米ロサンゼルスにて5月20日(月)から23日(木)の間、LAスクリーニング2019が開催されている。米5大ネットワークの新作ドラマについては先日当サイトでもお伝えした通りだが、現地時間5月21日(水)に行われたCBS関連(CBS、CBS All Access、CW、Showtime)の試写作品について紹介しよう。
目次
『The Unicorn』
各話30分のシットコム。1年前に妻を亡くしたウェイドは、父親思いのティーンエイジャーの娘2人と静かに暮らしてきたが、友人たちからそろそろ新たな出会いを求めるべきだと説得され、半ば強引な形でデートアプリに登録したところ、多くの女性からレスポンスが。実はウェイドは"ユニコーン"、つまり定職があり家庭的で、さらにやもめ(結婚生活を送った経験がある上に、本人に非のない理由でシングルになった)という、女性たちにとって理想的な相手だったのだ。自分がそうした貴重な存在であることを知った彼は、少しずつ新たな愛へ歩み出そうとするのだが...というストーリー。
"ユニコーン"な主人公ウェイドを演じるのは、『JUSTIFIED 俺の正義』『ヘイトフル・エイト』のウォルトン・ゴギンズ。親友たち、娘たちなど共演者の配役も絶妙で、息の合った軽妙なストーリー展開で楽しませる。シットコムではあるが、ファミリードラマの要素もしっかり入っており、コメディよりもドラメディと呼ぶべきか。製作総指揮には、『アントマン』シリーズのペイトン・リードや『Divorce/ディボース』のアーロン・カプラン、『コミ・カレ!!』のパトリック・キーンレンが名を連ねる。CBSで2019年秋からの放送が決定している。
『Tommy』
『Dr.HOUSE ―ドクター・ハウス―』『BULL/法廷を操る男』のポール・アタナシオ企画、『ザ・ソプラノズ/哀愁のマフィア』『ナース・ジャッキー』のイーディ・ファルコ主演。NY市警の高官からLA市警初の女性署長に抜擢された女性が主人公の刑事ドラマ。
アビゲイル・トーマス(通称トミー)は、自分を指名した市長の思惑やLA市警の流儀にとらわれず、確固たる意思をもって弱者のために立ち向かう。その一方で娘と疎遠で、孫娘は自分の名前すら知らないといった問題も抱えており、完璧ではないキャラクター造形がアタナシオ作品らしいと言えるかもしれない。CBSで2020年前半の放送開始予定。
『FBI: Most Wanted』
全米で昨年9月から今月14日まで放送され、同シーズンの新作ドラマとして全ネットワークで最大のヒットを飛ばした『FBI』のスピンオフ。バックドア・エピソードとして4月に放送された『FBI』第18話が再編集された。『FBI』同様、手掛けるのはヒットメイカーのディック・ウルフ(『LAW & ORDER』『シカゴ』シリーズ)。
本作は、FBIの「最重要指名手配犯(Most Wanted)リスト」に載った凶悪犯を追跡、確保する、逃亡犯特別捜査班の活躍を描く。『FBI』が二人の捜査官コンビが主人公であるのに対し、こちらはチームで捜査に当たる。ウルフ作品らしく、迫力あるアクションを効果的に交えながらスピーディにストーリーが展開。CBSで2020年前半の放送開始予定。
『Carol"s Second Act』
『Hey!レイモンド』のデブラ役でエミー賞を2度受賞したパトリシア・ヒートン主演のシットコム。結婚して子育てをし、教師として長年働いてきたキャロルが、子育てが終わり離婚したことをきっかけに、50歳にしてかつての夢、医師になるために医療インターンとなって人生の第二幕をスタート。
初対面でインターン仲間にチーフレジデントと間違われたり、誤ってコードブルーの紐を引いてしまったりと失敗も多いけれど、年の功と熱意、元教師としての経験も生かしながら日々奮闘していく。ちょっとクセのある医者役で『ツイン・ピークス』のカイル・マクラクランも出演。
パイロットでメガホンを取ったのは、『ママと恋に落ちるまで』のパメラ・フライマン。製作総指揮として、主演のパトリシアのほか、『The Unicorn』を手掛けた『Divorce/ディボース』のアーロン・カプランなども参加している。CBSで2019年秋からの放送が決定している。
『Evil』
『グッド・ワイフ』『The Good Fight/ザ・グッド・ファイト』で知られるロバート&ミシェル・キング夫妻が今回手掛けたのは、「善」でなく「邪悪」! 女性医心理学者と研修中の司祭が、悪魔祓いが必要かもしれない事象に対し、それが人間の仕業なのか、あるいは超常現象(悪魔の仕業)なのかを見極めるという、新たな『X-ファイル』とも言うべき作品だ。
4人の娘を持つシングルマザーで心理学者のクリステンは、検察側として犯罪者の精神分析を行っていたが、ある日、3人家族を惨殺したにもかかわらずその記憶がないと主張する患者がセッション中に豹変したことから、彼の鑑定結果をめぐり検察と喧嘩別れすることに。そんな彼女の前に司祭見習いのアコスタが現れ、協会に寄せられる悪魔祓いの依頼の数々が正当かを見極めるために力を貸してほしいと頼まれる。
出演は、『ウエストワールド』のカーチャ・ヘルバース、『ルーク・ケイジ』のマイク・コルター、『パーソンズ・オブ・インタレスト』のマイケル・エマーソンなど。CBSで2019年秋からの放送が決定している。
『Nancy Drew』
原作は、1930年に生まれた、少女探偵ナンシー・ドリューが主人公の児童書シリーズ。メイン州ホースシュー・ベイで暮らすナンシーは、幼い頃から謎解きが好きな女の子。しかし、母親が突然死んだことから不安定になる。ダイナーでウェイトレスとして働く彼女はある日、一人の女性の死亡事件に居合わせたことから容疑者として疑われ、汚名を晴らすために独自で捜査に乗り出すのだが...。
ナンシーを演じるのは、新星ケネディ・マクマン。青春ミステリーとしての要素のほか、ナンシーの同僚役などで同世代の若者が登場するほか、彼らの親世代役としてかつての青春スターが数多く起用されたりと、同じくCWの『リバーデイル』を彷彿とさせる作風。『ゴシップガール』『CHUCK/チャック』『ミディアム 霊能者アリソン・デュボア』などのスタッフが、超常現象要素もあるストーリーをまとめ上げている。米CWで2019年秋からの放送が決定している。
『Broke』
『NCIS ~ネイビー犯罪捜査班』のアビー・シュート役で知られるポーリー・ペレット主演のシットコム。彼女演じる、幼い息子を抱えたシングルマザーのジャッキーと、その親戚のハチャメチャな同居生活を描く。
ジャッキーのもとにある日、5年間会っていなかった妹夫婦が現れる。妹のエリザベスと裕福な夫ハビエルはある事情でいきなり無一文となったのだった。子育てや仕事を女手一つでやっていたジャッキーは、いきなり妹夫婦、さらには彼らの忠実なる召使いや犬と共同生活を送ることに。
妹夫婦に扮するのは、『コミ・カレ!!』のナターシャ・レジェロと『ジェーン・ザ・ヴァージン』のハイメ・カミル。製作総指揮を務めるのは、『ウィル&グレイス』のアレックス・ハーシュラッグ、『ジェーン・ザ・ヴァージン』のジェニー・スナイダー・アーマン、『アグリー・ベティ』のベン・シルヴァーマンなど。CBSで2020年前半の放送開始予定。
『Blood & Treasure』
古代エジプトの遺跡で起きた強奪事件を追う元FBI捜査官と女泥棒のコンビの活躍を描く冒険アクション。企画・製作総指揮・脚本を手掛けるのは、ドラマ版『リミットレス』や『ジェリコ ~閉ざされた街~』のマシュー・フェダーマンとスティーヴン・スカイア。
様々な過去がある複雑な間柄の凸凹コンビを演じるのは、『スリーピー・ホロウ』のマット・バーと『ザ・ブレイブ:エリート特殊部隊』のソフィア・パーナス。CBSで今月21日から放送中。
『The Loudest Voice』
全米でベストセラーとなった伝記を元に、アメリカの政治を左右する存在とまで言われるニュース専門放送局、FOX NEWSの創始者ロジャー・アイルズの晩年を描く全7話のリミテッドシリーズ。『ハウス・オブ・カード 野望の階段』『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』『KIZU-傷-』『ゲット・アウト』などのスタッフが集結。
出演は、『グラディエーター』のラッセル・クロウ、『ジプシー』のナオミ・ワッツ、『夜に生きる』のシエナ・ミラー、『博士と彼女のセオリー』のサイモン・マクバーニー、『宇宙探査艦オーヴィル』のセス・マクファーレンなど。Showtimeで6月30日から放送予定。
※クレジットは最終決定ではなく、変更される場合あり。
作品の詳しい紹介はコラム「LAスクリーニング2019作品紹介」で掲載予定。明日のLAスクリーニング2019・スタジオ速報ニュースもお楽しみに!(海外ドラマNAVI)
Photo:
『Broke』
『Evil』
ラッセル・クロウ ©FAM008/FAMOUS