ロングランヒットを誇る犯罪捜査ドラマ『LAW & ORDER』シリーズ。本作の最大の魅力の一つは、実際に起きた事件に着想を得たリアリティあふれるストーリー展開にある。しかし、その裏側では、自身の悲劇がドラマ化されることを放送直前まで知らされない実在の被害者たちが、「極めて不快なサプライズ」に晒され続けているというのだ。
-

Huluの夏は海外ドラマが熱い!『LAW & ORDER』スピンオフ最終章から『NCIS』『FBI』最新シーズンまで注目作が続々登場
2011年のサービス開始以来、日本の海外ドラマブームを牽引し …
実話事件を無断でドラマ化?
1990年にNBCの旗艦番組『LAW & ORDER』の脚本家として参加し、後にショーランナーやスピンオフ作品『LAW & ORDER クリミナル・インテント』の生みの親となったルネ・バルサー。数多くの実在犯罪を1時間のドラマへと昇華させてきたバルサーだが、2009年の米NPR(全米公共ラジオ放送)のインタビューにて、制作過程において被害者やその遺族へ事前に連絡を取るプロセスが存在しないことを明かした。
バルサー自身、ドラマを観てショックを受けた被害者たちの存在を認識しており、「犯罪を描く者なら誰しも、作品を通じて被害者の遺族や関係者が痛みを思い出し、再び傷ついている事実を知っている」と、その苦悩と自覚を語っている。自身らの仕事が社会的に絶大な功績を上げるものではないと理解しつつも、特定事件への問題意識を高める一助になることを願って執筆を続けてきたという。
法的対策とファンの洞察力、そして続く被害者の声
同インタビューでバルサーは、法的なトラブルを避けるために脚本家陣が事実関係を十分に改変しているとも説明した。これにより、親会社であるNBCユニバーサル側は「完全な再現ではなく、無関係である」と主張できる法的余地を確保している。
しかし、どれほど設定変更を施そうとも、トゥルー・クライムファンや視聴者の目を誤魔化すことはできない。有志によるファンWikiには、ニュースの見出しからそのまま切り取ったエピソードと、その元となった実在事件の詳細な一覧が網羅されているのが現状だ。
こうした制作体制は2020年代に入っても変わっていない。2020年、元交際相手の同僚ダンサーからプライベートな画像を無断共有されたとして提訴したニューヨーク・シティ・バレエ団のダンサー、アレクサンドラ・ウォーターベリー。彼女は『LAW & ORDER: 性犯罪特捜班』シーズン21の「バレエと嘘とビデオテープ」が自身の被害に基づいていることを知り、大きな衝撃を受けた。
事前調査のためか、放送前の夏に脚本家の一人がウォーターベリーのInstagramをフォローしていたものの、番組側から正式な連絡は一切なかった。弁護士からは「事件への注目度が高まり、訴訟にプラスに働くのではないか」と助言されたものの、彼女の憤りが消えることはなかったという。
ウォーターベリーはMarie Claire誌に対し、「自分の存在が利用されたと感じました。性暴力のサバイバーに対して、あまりにも酷い仕打ちです」と、その深い傷心を吐露している。実在の事件をエンタメ化する際の倫理的課題は、今なお議論を呼び続けている。
『LAW & ORDER:性犯罪特捜班』シーズン1〜26、スピンオフ最終章『LAW & ORDER:組織犯罪特捜班』ファイナルシーズン、『LAW & ORDER:クリミナル・インテント』シーズン1~10、『LAW & ORDER:トロント』シーズン1~2はHuluにて配信中。(海外ドラマNAVI)







