ケヴィン・コスナー主演ドラマ『イエローストーン』、“カウボーイ一家の物語”から進化!

家族の牧場を守るため、土地を狙う不動産業者たちとの荒々しいバトルに臨む。まるで西部劇から抜け出したかのようなカウボーイが魅力の『イエローストーン』がシーズン2になって帰ってきた。米Paramount Networkが7月中旬から放送している。

21世紀の西部劇

単独の牧場としてはアメリカ最大の広さを持つともいわれる、モンタナ州のイエローストーン牧場。その土地は、常に人々に狙われ続けてきた。牧場を所有するダットン家にとって、あの手この手で土地を奪おうとする輩は頭痛のタネ。

そんな強欲な相手から土地を守るのが、一家を率いるジョン(ケヴィン・コスナー)の使命だ。愛馬の上でウエスタンハットを被ったその姿は、まるで現代のカウボーイ。シーズン1では、ゴルフ場建設を進める不動産デベロッパー(ダニー・ヒューストン)や敷地内に住むネイティブ・インディアンの首長、トーマス(ギル・バーミンガム)などを相手に、拳と銃による荒々しい闘いを繰り広げてきた。

昨シーズンでは予想外にもろい一家の人間関係が危機を生んだが、今期は息子のケイス(ルーク・グライムス)がジョンを頼もしくサポート。気難しい父との交流を深めながら、イエローストーン牧場を虎視眈々と狙う勢力から一家を守る。

人間ドラマに幅と深み

前期までの『イエローストーン』は、おもに家族の人間ドラマに焦点を当ててきた。シーズン後半ではジョンを襲ったある苦難をきっかけに、家族の心が散り散りに。一家の心の動きを中心にストーリーの波を生み出してきた。

今回のシーズン2では、牧場の労働者などから幅広い人物にまでこの枠を広げ、これまでよりも多彩な物語が語られる。これについてIndieWire誌は、フレッシュな空気が感じられると好感。泥棒から牧場の使用人に転身したジミー(ジェファーソン・ホワイト)は前期でも存在感を放っていたが、今期では牧場運営の一端を担う重要人物として、頼り甲斐のあるキャラクターに成長を遂げている。

新キャラクターのカウボーイ(スティーヴン・ウィリアムズ)も注目の人物のひとりだ。カウボーイ然とした風貌から、ずばりそのままの呼び名をつけられたという変わった人物。興奮状態の牛の目の前でポーカーをプレイし、無謀なシーンを繰り広げる。エピソードのなかでもっともおいしい場面だと米Screen Rantは述べ、その存在感を大きく評価している。

苦悩のストーリーに新たな作風

本シリーズは人間が生み出す数々の痛みを扱っており、そうした場面は観ていて楽しい、と米IndieWireはコメント。ダットン家は誰もがひれ伏すほどの土地と財力を持った一族だが、だからこそその内外にはドロドロとしたドラマが渦巻く。果てしない権力をめぐり、些細ないさかいから壮大な対立までが勃発。いろいろなことができてしまう設定のため、少し詰め込みすぎの感すらある、とは同メディアのちょっとした苦言だ。

ハードボイルド一色だった従来のトーンとは異なり、今回からは断片的にユーモアが導入されている。前述の頼もしい使用人ジミーは、職務をこなそうと必死になるあまり、大切な家畜の牛に深々とエルボーを食らわせてしまうという失態も。これまでのテンポとの違いにScreen Rantはやや違和感を覚えたようだが、シリアス一辺倒だったシリーズに新しい風が吹き込まれることとなったのは好ましい変化と言えるだろう。

ますます充実の脇役陣がケヴィン・コスナーの渋さを引き立てる『イエローストーン』は、米Paramount Networkで放送中。(海外ドラマNAVI)

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『イエローストーン』
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