Netflix打ち切り決定の判断が早すぎる?更新・打ち切り決定のメカニズムとは

動画配信サービス大手のNetflixは次々とオリジナルコンテンツをリリースしユーザーを楽しませているが、一方でそれらのオリジナルシリーズが近年は次々と打ち切られていることも事実。その決断が早すぎるのではないかと、米TV Lineが提言している。

先月初め、Netflixはホラーミステリー『チェンバース:邪悪なハート』を1シーズンで終了させることを発表。「もう?」もしくは「そんな作品あった?」と思った人も少なくないはず。また、先月にはドリュー・バリモア主演のコメディシリーズ『サンタクラリータ・ダイエット』がシーズン3をもって打ち切られることも決まった。

約1年前に米VultureがNetflixの特集を組んだ際に報じていたが、Netflixの更新や打ち切りの決定は、主に配信開始日から4週間以内に最新シーズンを見終えた人の人数に基づいているのだという。『サンタクラリータ・ダイエット』はシーズン3が3月29日にリリースされ、4週間後の4月26日に打ち切りが決定。米FOXで打ち切られた後、Netflixに救済された『LUCIFER/ルシファー』は新シーズン配信開始から4週間後にシーズン更新が決定したが同じタイミングで終了も決まった。

しかし、この4週間というのは本当に最適な期間と言えるのだろうか。

私たちが「新しい作品やシーズン」の存在を知ったとしても、その作品がすぐにNetflixのホーム画面に表示される保証はない。よほど見たいと思った場合はタイトルを検索することもあるかもしれないが、Netflixは私たちが最短距離で作品を見つけ出すことよりも、画面をスクロールして様々な作品の名前や予告を目にして、最新作に限らずいろんな作品に興味を持ってもらうことを望んでいるため、「新しい作品」に辿り着くまでには時間がかかる仕様になっているのだ。

リリース前からその作品が始まることを楽しみにしていた場合を除き、日常的に配信開始から4週間以内で1シーズンを見終えることは必ずしも簡単なことではないはずだ。また、「4週間以内に見ないと打ち切られてしまう」というようなプレッシャーを感じさせることは、動画配信サービスの最大のメリットとも言える「見たいものを見たい時に」というコンセプトを崩すことにもなる。TV放送では原則、少なくとも13週間かけて視聴者数を把握し更新を決断している。動画配信においても、視聴者は1つの作品だけを見ているとは限らないのだから、現実的に考えて少なくても6週間の猶予を与えてもらいたいところだ、とTV Lineは主張する。

この記事内に設けられていた「Netflix作品の1シーズンを見終わるのにどのくらい時間をかけているか?」というアンケート投票でも、「1~3週間以内」と答えているのは43%程度で、「1カ月以上」が約27%、「いろんな作品をつまみ食いするため、急いで見終わることはない」という意見が約29%を数えた。

この1年間でTV Lineが更新や打ち切りを伝えたNetflixオリジナルコンテンツ31作品のうち、(連続して終了が決定されたマーベル5作品を1つと数えたら)74%が更新という結果だった。コンテンツ部門最高責任者のテッド・サランドスは更新率80%を目指していると発言しており、今後どのようにしてその数字を上げていくのか、注目していきたい。

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『サンタクラリータ・ダイエット』
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