『ゲーム・オブ・スローンズ』ミランダ主演『The Spanish Princess』異国の王宮で惑う若き姫君の運命は?

全8話のミニシリーズ『The Spanish Princess(原題)』は、陰謀と策略の政治ドラマ。スペインからイギリスに渡った姫君が、敵対者溢れる王宮で強かな恋の駆け引きに奔走する。『ゲーム・オブ・スローンズ』ミランダ役のシャーロット・ホープを主役に起用し、米Starzで5月上旬から放送中。

海を越えた政略結婚に、思わぬ落とし穴

15世紀にスペイン王国を成立させ、絶大な権力を誇ったフェルナンド王と妃のイサベル。彼らの娘として生を受けたキャサリン・オブ・アラゴン(シャーロット・ホープ)は、若くしてイギリスに渡る。英王太子アーサー(アンガス・イムリー)との政略結婚を果たすためだ。荒れ狂う海を越えて渡英したキャサリンに対し運命は冷たく、アーサーの死により婚姻生活はわずか5カ月のうちに終わりを告げる。

これを好機と見たのがアーサーの祖母マーガレット・ボーフォート(ハリエット・ウォルター)だ。異邦人のキャサリンをかねてから敵対視していた彼女は、キャサリンを王宮から追放しようと画策。異国の地で唯一の拠り所とも言える夫を亡くし、弱い立場に追い込まれていたキャサリンは狼狽する。しかし彼女も負けてはいなかった。王位継承権がめぐってきたアーサーの弟ヘンリー(ルアイリ・オコナー)に目をつけると、まだ若い彼に色仕掛けで接近。王妃の座に再び返り咲こうと動き出す。

王宮を駆け巡る策略の数々

形成を立て直そうと躍起のキャサリンを中心に、宮殿内には無数の謀略が行き交う。駆け引きと陰謀はノンストップ、とLos Angeles Times紙は表現。ただならぬ緊張感に包まれた本作は、歴史ドラマである以上に政治スリラーといった趣。男女問わず王族たちが、常に騙し討ちのチャンスを窺っている。

腹黒い策士たちのうごめく王宮を、Hollywood Reporter誌は「毒ベビの巣窟」と表現。王の祖母マーガレットの支配が隅々にまで及ぶ世界に足を踏み入れたキャサリンを苦難の毎日が襲う。アーサーの死後、マーガレットの関心ごとといえば、キャサリンの身に世継ぎが宿っているか否か。王位継承者を懐胎しているとあれば、キャサリンの立場は一気に逆転する。夫を亡くし悲しみに暮れるキャサリンをマーガレットは廊下で待ち伏せし、胸に掴みかかって妊娠の兆候を検査。対するキャサリンは蔑みの視線で迎える。互いへの敵対心を隠そうともしない二人の攻防に息を呑む。

孤独の麗人

主演を務めるシャーロットは、『ゲーム・オブ・スローンズ』シーズン3から6では、ラムジーの愛人ミランダを演じていた。『The Spanish Princess』では高慢さと活気、そして王妃としての壮麗さを醸し出している、とLos Angeles Times紙。王宮に住むほかの人々よりも決して血筋が優れているわけではないが、それでも対等に渡り合ってゆく。

太陽の降り注ぐスペインから雨の絶えないイングランドに移り、まるで場違いな人間となってしまった、とHollywood Reporter誌は苦難の人生に同情。唯一の癒しのバスタイムには高価なハーブをこれでもかと浴槽に投じるが、文化の違いからか、そんな些細な気晴らしさえ王室関係者とのトラブルの種になってしまう。ちなみにシャーロットはイギリスの役者だが、大学時代にスペイン語を習得している。かすかなスペイン訛りを交え、異国の地で不安を隠しながら生きる女性像に真実味を加えている。

際限ない応酬に固唾を吞む『The Spanish Princess』は、米Starzで放送中。シャーロット出演作『ゲーム・オブ・スローンズ』は、日本からもHuluおよびAmazon Prime Videoなどで視聴可能。(海外ドラマNAVI)