Appleのリチャード・ギア主演ドラマ『Bastards』がお蔵入り!?

イスラエル独立以前の1941年に結成されたテルアビブのユダヤ人自警団パルマッハを描き大ヒットとなったドラマシリーズ『Nevelot(原題)』。この作品を元に、リチャード・ギア(『プリティ・ウーマン』『冷たい晩餐』)主演で送るアメリカ版リメイクドラマが、残念なことにお蔵入りになったことが分かった。米Hollywood Reporterなど複数のメディアが報じている。

『Bastards(原題)』とタイトルが変更になったこの新作ドラマは、米Appleによる動画配信サービス「Apple TV+」のもと、9カ月前に全8話構成でシリーズ化が決定。物語は、ある青年が自衛のために行った些細な行為が、雪だるま式にどんどんと大きな事件に発展していくというスリラーだ。

マイアミを舞台に、ベトナム戦争の退役軍人である二人の老人を中心に描かれる。二人の親友同士が愛した一人の女性が交通事故で50年前に亡くなってから、それまでの二人の単調な生活が一変するというストーリー。その老人の一人をリチャードが演じる予定だった。

もともとAppleは、『HOMELAND』のクリエイターであるハワード・ゴードンと『LAW & ORDER:性犯罪特捜班』のプロデューサー、ウォーレン・ライトをショーランナー兼脚本家としていた。ゴードンの手がけた人気シリーズ『HOMELAND』もまた、イスラエルのドラマをリメイクしたもの。最初の2話の執筆を共同で行ったゴードンとライトだが、製作元のAppleとゴードンの方向性の違いが原因で、今回の作品プロジェクトが暗礁に乗り上げたという。

ゴードンは、二人の老人の親友関係という点に焦点を当てず、作品のより深い暗い部分、自警団の正義などをメインに考えていた。だが、ライトとApple側は二人の心、感情など友情を中心に描きたかったという。結局、ゴードンとAppleは互いに譲らず、ゴードンもライトも製作から脱退。入札で『Nevelot』のリメイク権を勝ち取っていたAppleは、かなりの額のペナルティを支払うことで本作のシリーズ化を諦めたという。

今年秋にローンチする「Apple TV+」では、ジェニファー・アニストン(『フレンズ』)とリース・ウィザースプーン(『ビッグ・リトル・ライズ ~セレブママたちの憂うつ~』)が共演&製作してNYのメディア業界を描く『The Morning Show(原題)』や、スピルバーグが指揮を執る『世にも不思議なアメージング・ストーリー』のリブート版『Amazing Stories(原題)』をはじめとする作品が数多く待機している。

リチャードの30年ぶりとなるTVドラマ復帰作は、3月上旬から英BBC Twoで放送された全8話のサイコスリラー『MotherFatherSon(原題)』。マスコミ界の頂点に立ちながら、その家庭生活は崩壊寸前という役どころで、こちらは好評のうちに放送を終えている。リチャードが引き続いて主演するはずが残念なことになってしまった新作ドラマの『Bastards』も、いつか何らかの形で復活することを願いたい。(海外ドラマNAVI)

Photo:リチャード・ギア
© babirad/Famous