高校生版『LOST』?大人の消失、町の隔離...始まるサバイバルに挑む『ザ・ソサエティ』

海外ドラマの金字塔『LOST』のファンだったという方に紹介したいのが、Netflixオリジナルの新作ミステリ『ザ・ソサエティ』だ。舞台は、外界から突如隔離されたアメリカの田舎町。謎の解明とサバイバルに高校生たちが挑む。

保護者が一斉に消失

アメリカ東海岸ののどかな田舎町ウェストハム。卒業を控えた高校生たちは、残り少ない学校行事を惜しむようにキャンプへ出発する。主人公のアリー(キャスリン・ニュートン『ビッグ・リトル・ライズ』)にとっては、片想いのウィル(ジャック・コリモン『Endless Light(原題)』)の興味を惹くためのおそらく最後のチャンスだ。

ところが深夜に差しかかった頃、嵐のためキャンプ地へ到達できないと判明し、バスは学校へと帰還。生徒たちを降ろすと、バスは夜の闇へと消えてしまう。深夜の校庭に取り残された生徒たちは、迎えを求めて親たちに電話するが、奇妙なことに誰の親とも連絡がつかない。連絡手段の途絶に加え、壁に忽然と浮かび上がっては消える聖書の一節、気づかぬうちに消え去った街の悪臭など、えも言われぬ異常な事態が一堂を襲う。

翌朝、元生徒会長のカサンドラ(レイチェル・ケラー『レギオン』)はウィルたち男子生徒と街の調査へ。すると、街の外へ繋がるありとあらゆる道と鉄路が森の中に埋もれ、外界から隔離されていることが発覚。生徒たちの間にパニックが広がるなか、街に残された食料の奪い合いが早くも勃発し...。

高校生版『LOST』

まるで「大人たちのいない『LOST』」、とLos Angeles Times紙は表現。街全体を包む謎めいた雰囲気と高校生たちの間に広がる互いへの不信感は、同シリーズを彷彿とさせる。大人消失と街の隔離というミステリも壮大で、10話にわたるシリーズの緊張感を維持するのに十分だ。野心的なテーマ、才能あるキャスト、そして豊富なエピソードを備えた作品だと同紙は述べている。

さて、超常的な事態に戸惑いがちだった高校生たちも、時間がたつにつれて目の前の現実を直視するようになる。メンバー一人ひとりの貢献をFinancial Times紙は紹介している。元生徒会長のカサンドラはリーダーシップを発揮し、生徒たちによる小さな自治集団のまとめ役に。一方、クリスチャンのヘレナ(ナターシャ・リュー・ボルディッゾ)は、荒れ果てた教会を再興し、みなに活力を与えようと試みる。ほかに探索班を志願するウィルたちなど、生徒それぞれの役回りとパワーバランスを楽しむことができる作品だ。

メッセージ性豊かなミステリ

Netflixオリジナルシリーズといえば、自殺という衝撃的なテーマを扱い社会現象にもなった『13の理由』など、踏み込んだメッセージを訴える秀作も多い。本作も例外でなく、議論を呼ぶようなストーリーラインを意図的に盛り込んでいる、とLos Angeles Times紙は見ている。ミステリ解明というメインストーリーに加え、薬物中毒、妊娠、家庭内暴力など、考えさせるような出来事がストーリーに注意深く添えられている。さらに、生徒たちの自治組織が直面する課題も、視聴者への問いかけの材料に。権力とは何か、また、公共の利益のために個人の利益をき損することは許されるのかなど、正解のない深い問いを観る者に静かに投げかけている。

劇中の生徒たちが良心と本能の狭間で揺れる様子も興味深い。崇高な理念と邪悪な欲望の間で板挟みになっている、とFinancial Times紙は表現。明晰な判断と愚かな混乱を繰り返す生徒たちに同情し、まるで私たちのようでもある、と同紙はシンパシーを示している。

庇護者の消えた街で、高校生たちが自由の重みに戦慄するNetflixオリジナルシリーズ『ザ・ソサエティ』は独占配信中。(海外ドラマNAVI)

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Netflixオリジナルシリーズ『ザ・ソサエティ』