ベネディクト・カンバーバッチがクリスマスにイライラすることとは!?『グリンチ』インタビュー

『SHERLOCK/シャーロック』でブレイクし、マーベル映画『ドクター・ストレンジ』などで主演している人気英国俳優ベネディクト・カンバーバッチ。彼が主人公の声を演じたイルミネーション・エンターテインメント作品『グリンチ』の制作秘話を語った。

イルミネーション・エンターテインメントとは、『ミニオンズ』『ペット』『SING/シング』といった大ヒット作を作り続けてきたアニメーション・スタジオ。現在、続編となる『ペット2』が公開中だ。

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2018年全米興収ランキング第6位、全米興行ランキング初登場ナンバー1を獲得した本作は、世界中で愛されている物語「グリンチ」を映画化。自前の緑の毛皮が自慢のグリンチは、村の人々に意地悪をすることが楽しみという超ひねくれ者。そんな彼が世界で一番嫌いなものとは!? 主役のグリンチはもちろん、ひねくれる前のつぶらな瞳が超キュートな幼少期のベイビーグリンチ、グリンチに献身的な愛を捧げる愛犬マックスらに魅了される。そんな愛しきキャラクターたちとキラキラと美しく心躍る映像で、ほっこりと心が癒されること請け合い!


――『グリンチ』はとても笑える映画でありながら、切ない部分もありますが、どのようにこの独特なグリンチを見つけ出したのですか?

それは僕の手柄じゃなくて、脚本家や監督、プロデューサーのおかげなんだ。この役を演じるにあたって、家族やアニメーションに対してこんなにバラエティに富んだことを描けるキャンバスを与えられたことは素晴らしい。それに、人々に愛されているこのキャラクターは、一般的に意地悪なことで有名だけれど、そうなったことへの理由も描かれているんだ。さらに、彼に対する思いやりもある。クリスマスの時期になるとどうして彼はあるがままに振る舞うのか、その理由は胸が張り裂けるものだよ。メッセージとしては二つあって、まず、クリスマスが単なる物質主義に関連したことだらけだと僕らは信じるべきではないということ。そして、憎しみや怒りに満ちた人も受け入れるべきということなんだ。

――グリンチにもいいところがありますよね。

そうだね。僕は彼がこんなにも焦ってイライラしているところがとても気に入ってるんだ。僕らはグリンチの意地の悪さにスリルを味わうべきだよ、それはとても面白い。

――グリンチはイギリス人っぽいと思いますか?

そう、ちょっとイギリス人っぽいね。僕が考えるに、彼は風変わりなイギリス人の気取った態度を取っているね。おそらく、僕がキャストされた理由の一つは、僕が気難しくて、人付き合いが苦手な役柄を演じていることが多いからだろう。

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――そもそもグリンチのクリスマスに対する嫌悪や不信感に共感できますか?

まったく同じような気持ちが芽生えることはないね。かわいそうな孤児だったグリンチに比べて、子どもの頃の僕には幸せな思い出がある。僕が嫌悪しているのはクリスマス商戦でたくさんのプラスチックを使って包装することなんだ。それは使われなくなった時にどうなるのかを考えるとイライラしてしまう。そこが、僕がグリンチのようになるところだね。それから、僕は以前クリスマスの時期にお店で働いていたから同情するけど、カセットテープの担当で何度も同じ曲を繰り返し再生させる仕事をしていると、かなりのグリンチ状態になるよ(笑) でも、お店の中にいたみんなで一緒になって、かなりはしゃぎまくったね。とても楽しかった。クリスマスの時期には、人間の行動の良い事も悪い事も見られる。

――製作スタッフから「ぜひグリンチを演じてほしい」と言われた時、不安はありましたか?

「この役を演じるのにぴったりなのは君だが、どう思う?」と言われたんだ。僕はこの人たちとなら一緒にやっていけると思った。過去にも、同様のキャラクターを演じたことがあったからね。でも、その後で「我々はただ君の声が好きなんだ」と聞かされた。だから言ったんだ。「グリンチはアメリカ人だよね」って。それでも彼らは「君の声がとても気に入っている」と言うので、僕はちゃんと断った。「『グリンチ』を英国風にするならこの仕事はやらない」ってね。彼らは僕が少し変なアクセントでやり通すことを心配していたと思う。僕はすでに『8月の家族たち』や『ブラック・スキャンダル』でアメリカ人を演じていたから、ボストンのアクセントを経験していた。だから、アメリカのアクセントで演じられることは証明済だったけど、それでも彼らはアクセントのことでナーバスになっていたね。

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――ヘレン・ミレンが『モンスターズ・ユニバーシティ』で声優の仕事をする時、ドレスアップして、ハイヒールを履くと言っていましたが、あなたは『グリンチ』を演じる時に何か特別な衣装は身につけましたか?

僕は何も着なかった。イヤホンから下は何もね(笑) きっといい記事のネタになるね(笑) でも、僕はそういったものが何もいらないし、必要なかったんだ。ハイヒールは僕の声にかなり独特な影響を与えるけれど、グリンチは緑色の裸足でパタパタと動き回る必要があるんだ。僕は裸足で歩くのは慣れていたし、足の裏に靴以外のものを感じるのが好きなんだ。天気によっては服を少し脱いで、Tシャツとズボンだけを着ていたよ。でも特別な衣装はしていないね。

――マイクしかない収録スタジオにこもるメリットはありますか?

とても開放感があるんだ。バミリ(人の立つ位置やマイクを置く場所を示す目印)もなければ、衣装もないし、シーンごとの繋がりを気にする必要もない。他の俳優や時間と空間を必要とする技術的なことに罪悪感を抱くことなく、その部屋を独り占めにして一息つくこともできる。今までとまったく違う仕事のやり方で、想像力がたくさん必要になるし、その挑戦にとてもやる気を感じたね。

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――声の仕事をした役者から、声の仕事はこれまでで最高の仕事だとよく聞きます。あなたは柔軟性があるから声の仕事はとても楽しめたと発言されていましたね。

そうなんだ。それが楽しむための現実的な理由なんだけど、声の仕事はとても新鮮で最高なんだ。他の芸術とは異なるし、自由がたくさんある。それに、部屋には他の俳優がいないけれど、監督と製作チームとは深い仲間意識があるんだ。他の芸術作品の場合と同じように、それは小さな家族のようなものだね。

――ところで、あなたの女性ファンが自分のことを"カンバービッチ"と呼んでいましたが、今は新しい呼び方ができたそうですね。

今は"カンバーコレクティブ"に変わってる。ファンが名づけただけで、僕の提案じゃないけどね。"カンバービッチ"を初めて聞いた時、ちょっと楽しそうで、不快にはならなかった。イギリス人が「ファンはみんなカンバービッチだ」って言うのは面白い。だから、僕は彼女たちがしたことを嬉しく思うね。

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『グリンチ』(発売・販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント)のブルーレイ&DVDは好評リリース中。
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『グリンチ』
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