人気海外ドラマで描かれる、泥沼にハマる女たち4選

『グッド・ワイフ』や『The Good Fight/ザ・グッド・ファイト』『マダム・セクレタリー』『ハウス・オブ・カード 野望の階段』『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』『LAW & ORDER: 性犯罪特捜班』など、強くて賢い女性が活躍するドラマがジャンルを問わず人気だが、今回はちょっと毛色の違うドラマをご紹介しよう。もがけばもがくほど沼に沈み、負のスパイラルにハマってしまう女性たちを描く、コメディタッチの海外ドラマを4作品おすすめしたい。

『デッド・トゥ・ミー ~さようならの裏に~』

大切な人を失った悲しみを癒すグリーフセラピーで知り合った性格がまったく異なる二人の女性。意外にも、お互いの心の穴を埋めるように友情を育んでいく。しかし、秘密が次々と明らかになり...。

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夫をひき逃げで亡くした二児の母ジェンは、現実主義で人当たりのきついキャリアウーマン。そんな彼女に近づくのは、人懐っこく自己肯定感の低い自由人の女性ジュディ。正反対の性格の二人がここまで仲良くなるのか、と不思議に思わざるを得ないのだが、それほどジュディはある意味魅力的。決して悪気はなく、良かれと思ってしていることで更なる沼に落ちるジュディと、それに引っ張られていくジェン。

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シーズン1では、ジュディが抱える秘密を持て余す様子がひしひしと伝わり、5月8日(金)より公開中のシーズン2では何と立場が逆転するというプロットに脱帽だ。現実ではあり得ない意外な展開にびっくりするものの、キャラクター設定は一貫しており、シーズン2でさらに二人の女性の魅力にはまってしまう。ジュディが口を開けば開くほど事態が悪化し、考え得る最悪の事態へと突き進んでいく。クリスティナ・アップルゲイト(『サマンサ Who?』)とリンダ・カーデリーニ(『ブラッドライン』)という演じる女優たちの演技力も素晴らしく、見始めたら止まらないドラマだ。Netflixで全2シーズンを配信中。

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『ビカミング・ア・ゴッド』

『ビカミング・ア・ゴッド』は、ジョージ・クルーニーが製作総指揮を担い、『スパイダーマン』シリーズのキルステン・ダンストが主演を務めるダークコメディ。キルステン扮する超絶崖っぷち主婦がマルチ商法で再起を図る、女性版『ブレイキング・バッド』とも称される、5月1日(金)よりAmazon Prime Videoチャンネル‎「スターチャンネルEX -DRAMA & CLASSICS-」にて配信スタートした注目作だ。

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1992年の米フロリダ州オーランド市郊外が舞台。最低賃金のウォーターパークで働くクリスタルはいつか貧乏生活から抜け出したいと願う、乳児を抱えた兼業主婦。だが、夫のトラヴィスは保険会社で働く傍ら、ネットワークビジネス「FAM」になけなしの資金と時間をつぎ込み、人生の成功を夢見る「下層下級の会員」だ。全力で夫の「FAM」活動に反対するクリスタルだが、ある事件をきっかけに収入を失くし、家を失くし、あるのは借金と「FAM」の大量在庫だけ...という事態に追い込まれる。

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背に腹は代えられないと、持ち前の根性でネットワークビジネスに深くかかわり始める彼女だが、思いもよらぬハプニングが次々と起こり...。これだけのガッツと行動力があれば他の仕事があっただろうに、と思わずにはいられない。果たしてアメリカンドリームの嘘や金儲けの波の中でサバイブできるのだろうか? シーズン2への更新が決定している。

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『グッドガールズ:崖っぷちの女たち』

お金や家庭の問題を抱え、経済的に追い詰められた郊外に住む3人の母親が、問題を解決すべく決死の覚悟で、スーパーマーケットで強盗を実行。だが、思いつきの悪事がそうそう上手くいくわけもなく...。主婦版『ブレイキング・バッド』と呼び声の高い犯罪コメディだ。

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4人の子どもを育てる完璧専業主婦のベスと、スーパーのレジ係として上司のセクハラに耐えながら働くシングルマザーのアニー、娘が高額の臓器移植をしなければ助からないと悩む兼業主婦のルビーという、生活環境や背負うものの違う3人の母親だが、子どもへの想いと喉から手が出るほどお金が欲しいという気持ちは一緒。やめておけばいいのに欲が出るベスや墓穴を掘りまくるアニー、常に罪悪感にかられるルビーという、いかにも不器用そうな3人がギャングとFBIを相手にたくましく商売をしていく様子は突っ込みどころ満載。

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倫理的にどう落としどころを見つけるのかと興味深く見始めたが、一度ついた嘘を隠すために悪事を重ねて、警察に追われ、家族がバラバラになっていく様子は「こんなに大変ならやめておこう」と視聴者に思わせるストーリーに仕上がっている。もちろんコメディ要素をふんだんに盛り込んでいるので、「そんな馬鹿な」と思いながらも痛快なところあり、時折切なくもある。そして毎エピソード、そのエンディングが見事などんでん返しやクリフハンガーで、知らぬ間に引き込まれてしまうドラマだ。

米NBCではシーズン3の放送を終了し、5月にシーズン4への更新が決定。日本ではNetflixでシーズン1と2を配信中。

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『デスパレートな妻たち』

最後はかの有名な、閑静な郊外の住宅街、ウィステリア通りに住む女性たちが巻き起こす波瀾万丈な物語『デスパレートな妻たち』。

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全8シーズンかけて様々な事件やロマンスが語られる本作。脅迫に始まり、自殺、ひき逃げ、殺人、結婚、浮気、離婚、病気、詐欺...数えきれないほどの出来事が、スーザン、リネット、ブリー、ガブリエルや彼女たちのまわりで巻き起こる。愛する人を失う悲しみや築いてきたものを失う悔しさは、時間や仲間が解決してきてくれたが、罪悪感に苛まれたときだけはどうにもならなかった...。

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現実世界でこんなに色々なことが起こったら精神的にまいってしまうだろうと思いながらも、彼女たちの困難を乗り越えようとするパワーには感心するところも多い。最終シーズンでかなり追い詰められる4人だが、それでも結局のところ前向きに生きる道を選ぶのだから、彼女たちの生きるパワーの凄さが伝わってくるドラマだ。全8シーズンをHuluで配信中。

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Photo:『デッド・トゥ・ミー ~さようならの裏に~』© Saeed Adyani / Netflix ©Eddy Chen / Netflix/『ビカミング・ア・ゴッド』(c) 2019 Sony Pictures Television Inc. and Showtime Networks Inc. All Rights Reserved./『グッドガールズ:崖っぷちの女たち』©2019 NBC/ 『デスパレートな妻たち』© 2012 American Broadcasting Companies, Inc. All rights reserved.