2019年ベストドラマは? 『チェルノブイリ』『ストレンジャー・シングス』など英BBCが選ぶ12作品

秋に差しかかったばかりだが、英BBCは早くも2019年の(現時点での)ベストドラマを選出している。噂を耳にしない日はないほど評判の『Fleabag フリーバッグ』から、『ストレンジャー・シングス 未知の世界』などのスリラー作品まで、今年登場したシリーズやシーズンは傑作揃いだ。

巨大企業に没落セレブ...シチュエーション豊かなコメディ作品群

リストには多数の作品が挙がっているが、まずは肩の力を抜いて楽しめるコメディから紹介したい。

筆頭に挙がっているのは本年度エミー賞のコメディ・シリーズ部門で作品賞や主演女優賞など6部門を受賞した、BBC発のシニカルな1本、『Fleabag』だ。自己嫌悪に陥りながらも生き方を変えることができないロンドン女性・フリーバッグは、シーズン2で神父と思わぬ恋に。紆余曲折の末に、幸せなゴールは待っているのだろうか?  日本でもシーズン1と2をAmazon Prime Videoで配信中。

20190926-00000001-bbcosusume1_dramanavi-1-00-view.jpg【関連記事】この夏に観るべき英国コメディは? 米エンタメ誌がおすすめする10作品

続いて、『Years and Years(原題)』はEU離脱後のイギリスの将来を憂うブラック・SFコメディ。ある家族の生活を数十年のスパンで描き、政治と生活の移り変わりを皮肉たっぷりに表現する。日本未公開のシリーズだ。

20190926-00000001-bbcosusume2_dramanavi-1-00-view.jpg政治といえば、メディアの影響がつきもの。本年度エミー賞のドラマ・シリーズ部門脚本賞を受賞した『キング・オブ・メディア』は、世界最大のメディアグループを経営する一家をめぐる風刺コメディ。退陣の気配を見せない老いたCEOから経営権を奪おうと、実の子たちが極秘の計画を推進する。

20190926-00000001-bbcosusume3_dramanavi-1-00-view.jpg次の『ロシアン・ドール:謎のタイムループ』は、毛色の変わったSFコメディ。自分の誕生日に事故に遭って死んでしまった中年の女性が、同じ日を延々と繰り返す物語。どんなに慎重に生きようが、何らかの原因で毎回死亡してしまう。何とか生きてその日を終えたい彼女は...。Netflixで配信中。

20190926-00000001-bbcosusume4_dramanavi-1-00-view.jpg没落コメディ『シッツ・クリーク』は、破産したセレブ一家の物語。家族は以前ジョークで買っていたシッツ・クリークの街の最低なモーテルに住まざるを得なくなり...。ファイナルを迎える最新のシーズン6では、苦し紛れに経営したモーテルがなぜか評判になってしまい、一家の生活にも光が。シーズン1から5までをNetflixで配信中だ。

20190926-00000001-bbcosusume5_dramanavi-1-00-view.jpg
『デリー・ガールズ ~アイルランド青春物語~』も見逃せない。アイルランドの田舎町に暮らす少女たちの学園コメディ。カトリック系スクールに通う彼女たちは、隣町のプロテスタント系高校の男子たちとの合同イベントに参加。宗派の対立とはほど遠い、ゆるーいバトルが繰り広げられる。全2シーズンをNetflixで視聴可能だ。

20190926-00000001-bbcosusume6_dramanavi-1-00-view.jpg

視聴後の余韻も作品のうち 実話ベースの作品

痛快コメディでひとしきり笑い転げた後は、実話ベースのシリーズで知見を広げたい。

世界で最も有名な原発事故を振り返る『チェルノブイリ』は、刻々と変化する状況に息をのむ作品。1986年のウクライナで、発電所内の原子炉が爆発。誤報や当局の情報操作により、市民は本来無用のリスクに晒されてしまう。駆けつけた消防隊員のなかには、放射線のリスクを知らされていなかった者も。事故の瞬間をスリリングに描きつつ、その後の対応にも一石を投じる今作は、本年度のエミー賞で計10部門を制し、リミテッドシリーズ部門を席巻。BS10スターチャンネルにて9月25日(水)より独占日本初放送、9月26日(木)より配信中だ。

20190926-00000001-bbcosusume7_dramanavi-1-00-view.jpg
同じく実話に基づく作品としては、本年度エミー賞リミテッドシリーズ部門で主演男優賞など2冠に輝いた『ボクらを見る目』も秀逸。NY・ハーレムに住む黒人とラティーノの、14歳から16歳の少年5人が犯していない強姦・殺人未遂で有罪宣告を受けてしまう。何としても犯人を逮捕しなければ面目が立たない政治的なプレッシャーを感じていた警察上層部が、あの手この手で少年たちに自白を強要した結果だ。最長12年間もの服役生活を送った末、2002年に別の真犯人が判明。冤罪の恐ろしさを如実に語るヒューマンドラマだ。Netflixで配信中。

20190926-00000001-bbcosusume8_dramanavi-1-00-view.jpg

背筋を駆け抜けるスリルがクセに スリラーの人気作

最後にホラー/スリラー作品をご紹介。BBCの推薦リストには、このジャンルの作品が4作品挙がっている。コメディに紙幅を割くパターンが多いなか、スリラーを豊富にリストアップするのはユニークだ。

初めは言わずと知れたSFホラー、『ストレンジャー・シングス 未知の世界』。7月に公開されたばかりのシーズン3では、可愛げたっぷりだった子役たちが生意気な青年に急成長。アドベンチャー要素や各種映画へのオマージュなど、シリーズ独自の旨味は健在だ。シーズン1から3をNetflixで配信中。

20190926-00000001-bbcosusume9_dramanavi-1-00-view.jpg
続いてはドイツ製SFスリラー『DARK ダーク』。ウィンデンの町で子どもたちが次々と姿を消すなか、大人は何か秘密を隠している様子。町の外れの原発とその付近にある洞窟が何らかの鍵を握っているようなのだが...。数世代の時を超えて展開する複雑怪奇なストーリーに、引き込まれること請け合い。Netflixで全2シーズンを配信中だ。

20190926-00000001-bbcosusume10_dramanavi-1-00-view.jpg最後はクライム・スリラー2作品。『トラップ 凍える死体』は、アイスランドで巻き起こる本格ミステリー。同国での放送開始時、第1話は50%という驚異の視聴率を達成した。雪に閉ざされた小さな町で警察は凶悪犯を懸命に追うが、嵐の足音が接近し...。緊迫した状況が恐怖感を盛り上げる。

『マインドハンター』は、FBI捜査官の二人と心理学者が協力して、犯罪心理学によるプロファイリングの手法を確立していく様子を追うスリラー。1970年代後半に、悪名高き連続殺人犯達の逮捕に向けて革新的な行動分析を試みた、実在の捜査官がモデルとなっている。『ハウス・オブ・カード 野望の階段』『セブン』『ゾディアック』『ドラゴン・タトゥーの女』など、数々の衝撃的なサスペンス作品を手掛けてきたデヴィッド・フィンチャーが監督・製作総指揮を務めている。ヒューマンドラマとしても楽しめる本作は、Netflixでシーズン1と2を配信中だ。

20190926-00000001-bbcosusume11_dramanavi-1-00-view.JPG
以上、BBC推薦のドラマ12シリーズをご紹介した。Amazon Prime Videoでは『Fleabag フリーバッグ』を、Netflixではその他多くの作品を楽しめる。ぜひ2019年の人気シリーズを堪能してみよう。(海外ドラマNAVI)

Photo:『Fleabag フリーバッグ』© 2016 Amazon Studios 『Years and Years』© BBC 『キング・オブ・メディア』©2018 Home Box Office, Inc. All rights reserved. HBO® and related Netflixオリジナルシリーズ『ロシアン・ドール:謎のタイムループ』 『チェルノブイリ』 © 2019 Home Box Office, Inc. All Rights Reserved. HBO® and related channels and service marks are the property of Home Box Office, Inc. 『シッツ・クリーク』©2018 CBC/Radio-Canada. All rights reserved Netflixオリジナルシリーズ『ボクらを見る目』 © Atsushi Nishijima/Netflix 『ストレンジャー・シングス 未知の世界』シーズン3 Netflixオリジナルシリーズ『マインドハンター』