【インタビュー】『マーキュリー・セブン』パトリック・J・アダムスらが出演のきっかけを明かす!

アメリカ初の有人宇宙飛行計画「マーキュリー計画」に抜擢された宇宙飛行士7人の実話を描くナショナル ジオグラフィックのドラマシリーズ『マーキュリー・セブン』。ディズニー公式動画配信サービスDisney+(ディズニープラス)にてはじめの2話が独占配信中だが、『SUITS/スーツ』のマイク役で知られるパトリック・J・アダムスらメインキャストのインタビューが到着した。

本作の主人公は、米ソ冷戦の中、「マーキュリー計画」に選ばれた野心溢れる宇宙飛行士たち。国家の重圧に耐えながらも、仲間との絆を深め、富や名声を手にし、一躍有名になっていく一方で、宇宙飛行士に求められる"ライトスタッフ(己にしかない正しい資質)"とは何かを追い求めながら、挑戦し続ける姿を描く。

――本作をドラマシリーズ化、そして出演するにあたり、どの部分に魅力を感じましたか?

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パトリック(グレン少佐役):14歳くらいの時に父がくれた原作「ザ・ライト・スタッフ-七人の宇宙飛行士」を読んで、その頃から大好きだったんだ。だからシリーズ化すると聞いて、自分がどんな役を演じるのか、役がもらえるのかも全く分からなかったけれど、出演したくて話に飛びついた。しかもマーク・ラファティの素晴らしいパイロット版の脚本を読んだら、その気持ちがさらに強くなった。

映画『ライトスタッフ』以外では語られてこなかったストーリーだと思うんだけど、すごいんだよ。映画は 3 時間だったけど、"マーキュリー・セブン"の物語にはもっと長い時間とディテールが必要だし、もっと注目されるべきだといつも感じていたんだ。だからシリーズ化にものすごくワクワクしたよ。そういうわけで参加したんだ。

ジェイク・マクドーマン(シェパード少佐役):実は映画版を観たことがなかったんだ。映画のことは聞いたことはあったし、時代背景も知ってはいたけど。でも脚本にすっかり夢中になったんだ。脚本を読んだ知り合いの俳優たちは口を揃えてその話で盛りあがっていて。いよいよ自分にも話が来て、オーディションを受けることになって脚本を読んだんだけど、皆の言う通り素晴らしい脚本だった。"マーキュリー・セブン"のメンバーから、奥さんや家族、NASAのスタッフたちまで膨大な数のキャラクターが登場する。こんなに大勢のキャラクターのバックグラウンドをまとめ上げたラファティの才能は尋常じゃないよ。

あと、僕は元々シェパードじゃなくて別の役のオーディションを受けていたんだ。だから、オーディションを受けるキャラクターに集中しすぎるというありがちな問題もなく、台本を読めた。シェパードを背後にいる登場人物として全く先入観なく観察することができたし、立場が変わって彼を演じることになったらもっと面白かった。当時はとても豊富な資料が残っている時代で、文書やドキュメンタリー、ポッドキャストと、リサーチするのはいつもすごく楽しい。アメリカがその頃どんなに豊かだったかが見えて、宇宙計画の開始やソ連との競争、数えきれないほど様々な立場から多様な見解がある。こうやって十分な資料と裏付けのあるプロジェクトに取り組むのはとても刺激的だよね。

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コリン・オドナヒュー(クーパー大尉役):僕は 10 代の頃にこの映画を見て、大好きだったんだ。宇宙とか NASA とかそういうのがいつも好きだったしね。実は数年前にアッピアン・ウェイ社で(製作総指揮の)ジェニファー・デイヴィソンと打ち合わせをしたんだ。シリーズが始まるずっと前だと思うけど、本を渡されて、読んでからマネージャーとエージェントにこう言ったのを覚えている。その時は別の番組に出演していたんだけど、この企画が進んで、もし自分が空いていたらぜひ手を挙げたいと。そしてラッキーなことに、今ここでインタビューを受けているんだ。

とにかく二人の言う通り素晴らしいストーリーなんだ、宇宙のことなんて誰も何も知らなかった時代に、核ロケットの上に座って宇宙に行こうとした驚くべき男たちの素晴らしい物語だよ。

――演じる実在の人物について色々とリサーチされたと思います。キャラクターを理解する上で、何か参考になることはありましたか?

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パトリック:圧倒されるくらいたくさんの発見があった。極めて多くの記録が残っているんだ。ジョンと妻のアニーは大恐慌時代に育ったので何でも捨てずに取っておいた。それが全部オハイオ州立大学のアーカイブにあって、資料、写真、インタビュー、レシートやインビテーションなどが何100箱も保管されている。そこで2、3日かけて出来るだけのものをピックアップして、"マイ・ジョン・グレン・ライブラリー"みたいなものを作って、撮影が進むにつれてそこから役立つものを探していけたんだ。

一番驚いたのは、彼が詩人で詩を書くのが好きだったということだね。小さな紙に書かれていて、彼が優れたエンジニアで腕利きのパイロットであったことが確かになったんだ。ジョンの信仰生活や、奥さんや家族との美しい関係は多くの記録がある。でも、詩人だったことや、小さな紙片に彼の手で書かれた詩を見つけたりすることが、情報を解析して彼の頭の中に入り込もうとしている僕を驚くほど助けてくれた。

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ジェイク:僕らは一人ずつバラバラと出演が決まっていったんだけど、最初に決まっていたパトリックが情報をシェアできるように7人全員をメールグループにしてくれて、ポッドキャストや読んだ記事なんかを共有してくれた。シェパードに関して言うと、彼はプライベートを出さない人間で、ジョンとは全く逆だった気がする。彼はこの仕事のせいで超有名人になるのがとても心地悪くて、知名度や立ち回り方が、宇宙計画での成功にどれだけ影響するのか疑問に感じていた。彼の考え通りなら、私生活や人気の有無は関係なく、スキルが全てになっていたんじゃないかな。

シェパードのリサーチは興味深かったよ。確かメンバーで自伝を書いてないのは彼だけだと思う。彼の伝記は没後にワシントン・ポスト紙の記者ニール・トンプソンが書いたんだ。シェパードの追悼記事の担当になったニールが、宇宙に行った最初のアメリカ人にも関わらず彼についての本がないことに気づいた。それで彼の伝記を書くことになったんだけど、全くの他人だったからこそシェパードという人間をよく洞察できているんだ。シェパードの身近な人たちから見た彼への見解を周辺から描いている。

そして、特に彼の役に入り込む上で重要だと感じたのは、有名人の立場や名声との闘いだけではなく、彼が生まれつきのパイロットではないということ。つまり、コックピットに乗っていきなり記録を塗り替えるような、天賦の才能はなかった。実際、パイロットスクールを退学しかけて、こっそり補習クラスの授業料を払わなきゃいけなくて。誰かに知られたら相当バカにされるようなことだよね。だから、一度掴んだら握って離さない、それが彼の仕事のルールになった。天性の能力に頼るかわりに、几帳面に延々と繰り返して、機械的にできるようになるまで続けるんだ。それで彼の競争心が強くなり、他のテストパイロットみたいに一番を目指して、限界に挑戦するハングリーな野心を抱いたのだと思う。マークの脚本の彼のキャラクターと組み合わせて、全てとても役に立ったし、興味深かったよ。

コリン:僕は二人とは全く逆で、実は参加したのが多分、撮影スタートの3、4日くらい前だったから、時間がなくて。本は読んでいたから、基本的には本と脚本に書かれていることで演じていった。僕のゴードンへの考察は全部パイロット版の脚本から得たようなものだった。幸いとても優れた脚本だったから、そこから何かを紐解くことができたよ。本当に脚本がとても良くて、でもそれ以上に、本当に素晴らしいと感じたものに参加できて、実在するアメリカのヒーローを演じることに興奮した。

僕は(アイルランド出身なので)訛りが大丈夫かを一番気にかけていて、ちゃんと出来ているか確認するのが課題だった。でも個人的には、そういうことばかり考えて特定の方法で誰かを表現することにこだわると、演技にとても悪い影響を与えかねないと思っていて。だから、とにかくトライして、そんなことは気にせず流れに乗ってセリフを言うのが一番いいと思うんだ。リサーチする時間は全くなかったけど、いいゴードンを演じられていることを願うよ。

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ディズニープラス オリジナルドラマシリーズ『マーキュリー・セブン』(全8話)
日本初独占配信中!
公式サイト:https://disneyplus.jp/ 

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『マーキュリー・セブン』
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