6月は「プライド月間」LGBTQ+の理解を深めるドラマ10選

6月は「プライド月間(Pride Month)」。LGBTQ+の権利や文化について啓発を促すイベントが世界各地で行われている。人種・民族性だけでなく、ジェンダーの多様性も求められている現代では、LGBTQ+のキャラクターがTVドラマに登場することは当たり前のこととなった。そこで、米Indie Wireがリストアップした、今見ておくべきLGBTQ+ドラマの中から、日本でも視聴することができる10作品を紹介しよう。

『セックス・エデュケーション』

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初恋のほっこりする感覚や、ファーストキスの初々しさを欲している人には、そんな思春期の恋愛にまっすぐに切り込んだ『セックス・エデュケーション』がオススメ。

セックス・セラピストの母を持つがゆえに、性の知識だけは豊富な高校生が主人公。彼が校内でティーンエイジャー向けに性の悩み相談クリニックを開き、自身も恋愛や友情、親子関係について学びながら成長していく姿がコメディタッチで描かれている。

本作には視聴者が思わず夢中になってしまうキャラクターで溢れているが、その中でもンクーティ・ガトワが演じるエリックは核となる存在。唯一無二の個性的なセンスを持つエリックは、家族が信仰深いものの、自身がゲイであることを受け入れられており、純粋に恋愛を楽しんでいる。TVドラマにおいて、ゲイの恋愛はやや多少の複雑さを伴って描かれることも少なくないが、エリックの恋愛は視聴者も微笑ましく応援することができるだろう。

『セックス・エデュケーション』はNetflixにてシーズン1~2が配信中。

 

『ジェントルマン・ジャック 紳士と呼ばれたレディ』

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世界がレズビアンの存在を認めるずっと前、19世紀初頭の英国に実在した中流階級の地主アン・リスターは、英国で初めて女性同士の結婚式を挙げたLGBTQ+のアイコン的存在。

産業革命期、階級制度が色濃く存在する英国で、故郷の邸宅シブデン館の再興や探鉱事業に力を尽くしたアン・リスター。『ジェントルマン・ジャック』は、カリスマ的リーダーシップで地元住民からは"紳士ジャック"という名で親しまれ、生への飽くなき情熱と鋭いビジネス感覚で混沌の時代を颯爽と駆け抜けた彼女のユニークな半生を描く歴史劇。

LGBTQ+の生活と歴史が絶えず消し去られていた社会の中で、私たちがリスターのことを知っているのは、彼女が複雑な暗号を使って自身の色事を記録に残していたから。米HBOの時代劇は、リスターを演じるサランヌ・ジョーンズの素晴らしい演技と、クリエイターのサリー・ウェインライトの徹底したリサーチと機知に富んだ脚本で、リスターというキャラクターの魅力を余すところなく描ききっている。

『ジェントルマン・ジャック 紳士と呼ばれたレディ』はU-NEXTにて配信中。

 

『フィール・グッド』

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各話30分、全6話という見やすい構成の『フィール・グッド』は、新進のスタンドアップ・コメディアン、メイの日常を描くロマンスコメディ。コカイン中毒の治療中であるメイが、同性との恋愛経験はない女性ジョージと出会い、一過性ではない本物の関係を築こうとする姿がダークかつユーモラスに描かれる。

主演のメイ・マーティンはジョー・ハンプソンとともにクリエイターも務めており、本作は彼女の経験が基になっている。視聴者にとっては"Feel Good(気分がいい)"とならない場面もあるかもしれないが、愛や性、依存症など、様々な複雑な問題を絡めて物語は進んでいく。

『フィール・グッド』はNetflixにて配信中。

 

『POSE』

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『Glee/グリー』や『アメリカン・ホラー・ストーリー』、『9-1-1:LA救命最前線』などを手がけたライアン・マーフィーとブラッド・ファルチャックがクリエイターを務める『POSE』。本作の中心は、社会的に受け入れられず行き場を失くした1980年代のLGBTQ+の若者たち。彼らは母親代わりの"マザー"の元に集まって共同生活を送りながら、"ボール"と呼ばれるテーマに沿ったファッションやヴォーギングと呼ばれるダンスの技を競い合うコンテストに参加していた。きらびやかな"ボール・カルチャー"を通して、当時のLGBTQ+コミュニティを映し出し、プライドと純愛、そして夢を追いかける彼女たちの姿を描く。

自身がゲイであるマーフィーはこれまでの作品でもLGBTQ+のキャラクターを登場させていたが、本作はトランスジェンダーのキャラクターを主人公に置いた本格的なLGBTQ+ドラマとして高く評価されている。1980年代後半の社交シーンから始まり、シーズン2ではマドンナの「Vogue」ブーム、エイズ危機に直面するなど、苦痛と栄光を伴ってコミュニティの歴史を大胆に描写している。プレイ・テル役のビリー・ポーターは昨年のエミー賞でドラマ・シリーズ部門主演男優賞を受賞し、ゴールデン・グローブ賞でもドラマ部門の男優賞にノミネートされた。

『POSE』シーズン1~3がDisney+にて配信中。

 

『マインドハンター』

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鬼才デヴィッド・フィンチャーが手がける『マインドハンター』は、実在するFBI捜査官ジョン・ダグラスをモデルにしたキャラクター、ホールデン・フォードが主人公。犯罪者をプロファイリングする方法が確立されていなかった時代に、ホールデンと彼の相棒ビル・テンチ捜査官が実在の連続殺人鬼にインタビューを繰り返し、犯罪行動科学に基づき犯人像を割り出していく様子がスリリングに描かれる。

本作でアナ・トーヴが演じるウェンディ・カー博士は、ボストン大学の心理学教授。男社会のFBIを見下していたが、ホールデンとビルの捜査手法を評価し、FBI行動科学課に加わることになる。本作の主軸はあくまでプロファイリングで連続殺人事件を解決に導くところだが、シーズン2ではウェンディのクローゼットレズビアンとしての一面にもフォーカスし、セクシーなバーテンダー、ケイ(ローレン・グレイジア)との関係が描かれている。犯罪捜査ドラマとしての魅力はもちろんのこと、ウェンディ・カーにも魅了されること間違いなし。

『マインドハンター』はNetflixにてシーズン1~2が配信中。

 

『イーストサイダーズ』

2018年のデイタイム・エミー賞で6部門にノミネートされた『イーストサイダーズ』は、ロサンゼルスのシルバーレイクを舞台に、トム(ヴァン・ハンシス)とカル(キット・ウィリアムソン)というゲイカップルが浮気やアルコール依存などの問題に直面する姿を描くダークコメディ。古き良き時代のセクシーなゲイコメディで、ホットな男たち、恋愛関係、エキセントリックなキャラクターが揃っている。

『イーストサイダーズ』はNetflixにてシーズン1~4が配信中

 

『シッツ・クリーク』

コメディ作品で活躍しているユージン・レヴィ(『アメリカン・パイ』シリーズ)、キャサリン・オハラ(『ホーム・アローン』)、クリス・エリオット(『ママと恋に落ちるまで』)らがレギュラー出演する『シッツ・クリーク』は、突然破産してしまったセレブなローズ家が、以前に冗談半分で購入した田舎町シッツ・クリークのおんぼろモーテルで、極貧生活を送らなければならなくなる...というファミリーコメディドラマ。

本作は、直近の5年間で最も思慮深く、心地よく、魅力的なコメディの1作であると高く評価されている。その中で、ユージンの実の息子ダニエルが演じるデヴィッドは次々と問題を抱えるも、TVドラマで最も愛されるゲイのキャラクターの一人になり、視聴者の心を掴んだ。

『シッツ・クリーク』はNetflixにてシーズン1~6が配信中。

 

『ユーフォリア/EUPHORIA』

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『ユーフォリア』は、昨夏米HBOで最もヒットした作品で、ドラッグやセックス、バイオレンスなどに溺れるティーンネイジャーがソーシャルメディア社会で生きる難しさや葛藤、その中で幸せやアイデンティティを掴もうともがく姿を、主演を務めるゼンデイヤ(『シェキラ!』、MCUの『スパイダーマン』)の独特なナレーションと1990年代のヒップホップやR&Bを中心とした重厚な音楽、美麗な映像美で綴る。

主人公ルーが恋に落ちるトランスジェンダーのジュールズを演じるのは、本作で役者デビューを果たした、自身も役柄同様トランスジェンダーのハンター・シェーファー。ジュールズは、これまでTVで見られたトランスジェンダーのキャラクターとは一線を画し、マニック・ピクシー・ドリーム・ガールのような魅力を放っている。

『ユーフォリア/EUPHORIA』シーズン1~2はU-NEXTにて配信中。

 

『ディキンスン 若き女性詩人の憂鬱』

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『アフェア 情事の行方』を手がけたアリーナ・スミスがクリエイターを務める『ディキンスン』は、詩人、娘、そして時代の反逆児だった19世紀の米詩人エミリー・ディキンスンの世界を、その時代と相容れなかった彼女の空想的な視点からコメディタッチで描いている。

19世紀とは合わない現代的な音楽でのダンスシーンに、情熱的なレズビアンのラブシーン、アヘンパーティーシーンとともに、本作はエミリー・ディキンスンの魅力を抜け目なく現代の私たちに伝えている。

『ディキンスン 若き女性詩人の憂鬱』はApple TV+にてシーズン1が配信中。

 

『ビリオンズ』

テンポの速い対話、愛らしいナルシスト、そして米Showtime最大のヒットを生み出した一流のパフォーマンスの本作は、ウォール街を舞台に、ヘッジファンド操作の黒幕ボビー・アクセルロッドと米連邦検事チャック・ロードスが数十億ドルをめぐり、熾烈に争う姿をスリリングに描くシリーズ。

本作における重要人物の一人が、シーズン2から登場した自身もノンバイナリージェンダーであるエイジア・ケイト・ディロンが演じるテイラー。途中参加でありながら、テイラーは本作の中心人物の一人となり、GLAADメディア賞(「中傷と闘うゲイ&レズビアン同盟」が主催)にノミネートされ、LGBTQ+の視聴者に支持されるなど、高い評価を得ている。

『ビリオンズ』はNetflixにてシーズン1~5が配信中。

(翻訳/Ai Ono)

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