『ダウントン・アビー』バイオレット役 一城みゆ希に直撃インタビュー!「バイオレットからはすごく学ぶことが多かった」

1月10日(金)に待望の劇場版が全国公開され、さらに劇場版公開を記念してBS10 スターチャンネルでは本日1月22日(水)から全シーズンのレギュラー放送もスタートする『ダウントン・アビー』。英国貴族たちの世界の表と裏を描いて話題を呼んだ名作ドラマが再び盛り上がりを見せている中、今回は、本作の名物キャラクターとも言うべき先代伯爵夫人バイオレット・クローリーの声を演じる一城みゆ希さんを直撃! テレビシリーズの魅力や思い出、劇場版の見どころなどを語ってもらった。

――劇場版の公開などで、人気も再び盛り上がってきていますが、この盛り上がりをどう思いますか?

劇場版が作られているという噂は流れていましたけど、それが日本語版になるっていうことで、もうみんな大感動でした。ただ、吹替の収録は3日間で、最初の日と次の日は使用人組とゲストの方たち、それで最後の日が私たち貴族組と別れての収録だったんです。だから、みんなで劇場版の大成功をお祝いしようとプライベートで集まる予定なんです(笑)。皆さま本当にお芝居が上手くて素敵な方々ばかりなので、第6シーズンまで吹替版が作れましたし、だからこそ、つながりが深いんです。ぜひレギュラー放送で再び第1シーズンから皆さんに見ていただきたいですね。

20200122-downton3.jpg――本シリーズがこれほどまでに人気が出た理由をどう考えていますか?

こんなにゴージャスな作品はなかなかないと思います。ハイクレア城というお城を撮影に借りちゃうというのもすごいですよね。ハイクレア城の城主の方がインタビューで、それまではお城を維持する費用が大変だったけど、『ダウントン・アビー』に使われたことで、観光地になって本当に助かったということをおっしゃっていたんです。それに、郵便の配達が馬車からだんだんと自動車になっていくような時代の流れというのも描かれていて、すごく面白いです。

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――バイオレットというキャラクターや、演じるマギー・スミスの魅力を教えてください。

バイオレットからはすごく学ぶことが多かったです。マギー・スミスさんは、バイオレットの表情や仕草に合わせた声を出されるので、この方が演じているとおりに忠実に演じていくだけなんです。彼女が素晴らしく演じてくださるおかげで、一城みゆ希は成長させていただきました。私はバイオレットと違って皮肉とかは言わないですが(笑)。役だからあんなセリフをおっしゃっているけど、きっとマギー・スミスさんという方はとても素晴らしい人格者だと思います。マギー・スミスさんは、今までは大先輩たちが吹き替えていらっしゃいましたから、キャスティングされた時は本当に驚きました。ただ、私はあえて他の方の吹替は参考にはしませんでした。日本語版演出を務める伊達(康将)さんが任せてくれたんだから、一城の出すものでそれに応えなければいけないというのはありました。

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――バイオレットとイザベルの関係も面白いですね。

バイオレットは自由にやっていると思うんですけど、イザベルはどんと構えているんです。セリフは決まっているものしか言えないですけど、イザベルの表情に注目して見てください。バイオレットの言葉に対して、セリフは無くても表情で反応するので気持ちが伝わってきます。悔しかったのねとか(笑)

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――その他にも魅力的なキャラクターが多数登場して、いろいろなドラマを生み出してきました。

メアリーはマシューと結婚して子供はできたけど、マシューは死んじゃうし。イーディスは何度も振られて、かわいそうでしたね。新聞社でパートナーを見つけるけど、彼が行方不明になってしまって、しかも妊娠しちゃう。それでいろいろあるけど、最後にはヘクサム卿と結婚してハッピーエンドになるんですよね。でも、本当にかわいそうなのはシビルですよね。親の反対を押し切ってトムと結婚して新しい命は授かったけれども、出産で亡くなってしまう。そこからトムの人生は変わっていくわけじゃないですか。それとトーマスは本当に意地悪だったけど面白かった。戦争で出兵してしまって、帰国したいがために自分で指をケガしたりと、こざかしかったよね(笑)。オブライエンといつも二人でタバコを吸いながら悪巧みばっかり考えていた(笑)

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――バイオレット以外にお気に入りのキャラクターはいますか?

みんな好きなんですけど、やっぱりベイツとアンナですね。二人のすごく深い愛が印象的でした。第1シーズンで風邪をひいたアンナをベイツが看病して、そこからちょっと恋が芽生えるんですけど、その二人の芝居がすごく細かいんですよ。それでベイツが奥さんの陰謀で刑務所に入れられてしまうんですけど、アンナはずっと待ち続けるんですよね。そこが偉くて深いなって思いました。刑務所のシーンでもベイツは強くて格好良く作られていました。それに、まさかカーソンとヒューズが結婚するとは思いませんでしたね。

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――カーソンとヒューズもすごくいいカップルですよね。

ものすごくいいカップルですね。デイジーもトーマスを最初は好きだったけど、ウィリアムとの関係があったりして、それから劇場版にかけてアンディと関係が進むんですよね。パットモアも病気になったりしたし。でも、そういう時にヒューズが話し相手になってくれたりするんですよね。だから、みんなチームなんですよね。「チーム・ダウントン」なんですよ。私たちも「チーム・ダウントン」。

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――その「チーム・ダウントン」の収録現場はどのような雰囲気でしたか?

伊達さんの収録はすごく早いので、出演者はみんな緊張していました。それで収録が終わると緊張がほぐれて、全員が焼鳥屋に集まると。『ダウントン・アビー』のイメージとは全然違いますが(笑)。『ダウントン・アビー』は衣装だって何だってゴージャスですけど、スタジオの私たちはジーパンだったりするじゃないですか。このギャップ(笑)。だから、演じることに楽しさがあるんです。『ダウントン・アビー』の収録に来れば、私たちは貴族という思いがあるので、みんなやっぱり背筋をしゃんと伸ばして頑張っていました。普段は使わない言葉でしゃべっていますし、そのギャップはすごいですよ。

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――吹替で苦労した点はありましたか?

私たちは一声出して、それを演出家の方がオーケーしたら、その通りにやっていかなければいけない仕事ですので、そこでダメ出しがあると、演出家が何を求めているのかをキャッチして変えてやってみるんです。それで、変えたものがオーケーだったらいいけども、ダメだったら何度も何度もリテイクでやっていく。私たちはまずは自分のことしか考えないですけど、演出家はいろんなキャラクター間のバランスを見て考えてくださるので、スタッフの方のご苦労は大変だったと思います。でも、この作品があまりにも素晴らしく丁寧に作ってくださっているから、私たちも丁寧に吹き替えていました。ただ、全員が1回引っかかるセリフがあって、モールズリーを"モーズルリー"と言っちゃうんですよ(笑)。私も1回ありました(笑)。それと、兼ね役で違うキャラクターを吹き替えている声優の方も多いんですよ。それがちゃんと演じ分けられていて、素晴らしかったです。

――第1シーズン第1話の収録はどのような感じでしたか?

本当に不安でした。劇場版の収録スタジオとは違って、とても狭いスタジオで収録していたものですから、全員が中に入れないんですよ。だから、スタジオの外にあるモニターを見ながら、相手によって芝居が違ってくるので、こういう芝居をしているのねとチェックして、その芝居を受け継いで中に入るんです。そういう大変さはありましたけれども、第2シーズンぐらいからみんな役が自分のものになっていましたから、この人はこう言うだろうなというのが分かってきていましたね。

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――劇場版の見どころは?

トムはずっと苦労していたから、出会いがあるのは良かったですね。その出会いに関して、終盤にバイオレットが従姉妹モードと手紙の切手に関してイキなことを言うセリフがあるんですよ。それとラストで、バイオレットが何も言わずにダンスをしているメアリーを見つめているシーンがあるんですけど、あの表情の素晴らしさ。あそこは泣けました。それにトーマスにもある出会いがありますし、モールズリーは本当にユニークな方で、劇場版でもすごくフィーチャーされていますね。

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――劇場版の吹替おすすめのポイントはありますか?

これをここで言うのかとか、それがクスって笑えたり、それからちょっと泣けたりという各ポイントがあるんですけど、それは第1シーズンから第6シーズンまで通して演じてきているからわかるところですし、通して観てくださっていると伝わるところだったりします。本当に第6シーズンまでやっていたおかげで、劇場版の吹替も素晴らしい仕上がりになっています。本当に素晴らしい出来上がりになっていますけど、第1シーズンから見ていただくと、もっとこの作品の素晴らしさをお届けできると思うので、ぜひスターチャンネルに加入して第1話からご覧くださいませ(笑)

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(取材・文・写真/豹坂@櫻井宏充)

BS10 スターチャンネル『ダウントン・アビー』放送情報

20200122-downton12.jpg◆劇場新作『ダウントン・アビー』公開記念 全6シーズンレギュラー放送
【字幕版】1月22日(水)スタート 毎週水曜23:00~※2話連続放送
【吹替版】1月27日(月)スタート 毎週月曜22:00~※2話連続放送

映画『ダウントン・アビー』(配給:東宝東和)

20200122-downton15.jpg1月10日(金)より、TOHOシネマズ日比谷他にて全国公開中。

Photo:一城みゆ希さん/ ダウントン・アビー  (c) 2010 Carnival Film & Television Limited. All Rights Reserved./ ダウントン・アビー シーズン2 (c) 2011 Carnival Film & Television Limited. All Rights Reserved./ ダウントン・アビー シーズン4 (c) 2013 Carnival Film & Television Limited. All Rights Reserved./ 映画『ダウントン・アビー』 (C)2019 FOCUS FEATURES LLC. ALL RIGHTS RESERVED.