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『ナイト・マネジャー』ファンにおすすめ!ジョン・ル・カレ原作の隠れた名作とは?

2026年1月22日 ※本ページにはアフィリエイト広告が含まれます

ナイト・マネジャー

傑作スパイドラマ『ナイト・マネジャー』の原作者としても知られるジョン・ル・カレ。彼の同名小説をドラマ化した『リトル・ドラマー・ガール 愛を演じるスパイ』は、スパイという存在の本質に鋭く切り込んだ異色の名作だ。本作の見どころと評価について、米メディアColliderが改めてその魅力を掘り下げている。

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『リトル・ドラマー・ガール 愛を演じるスパイ』の魅力

スパイ小説の巨匠ジョン・ル・カレは、善悪の二項対立を拒み、国家や組織の論理の中で個人がいかに摩耗していくかを描き続けてきた作家だ。『裏切りのサーカス』として映画化された「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」をはじめ、彼の小説は数多く映像化されてきたが、その本質は派手な諜報アクションではなく、「正義と加害の境界がどれほど曖昧か」を突きつける冷徹な視線にある。『リトル・ドラマー・ガール』もまた、その代表的な一作であり、1984年の映画版を経て、米AMCによって2019年に新たにドラマ化された。

本作の全話を監督したのは、韓国映画界を代表するパク・チャヌク。映画『オールド・ボーイ』や『お嬢さん』などで知られる彼は、暴力と欲望、視点のずらしを巧みに操る演出で国際的な評価を確立している監督だ。英語作品としては『イノセント・ガーデン』に続く挑戦となるが、本作では持ち前の映像感覚と心理描写を存分に発揮し、テレビシリーズとは思えない完成度を実現している。

物語の舞台は1979年、イスラエルとパレスチナ間の緊張が最高潮に達していた時代。モサドの工作員マーティン・“マーティ”・クルツとガディ・ベッカーは、パレスチナ過激派組織の首謀者カリル・アル・カダルを追い詰めるため、ある大胆な作戦を立案する。その鍵となるのが、左翼思想を持つ舞台女優チャーリー・ロスだ。彼女は自分がどれほど組織に監視され、分析されていたかを知る間もなく、偽の人生を与えられて敵組織の内部へと送り込まれる。演技を生業とする彼女にとって、スパイ活動は演技の延長線上にあるはずだったが、その境界は次第に崩れていく。

本作の最大の見どころは、スパイ活動を「演じる行為」として捉え直している点にある。誰もが嘘をつき、他者だけでなく自分自身さえ欺いている世界で、真実は常に主観的だ。チャーリーは任務を遂行する中でカリルに共感し、感情を揺さぶられていくが、その展開すらもクルツの計算の内だった可能性が示唆される。特にベッカーという存在は、誠実なのか人を操っているのか判別がつかない人物として描かれ、彼の言葉や涙が本物なのか演技なのか、最後まで分からない不気味さを放っている。

パク・チャヌクの演出は、こうした心理戦を映像的にも鮮烈に可視化している。視点の切り替えや記憶の重なりを通じて、同じ出来事が異なる「真実」として描く構成は、6話という尺だからこそ成立したものだ。ブラックユーモアも随所に散りばめられているが、物語が描き出すのは暴力と報復が連鎖する世界の冷酷さであり、誰一人として無垢なままではいられない現実だ。

『リトル・ドラマー・ガール』は、ル・カレの精神性とパク・チャヌクの作家性が高次元で融合した稀有なスパイドラマだ。重厚で現代的なその語り口は、原作ファンのみならず、優れた映像表現を求めるすべての視聴者に強く訴えかける一本となっている。

『ナイト・マネジャー』シーズン2は、Amazon Prime Video(プライムビデオ)にて配信中。(海外ドラマNAVI)

Photo:『ナイト・マネジャー』シーズン2© Amazon Content Services LLC

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海外ドラマNAVI編集部

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