『ヤング・シェルドン』本物の親子のようなイアン・アーミテイジ&ゾーイ・ペリーに直撃!記憶から追いやったセリフとは

大人気コメディ『ビッグバン★セオリー ギークなボクらの恋愛法則』の前日譚を描く『ヤング・シェルドン』。主人公のオタク男子4人組の中でもひと際変わり者なシェルドン・クーパーの子ども時代を描く本作は、本家同様に人気を博し、すでにシーズン4まで製作が決まっている。今回、シェルドンの幼少期を演じるイアン・アーミテイジと、母メアリーを演じるゾーイ・ペリーにオンラインインタビューを実施。"ママ・ゾーイ"と呼ぶ仲の良さと、息の合ったやりとりは本物の親子のよう。


――前日譚を描くにあたって、『ビッグバン★セオリー』で同役を演じるジム・パーソンズさん、ゾーイさんはご自身の母ローリー・メトカーフさんと何かお話されたことはありますでしょうか。

イアン:ジム・パーソンズさんと、どのようにしてシェルドンになりきるかについてお話することが多かった。シェルドンはひねりの効いたキャラクターなので、どんな俳優であってもきっととっつきにくい役だと思う。特に僕はシリーズに主演するのが初めてだったので大変だった。ジムとは、シェルドンのいろんな癖について話し合うなどして、うまく演じられるようにしたんだ。

ゾーイ:私も母と、どのようにして役作りをすべきかについて話したの。メアリーの姿勢や歩き方、声色など動作の基本も押さえたかったので、『ビッグバン★セオリー』で母が出演しているエピソードをすべて見た。

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<『ビッグバン★セオリー ギークなボクらの恋愛法則』ローリー・メトカーフ&ジム・パーソンズ>


母に言われて一番効いたのは、「とにかく脚本に身を委ねるべき」という助言だった。脚本家たちはキャラクターのことを知り尽くしているし、子育て中で大忙しのメアリーのライフステージに合わせた書き方をしてくれている。だから『ヤング・シェルドン』のメアリーは、『ビッグバン★セオリー』のメアリーとは少し違う。脚本家の思い描いたメアリーを演じることができたなら、それ以上望むことはないの。


――ゾーイさんにお伺いしたいのですが、実のお母様が演じられた役にキャスティングされた時の心境は?

ゾーイ:確かに、こんな機会をいただけたことは、にわかには信じがたい。長年、母の演じるメアリーを楽しく見てきたけれど、『ビッグバン★セオリー』のスピンオフが制作されるかもしれないという話を耳にした時、母に「オーディションを受けるべきよ」と言われたのよ。それでやってみようと思ったのだけど、幸い年齢的にちょうど釣り合いの取れているイアンの方が先に出演が決まっていたものだから、オーディションを受けさせてもらえた。メアリーを演じることができて夢のようよ。

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――イアンさんにお伺いします。シーズン1でシェルドンがいかにしてアメコミや『スタートレック』などのSF作品にハマるのかが明らかになりますが、シェルドンのように好きなものはありますか? また、シェルドンはとてもユニークな役柄ですが、演じていて共感できる部分、自分と重なる部分などはありましたか?

イアン:僕はいろいろなものをコレクションするのが好きなんだ。コインを集めるのも好きだし、あと歴史や科学も大好き。コミックも好きだけど、シェルドンほどの愛読者ではないかな。あと外国語を習うことも好き。残念ながら日本語は全然分からないのだけど、習い始めないとね!

それから、僕もシェルドンと同じようにへんな癖がいくつかある。頭脳はもちろんシェルドンには負けるけれど、布と布がこすり合うのがとても嫌いで、靴下を履いてカーペットの上を歩いたり、靴下のままベッドに入るのが嫌だったりする。そういう変なこだわりポイントがあるところはシェルドンっぽいかも。

シェルドンに共感できる部分は多いけれど、彼は人付き合いが苦手だからか、無自覚に人を傷つけるところがあるよね。そういうところは彼に注意してやりたい。自分も気をつけなければならないと思う。

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――お二人が最初に顔を合わせた時、あるいは一緒に演技した時の印象はいかがでしたか?

イアン:このシリーズに限ったことではないけど、やっぱり俳優同士のケミストリーは大事だと思う。ママ・ゾーイ(イアンはゾーイのことをいつも「ママ・ゾーイ」と呼んでいるよう)含め、共演するみんなに会った時、あっという間に打ち解けることができて、ママ・ゾーイとも本物の親子のような感じがしたんだ。

熟練の共演者との仕事はとても楽しいものだけど、中でもゾーイは抜群に演技が上手。現場にいる時もそうでない時も、あらゆる面で助けてくれた。ゾーイは素晴らしい人。だから大好き。

ゾーイ:こう言うとイアンは恥ずかしがるかもしれないけれど、彼はとびっきり可愛い。撮影が始まったばかりの頃は本当に愛らしい少年で、今ももちろんそうなんだけど、あれから大きくなったよね。イアンは演技力の卓越した俳優で、見ているこっちも楽しくなる。天性の才能の持ち主であっても、いやに冷静な子役もいて、そういう子を見ていると「本心から楽しんでいるのかしら?」と心配になったり、悪いことに手を染める子もいるけれど、イアンの場合、そんなことは全くない。心から演技を楽しんでいるみたいだし、上手だし、集中力もすごい。

イアン:ありがとう、ママ・ゾーイ!

ゾーイ:どういたしまして!


――シェルドンは大人顔負けの会話を繰り広げ、口達者な部分がありますが、シェルドン役を演じるにあたって苦労したエピソードなどを教えてください。

イアン:僕は小さいころから記憶力は良い方で、シェイクスピアの暗記に挑戦したりしていた。お母さんに言われたことだけど、難しいセリフを暗記しておくと脳が発達して、情報を記憶に留めやすくなるらしい。それはその通りだと思う。

実際の撮影では、クーパー家の車に乗っているシーンで難しかったのが一つあるのだけど、確かバァバ(アニー・ポッツ)との共演シーンだった。とても複雑なセリフで科学的なことを言わないといけなくて...。でも、もうそのセリフは覚えてないんだ。言い終えた後、即座に忘れた。「この知識は二度と使わないから、脳に負担をかけるのはやめよう」と意識的に記憶から追いやったよ(笑)

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もう一つ難しかったのがシーズン1の第6話「NASAとの対決」のセリフで、「And here near apogee, we gimbal the engine to exert a torque that executes a pitchover maneuver to flip the rocket by 180 degrees. Needless to say, we use a PID controller to minimize the dispersions of landing site.(遠地点の近くでエンジンの向きを変え、ロケットを180度回転させて、軌道を修正する。当然、着陸地点のずれはPID制御で最小限に抑える)」というのがあった。脚本を読んで、「ええ! こんなことを言わないといけないの?!」とびっくりした。覚えるのにかなり時間がかかった。

ゾーイ:もう忘れないね(笑)

イアン:シェイクスピアも科学も一緒。 僕はシェイクスピアの方が好きだけど。


――特に好きなエピソードはありますか?

ゾーイ:一番好きなエピソードは、シェルドンと双子の妹ミッシー(レーガン・リヴォード)が双生児研究に参加するエピソード。笑えるところがたくさんあるし、ジーンとくるところもあるの。

イアン:地質学(を勉強している女子学生と)のエピソードが好きかな。あと、スタージェス先生(ウォーレス・ショーン)が感謝祭の時にクーパー家へやってくるエピソードが好き。


――イアンさんにお伺いします。自身が生まれる前の1980年代を舞台にした作品ということで、現在ならどこにでもあるPCを探したり、消毒液がないから手袋をしたりしていましたね。自身の家にはないものがあったりと、新しい発見はありましたか? また、記念に持って帰りたいものとかありましたか?

イアン:これは過去の遺物で、古代エジプト人が映画を見るために使っていたものらしいのだけど(笑)、VHSテープというものが置いてあったんだ。音声作動式のものでもなさそうだし、スタートボタンもどこにあるのか分からないし、再生の仕方が分からなくて困った。小道具にはそういうわけの分からないものが多かった。

でもおもちゃとか、ミッシーとシェルドンの部屋にあるぬいぐるみが好きだった。スリンキー(『トイ・ストーリー』にも登場する胴体がバネ状の犬)もあったっけ。けど、残念ながら小道具を記念に持って帰ることは許されなかったよ。


――家族のあり方に正解はなく、どんな家族の幸せの形があって良いと思いますが、本作におけるクーパー家の家族のあり方に関してはどう思いますか?

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ゾーイ:メアリーは子どもの無事を常に案じているような母親で、ちゃんと面倒を見たいと思っている。だから多少過保護になることもあるけれど、その思いは子どもたちがきちんと受け止めているように思う。どんな家族にも愛と衝突が共存するもので、誰しも衝突に勝るだけの愛があることを願うものでしょう。

イアン:シェルドンは家族に自分を分かってもらいたい、自分の頭の良さをもっと理解して欲しいと思っている気がする。クーパー家はシェルドンを中心に回っているのに、シェルドンはそのことに無自覚。あと妹のことを邪魔だと思ってるんじゃないかな。彼は一人っ子の方が幸せかもしれない。僕は喧嘩がありつつ、みんなが愛し合っているような家族が良いと思う。僕の家族も時折いがみ合いがあるけれど、一緒にいて楽しいし、愛し合っている。


――最近は過激さや刺激、政治的メッセージの強い番組が多いですが、視聴者に与えることのできる癒しや文字通り息抜きができるといったこの番組の良さ、必要性について、どのように考えますか?

ゾーイ:今は特に世界中が大変な時代だから、みんな家族との一時に安らぎと慰めを見いだしているのではないかと思う。視聴者からはよく「家族や子どもたちと一緒に楽しむことができて嬉しい」というコメントをもらうの。

TVコンテンツはますます多様化していて、特定の世代に向けたものが多い中で、幅広い世代に楽しんでもらえるシリーズがあるのは貴重だと思う。『ヤング・シェルドン』で憩いのひとときを提供できたら嬉しい。

イアン:ママ・ゾーイの言う通りで、僕はお母さんと『ル・ポールのドラァグ・レース』や『Don"t(原題)』というオーディション番組やゲームショーなどを一緒に見たりするのだけど、そういう派手すぎないものが良い。政治色の強いものなどに視聴者が食傷気味になっている中、『ヤング・シェルドン』は新鮮なシリーズだと思う。ママ・ゾーイが言うように、今はコンテンツが世代ごとに細分化されている。だから、僕が見るアニメ番組『Captain Underpants(原題)』に母は興味を示さないし、母の見る『20/20(原題)』という報道番組は僕も見たいと思わない。そういう中で誰しもが共感できて楽しめるシリーズがあるのは良いことだと思う。

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――米国ではシーズン4を前にしていますが、日本ではシーズン2が配信されたばかりです。シーズン2ではそれぞれのキャラクターに何か大きな変化が訪れるのでしょうか。

ゾーイ:シーズン2では、シェルドンとミッシーが双生児研究に参加するエピソードがあるのだけど、その結果、メアリーとジョージ(ランス・バーバー)がシェルドンをいかにひいきしていたかに気づかされて、今までのやり方を振り返る機会になるわ。


――これから本作を見る日本の『ビッグバン★セオリー』ファンにメッセージをお願いします。

ゾーイ:『ヤング・シェルドン』はとても楽しいシリーズなので、シェルドンがソフト・キティを愛しているように、みなさんもこのシリーズを愛するようになると思います!

イアン:シーズン2以降も、とても楽しいよ! シェルドンがコミック本を読んでいる光景がつまらないと思えるくらい、面白いものになるよ! ...うーん、今のは失敗だったね。やり直す。

面白すぎて、つい" Bazinga!"と言いたくなるよ! ...だめだ、僕充電が足りてないね。

シェルドンの人格形成に大きな影響を与えたストーリーが満載の『ヤング・シェルドン』。待望のシーズン2がU-NEXTで見放題配信中。また、シーズン1も見放題配信中(U-NEXT)のほか、ダウンロード販売とデジタルレンタルも実施中。

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(海外ドラマNAVI)

Photo:

『ヤング・シェルドン』シーズン2/『ビッグバン★セオリー ギークなボクらの恋愛法則』 (c) Warner Bros. Entertainment Inc.