『ER』『グレイズ・アナトミー』『シカゴ・メッド』...最もリアルな医療ドラマは?

これまで数多く製作されてきた医療ドラマ。もちろん、100パーセント正確ではないかもしれないが、他のジャンルよりも私たちの実生活に近い現実的な要素を含んでいるだろう。『ER 緊急救命室』という医療ドラマの金字塔の登場から20年以上が経った現在も、様々な環境の医療現場をテーマにしたTVシリーズの人気は根強い。そこで、米TV Insiderは、近年の医療ドラマの中で、最も現実的な作品を調査。

看護師の仕事もこなす医師から、ありえないほど幅広い専門性をもつ外科医まで、多様な医療ドラマを1(完全に非現実的)から10(医師承認の正確さ)の間で採点。果たして、最もリアルな医療ドラマとは?

3点/『グレイズ・アナトミー』(2005年~)

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3点/10点中
シアトルの大病院を舞台に、主人公で外科医(シリーズスタート時はインターン)のメレディス・グレイ(エレン・ポンピオ)が仕事や恋に悩みながら同僚たちとともに成長していく過程を描き、『ER』を抜いて全米医療ドラマ史上最長となった大ヒットシリーズ。

ABCの『グレイズ・アナトミー』は最もよく知られている医療ドラマの1つだが、病院内に関しては最も正確ではないという結果に。病院の中でのセックスシーンが頻繁にあり、上司を差し置いてインターンが手術を行い、日常的に重大な過ちを犯すレジデントがいる...。リアリズムとはかけ離れていると言えそう。

※シーズン16:4月29日(水・祝)よりWOWOWプライムにて放送スタート
※シーズン1~12:Netflixにて配信中

3点/『プライベート・プラクティス』(2007年~2013年)

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3点/10点中
『グレアナ』のアディソン・モンゴメリー(ケイト・ウォルシュ)を主人公にしたスピンオフドラマ。シアトルの大病院を離れ心機一転、ロサンゼルスに移住したアディソンが、設備の不十分な小さな病院で患者のために最善を尽くす姿を描く。

本家と同じく、スピンオフもドラマ的な要素が強め。言うまでもなく、『プライベート・プラクティス』では驚くような事件とクレイジーな事態が頻繁に起こるが、実際の日々の生活はそれほど刺激的なものではないはず。

※全シーズン:Amazon Prime Video&ディズニープラスにて配信中

4点/『Dr. HOUSE -ドクター・ハウスー』(2004年~2012年)

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4点/10点中
主人公グレゴリー・ハウス医師(ヒュー・ローリー)は、慣習にとらわれない思考と完璧とも言える鋭い感性を発揮する"現代版ブラック・ジャック"とも言える天才医師。運ばれてくる難病患者たちを救うため、ハウスは優秀で若い専門家たちとチームを作り、それぞれの能力を生かしながら治療のためには手段も選ばず、他の医師が解明できなかった難病を次々と突き止めていく。

同作において最も現実離れしている点は、主人公のハウスが依存症を抱えているにも関わらず、医師として働き続けていること。残念ながら、医師が依存症になることは現実でも起こりえることだが、ハウスほど頻繁に薬を飲み、不適切な行動を繰り返していれば、現実では医師免許を剥奪される可能性が高い。その上、少人数の医師チームが全ての検査を行い、そのチームで焦点を当てる患者は1度に1人、全てのエピソードで100万人に1人という症例が出てくる点も踏まえれば、現実性が高いとは言えないだろう。

※全シーズン:Amazon Prime Video配信中

5点/『レジデント 型破りな天才研修医』(2018年~)

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5点/10点中
舞台はジョージア州アトランタにある総合病院、チャスティン・パーク記念病院。シニアレジデントのコンラッド(マット・ズークリー)は常に患者を第一に考え、規則を破ることさえも厭わない型破りな医師。患者の命を救うため、名声を得た大病院の上層部の権力にも真っ向から立ち向かっていく。

一般的な医療ドラマにありがちな間違いに加え、しばしば病院内でのラブシーンがあり、あるキャラクターにいたっては手術室でセルフィーをしてしまう始末。とはいえ、アメリカの医療現場で実際に起こっている問題に触れている点を考慮し、エンターテイメントにおける現実性は5点という判断に。

※シーズン1:Huluにて配信中
※シーズン3:5月27日(水)よりFOXチャンネルにて第1話先行放送

6点/『ニュー・アムステルダム 医師たちのカルテ』(2018年~)

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6点/10点中
1736年からニューヨークに実在する米国初の公立病院、ベルビュー病院で改革を行なったエリック・マンハイマーの回顧録が原作で、彼が本作の主人公マックスのモデル。米国初の公立病院ニュー・アムステルダム病院に雇われた新任の医療ディレクターであるマックス(ライアン・エッゴールド)は、"ひとりでも多くの患者を救う"をモットーに、高額な請求ばかりで診療がおろそかになっている心臓外科の医師を全員解雇し、外部から医師を招いたり、優秀な医師を再雇用するなど大胆な改革を起こしていく。

実在する米国初の公立病院を舞台にしているが、実話を忠実に反映しているわけではない。医療行為についてはほとんどが正確な描写だが、いくつかの場面でドラマ的な誇張した表現が見られることから、6点止まり。

6点/『グッド・ドクター 名医の条件』(2017年~)

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6点/10点中
自閉症だが天才的記憶力を持つサヴァン症候群である青年医ショーン(フレディ・ハイモア)が、膨大な医学の知識を駆使して、保守的な病院関係者・先輩医師の偏見や反発を乗り越えながら成長してく姿を描くヒューマンメディカルドラマ。2013年に韓国で大ヒットした同名ドラマの米国リメイク版で、2018年夏には日本でもリメイクされたことで知られている。

マスクなしで手術室に入室したり、不必要に臓器を切除するなど一部の医療に不適切な行為が見られるが、他の医療ドラマと比較すると、専門用語、診断、治療に関する正確さは高いレベルにあると言える。医療コンサルタントのオレン・ゴットフリード医師は、「一部のケースは非常に奇妙に見えるかもしれませんが、実際にそれらは医学の真実です」とコメントしている。

※シーズン3:4月16日(木)よりWOWOWプライムにて放送中

7点/『ER 緊急救命室』(1994年~2009年)

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7点/10点中
24時間昼夜を問わずあらゆる急患を待ち受けるシカゴの緊急救命室(ER)を舞台に、日夜奮闘する人間味あふれる登場人物たちが、様々な成功・挫折・恋愛・別れを経て成長していくヒューマンドラマ。1994年から15シーズンにわたって全世界で大ヒットした医療ドラマの元祖。

米国の医療ドラマを代表する同作も、他の医療ドラマと同様にいくつか一般的な間違いを犯しているが、頻繁に看護師の業務をこなすレジデントがいたり、CPR(心肺蘇生法)がどれほど効果的なものなのかを示すなど、救急医になることの厳しさを正確に伝えている。

※全シーズン:U-NEXTにて配信中

7点/『コード・ブラック 生と死の間で』(2015年~2018年)

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7点/10点中
コード・ブラックとは、患者数が救命処置室(ER)の許容量を超える緊急事態のこと。全米での平均発生回数は年間5回と言われる。本作は、そのコード・ブラックが年間300回発生する全米で最も忙しいエンジェルス記念病院のERを舞台に、医師や看護師たちが命と向き合う姿を圧倒的な臨場感で描く。

『コード・ブラック』の問題は、そのタイトルにある。放送局のCBSは、"コード・ブラック"を"ERが過密状態で人員不足の場合"の用語として定義。しかし、この用語は爆弾予告や個人的な犯罪の脅威など、病院によって意味が大きく異なる可能性があるというのだ。とは言え、実際に看護師として働いている人たちは本作の正確性を主張しているので、7点という結果に。

※シーズン3:U-NEXTにて配信中

8点/『シカゴ・メッド』(2015年~)

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8点/10点中
リニューアルされたシカゴ医療センター(シカゴ・メッド)の救急外来を舞台に、医師たちが様々な患者と接することで医師として、人間として成長していく姿を描く。『シカゴ・ファイア』、『シカゴP.D.』に続く、ディック・ウルフが手がける『シカゴ』シリーズ3作目。

『シカゴ・メッド』は、よりリアリスティックな医療ドラマの1本。脚本家たちは、公表された症例のみを描くというルールを守っているそうで、本シリーズでメディカル・アドバイザーを務めるアンドリュー・デニスは、本作の正確性を85パーセントと推定している。

※シーズン2:5月6日(水)よりAXNにて放送スタート

9点/『scrubs ~恋のお騒がせ病棟』(2001年~2010年)

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9点/10点中
医大附属病院を舞台に、研修医たちが一人前の医師を目指す医療の現場をコミカルに描いたハートフル・ヒューマン・コメディ。主人公のジョン・"JD"・ドリアン(ザック・ブラフ)は、研修医として日々奮闘し、職場恋愛や家族の問題、大量のペーパーワークに長時間労働、ユニークな患者との出会いや別れを通して成長していく。

驚くべきことに、コメディドラマである『scrubs』が医療の現実性の面で最も高いスコアを獲得。もちろん、完璧なわけではないが、現実的な症例にフォーカスしていることはもちろんのこと、レジデントの研修課程や、病院の機能性をしっかりと捉えているという点で最高点を獲得。放送終了から10年が経った今年、復活が決まった

(翻訳/Ai Ono)

(※放送&配信情報は、4月17日時点の情報となります)

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