カールで描きたかったことを本作で実現!『ウォーキング・デッド:ワールド・ビヨンド』クリエイター独占インタビュー

大人気ドラマの新たなスピンオフ、『ウォーキング・デッド:ワールド・ビヨンド』(以下『ワールド・ビヨンド』)がAmazon Prime Videoにて10月2日(金)より配信中だ。10年前に世紀末を経験し、現在は壁に守られたコミュニティで暮らしている少年少女たちが、ある人物から助けを求められたため、安全な世界を飛び出して自分たちだけで冒険に出る様を描いている。本家『ウォーキング・デッド』でシーズン4からシーズン9まで脚本・製作総指揮を担い、この『ワールド・ビヨンド』ではクリエイター兼ショーランナーに昇格したマット・ネグレテを直撃! この作品に込めた思いや、『ウォーキング・デッド』時代から念願だったことについて語ってもらった。

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――あなたは少年たちがひと夏の冒険に出る映画『スタンド・バイ・ミー』のファンだそうですが、その影響が本作で見て取れました。この新たなスピンオフを通して視聴者に最も伝えたいことは何ですか?

『ワールド・ビヨンド』は未来に向けた希望を描いているんだ。いろんな意味でね。僕は『ウォーキング・デッド』に長年関わっていたわけだけど、あちらはサバイバルが主題だ。だけど、『ワールド・ビヨンド』ではゾンビに対する研究や対策が進み、どうやって世紀末の世界で生きていけばいいかがある程度確立されている。ゾンビをどうやって倒すかの方法が子どもたちにも共有され、ゾンビの治療薬についても研究されているんだ。いつか、ゾンビがいなくなる世界を目指してね。そういう希望のストーリーを描いているんだよ。

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――『ウォーキング・デッド』と違って本作のキャラクターは原作コミックに存在しません。どのようにしてまったく新しいキャラクターを生み出していったのですか? 原作者のロバート・カークマンは何かしらアドバイスをくれたりしたのでしょうか?

君が言う通り、この作品の登場人物たちは全員コミックには存在しない。つまり、僕らにとっては真っ白なキャンバスに絵を描くようなものだった。『ウォーキング・デッド』のチーフ・コンテンツ・オフィサーであるスコット・M・ギンプルと僕にとって、いい挑戦になったよ。アポカリプトの世界で壁に守られながら安全に成長し、普通に教育を受けていて、ゾンビなどに対する知識はあるものの実際に対面したことはない若者たちを描くというのはね。そういうキャラクターを描けることにワクワクしたよ。

一般的に、キャラクターには現実世界の要素を盛り込みたいと思っている。僕らがいつも言っていることなんだけど、世紀末は誰にでも起き得るんだ。だから、僕ら自身の経験したことも生かしながら、キャラクターには現実味を持たせるようにしている。

――『ウォーキング・デッド』にもカールやヘンリー、リディアといった若者はいましたが、カールたちでは描きたかったけれど描けなかった要素やエピソードを『ワールド・ビヨンド』で描いているのですか?

僕にとって『ウォーキング・デッド』で興味深かったことがある。カールがアレクサンドリアに初めて来た時、そこで暮らす同年代の子どもたちに会うんだけど、なじむまでにしばらく時間がかかるよね。彼は長いこと外で大人たちと一緒にワイルドな暮らしをしてきたから、子どもが本来どう過ごすものなのかが分かっていなかったんだ。でもアレクサンドリアでは子どもたちはビデオゲームをしたりコミックを読んだりしていて、カールは少しよそ者気分を味わうことになる。そのダイナミズムは僕にとって興味深いものだったけど、『ウォーキング・デッド』の中では描く余裕がなかった。その後、カールは両親をウォーカーに殺されたイーニッドと知り合い、自分と似た境遇の彼女との絆を深めていくよね。そういうティーンエイジャーの関係を描きたいと思っていたんだけど、『ウォーキング・デッド』は登場人物が多いシリーズだからその時間がなかった。それがこの2つの作品の違いとして気に入っているところかな。

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――カールといえば、『ワールド・ビヨンド』の少年少女は『ウォーキング・デッド』ユニバースのタイムラインでは、もしカールがまだ生きていれば彼と同世代くらいでしょうか?

考えたことがなかったけど、本作の主人公たちは10代後半から20代前半くらいだから、カールはもう少し年上だろうね。タイムジャンプもあったから明確なところは分からないけど、カールは(生きていれば)『ワールド・ビヨンド』の世界では20代半ばか30歳手前になっているんじゃないかと思うよ。

――エリザベス役のジュリア・オーモンドがあなたとスコット・M・ギンプルの脚本の女性の描き方を気に入っていましたが、本作の脚本を描く上で特に心がけたことは? 『ウォーキング・デッド』の脚本を描くのと何か違いはありましたか?

違いがあるとしたら、キャラクターが若いだけだね。現代の若者はとても独立心が強くて思慮深い。彼らはインターネットを通して知識を吸収し、自分の意見を世界に発することもできる。世間に流されるような世代ではなく、世界に影響を与えることが可能なんだ。それは素晴らしいことだよ。僕自身、多くの若くてパワフルな女性に会ったことがあるので、そういう経験をこの作品に生かしたんだ。

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――あなたは現在すでにシーズン2の終盤に取りかかっているそうですが、本作が『ウォーキング・デッド』のほかのシリーズとクロスオーバーすること、例えばリックやジュディスが登場するといったことはあるのでしょうか?

クロスオーバーの可能性が「絶対ない」とは言わないよ。『ウォーキング・デッド』シーズン9でリックが黒いヘリコプターで運ばれたけど、それに関わっていると思われる組織が本作にも出てくるからね。クロスオーバーについては僕自身もいくつかアイデアはある。でも、もちろん主題は本作のキャラクターをきちんと描くことだね。

――『ウォーキング・デッド』がシーズン11で終わることが決まり、本作もシーズン2で完結することが決まっています。今後はダリルのスピンオフや映画もあるとはいえ、ユニバースが終わりに近づいているのではないかと思ってしまうのですが、今後『ウォーキング・デッド』ユニバースはどうなっていくのでしょう?

いい質問だけど、それはギンプルに聞いてもらった方がいいね(笑) 彼がユニバース全体を管轄しているから。僕に言えることはあまりないけど、アンソロジーシリーズの『Tales of the Walking Dead(原題)』も新たに始まることになっているし、『フィアー・ザ・ウォーキング・デッド』は今後も力強く続いていくはずだ。(放送局の)AMC側もフランチャイズ展開を楽しんでいると聞いている。僕自身はユニバースが終わりに近づいているとは思わないな。『ウォーキング・デッド』の世界はまだまだ続いていくはずだよ。

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『ウォーキング・デッド:ワールド・ビヨンド』(全10話)は、Amazon Prime Videoにて独占配信中(毎週金曜日新エピソード配信)。

Photo:

『ウォーキング・デッド:ワールド・ビヨンド』
『ウォーキング・デッド』
(C)Frank Ockenfels 3/AMC
マット・ネグレテ
(C)Gene Page/AMC