在になってきている。

さらにアーサーは、姉ドット(ヴァロリー・カリー)とともに、いまだ父の死をトラウマとして引きずっている。幼少期の過酷な思い出を絶ち、将来への道を切り開こうとする姉弟たち。ヒーローとして活動することで過去を忘れようとするアーサーに、ドットは理解を示すことができるのか。それぞれの揺るぎない信念の行く末を、シーズン2全10話を通じて目撃してみてはいかがだろう?

『The Tick/ティック~運命のスーパーヒーロー~』シーズン1&2は、Amazon Prime Videoで配信中。(海外ドラマNAVI)

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『The Tick/ティック~運命のスーパーヒーロー~』