「ロッテン・トマト」の2019年上半期ベスト9作品 批評家支持率100%の秀作たち

アメリカの大手批評サイト「ロッテン・トマト」が、2019年上期のベスト・ドラマを発表している。ランキング形式で60を超える佳作を選出しているが、特に上位9点には、批評家からの支持率が100%を記録する秀作が揃った。驚きの高スコアを獲得したタイトルを紹介しよう。

評論家納得の作品ランキング

2019年上期に放送がスタートした作品のうち、批評家の支持率が100%となったのは以下の9作品だ。スコアはいずれも満点の100%であるため、批評家による投票数が多いものを上位にランク付けしている。

1位:『Fleabag フリーバッグ』シーズン2(米Amazon Prime Video/日本でもAmazon Prime Videoで配信中)
2位:『バリー』シーズン2(米HBO/日本ではAmazon Prime Videoでシーズン1を配信中)
3位:『Better Things(原題)』シーズン3(米FX)
4位:『ワンデイ 家族のうた』シーズン3(米Netflix/日本でもNetflixで配信中)
5位:『A Discovery of Witches(原題)』シーズン1(米AMC)
6位:『トゥカ&バーティー』シーズン1(米Netflix/日本でもNetflixで配信中)
7位:『Broad City(原題)』シーズン5(米Comedy Central)
8位:『ブルックリン・ナイン-ナイン』シーズン6(米NBC/日本ではシーズン1から4までをNetflixで配信中)
9位:『Documentary Now!(原題)』シーズン3(米IFC)

ちなみに58位には、ベストセラー「人生がときめく片づけの魔法」の著者、近藤麻理恵さんのリアリティ番組『KonMari 〜人生がときめく片づけの魔法〜』(米Netflix/日本でもNetflixで配信中)がランクイン。海外レビュアーの胸をときめかせ、批評家スコア81%を獲得した。

粒ぞろいの各タイトル

 

1位の『Fleabag』にいたっては、投票に参加した75人の批評家全員が肯定的な評価を捧げるという快挙を達成。観客の評価も97%ときわめて好評だ。ロンドンで破滅的な暮らしを送るエネルギッシュな女性の毎日を、シニカルに描くシリーズ。ドラマ内で不幸な女性を演じる脚本・主演のフィービー・ウォーラー=ブリッジは、実は『キリング・イヴ/Killing Eve』シーズン1の脚本家にも抜擢された才能豊かな人物。

2位の『バリー』シーズン2は、引退希望の殺し屋が泥沼で苦しむコメディ。殺し屋だったバリーは、シーズン1で役者志望として演劇にのめり込んでいった。今期はファッション業界に転向し、殺し屋稼業との二重生活はますます緊迫することに。

 

4位はキューバ系移民の賑やかな一家を描いた『ワンデイ 家族のうた』シーズン3。1975年から1984年まで米CBSで放送されていた心温まるコメディ作品『One Day at a Time(原題)』のリメイク。今年3月にNetflixがシーズン3で打ち切りを決定していたが、米ケーブル局のPopが全13話となるシーズン4を発注。Popで放送された後に米CBSでシーズン4が放送される見通しだ。

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6位『トゥカ&バーティー』は、鳥人間たちが織りなす愉快な日常を描いたアニメ作品。いかにもアメリカらしい鮮やかな色彩が楽しい。8位『ブルックリン・ナイン-ナイン』は、NYブルックリンの99分署を舞台に、頭の回転は速いが大人になり切れないお調子者のジェイク・ペラルタ刑事を中心に、変わり者の同僚たちが珍事件に挑む姿が描かれる。シーズン7への更新も決定している人気作だ。

視聴者の評価は?

「ロッテン・トマト」については、ときおり批評家のスコアと観客の好みとの乖離が指摘されることがある。2017年の映画『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』は、批評家スコアが91%と好評価を記録したものの、上映後の観客の評価は44%という低い数字に留まった。反対に2018年のマーベル映画『ヴェノム』では、批評家スコアが29%と「ロッテン(腐っている)」判定を受けたものの、観客の81%が作品を支持している。

今回上位にランクインした作品については、視聴者によるスコアもおおむね6割から9割以上となっており、幅広い層の支持を受けたものが揃った。強いていうならば9位の『Documentary Now!』の視聴者スコアが57%とやや低い数字だ。こちらは、ドキュメンタリー番組の皮を被ったコメディ・シリーズ。ノンフィクション作品のパロディというスタイルが批評家には受けたが、視聴者の反応は今ひとつだった模様。批評家から高い評価を受けても、必ずしも商業的な成功には結びつかないところがドラマ製作の難しさでもある。

ジャンルとしては9作品中8作品がコメディとなっており、ジャンルの人気が際立つ結果となった。ひとくちにコメディと言っても、冷淡な笑いが漏れる『Fleabag』からシングルマザーへの応援歌とも言えるシットコム『ワンデイ 家族のうた』までさまざまだ。今年後半も、豊かな顔ぶれのラインナップが海外ドラマライフを盛り上げてくれることを期待したい。(海外ドラマNAVI)

Photo:

Netflix『KonMari ~人生がときめく片づけの魔法~』
Amazonオリジナルシリーズ『Fleabag フリーバッグ』© 2016 Amazon Studios
Netflix『ワンデイ -家族のうた-』©Ali Goldstein/Netflix
『Documentary Now!』© Rhys Thomas/IFC
『A Discovery of Witches』© Sundance Now