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『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』は三部作の完結編!キャメロン監督が明かすシリーズの未来とは【インタビュー】

2025年12月19日 ※本ページにはアフィリエイト広告が含まれます

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『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』ジェームズ・キャメロン

本日よりついに『アバター』シリーズ待望の第3作『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』が公開される。前作『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』から約3年、ジェームズ・キャメロン監督が描くのは、憎しみの炎と追悼の灰。家族の絆、父と息子の葛藤、そして憎しみの連鎖をどう断ち切るのか。来日したキャメロン監督に、本作に込めた思いを聞いた。

三部作の完結――ここで一つの物語が終わる

――本作は三部作の完結編とのことですが、今後のシリーズ展開についてはどのようにお考えですか?

本作の製作には3,000人ものスタッフが参加しています。膨大な数のアーティストと高度なテクノロジーを結集し、より良い映像と物語を追求してきました。 変化の大きさで言えば、2作目と3作目の間よりも、1作目と2作目の間の方が大きかったと思います。実は、2作目と3作目は本来1本の映画として公開する予定でした。しかし、物語が長大になりすぎたため、やむを得ず2作に分割したのです。結果として、どちらも3時間級の作品になりました(笑)

まず皆様にお伝えしたいのは、今回の『ファイヤー・アンド・アッシュ』でシリーズが一区切りつくということです。3部作としての物語は、本作で完結します。4作目、5作目の構想もありますが、まずはここで一旦終了です。次作が作れるかどうかは本作のヒット次第ですし、もし実現したとしても、それは新たな物語の始まりとなります。

『ファイヤー・アンド・アッシュ』は、クリフハンガーのように唐突に終わるのではなく、しっかりと構成された結末を迎えます。観る人の心が深く満たされ、カタルシスを感じられる作品にするため全力を尽くしました。その成果を認めていただければ嬉しいです。

『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』(ウィンド・トレーダーズ)

父と息子の物語――監督自身の経験を投影

――本シリーズには、監督ご自身の経験がどのように生かされているのでしょうか。

私は共同脚本家とともに作業していますが、最終的な脚本の執筆は私自身が行います。そのため、登場キャラクターの全てに私自身、あるいは私の一部が投影されています。今回は特に、ジェイク、スパイダー、そしてロアクにその傾向が強いですね。

私自身の父は非常に厳格な人物でした。当時14、15歳で想像力豊かな芸術家気質だった私を、エンジニアで実務的な父は全く理解できませんでした。私自身も反抗し、そこには強い緊張関係(テンション)がありました。その関係性が、本作にはそのまま描かれています。

『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』(子供たち)

脚本を書いたのは10年前ですが、当時ちょうど私の5人の子どもたちが10代の反抗期を迎えていました。彼らがアイデンティティを模索する時期に、私も父と同じように少し厳しくしすぎてしまったと反省しています。そうした親子の緊張感を、作品に落とし込んでいます。

究極的には、本作は「父に認められたい、自分を見てほしい」と願う息子の物語とも解釈できます。物語はロアクの視点で描かれます。なぜなら、ジェイクはロアクを理解できず、息子の本質が見えていない。「こんなに認知してほしい、見てほしいと叫んでいるのに」というロアクの渇望が根底にあるからこそなんです。

興味深いことに、スパイダーとクオリッチ、そしてジェイクとの間にも、血のつながりはなくとも父と子のような関係と緊張が存在します。今回はすべてが「父と息子」の物語なのです。

『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』(クオリッチ)

厳しいジェイクの裏にある愛情

――ジェイクが息子に厳しく当たるシーンが印象的でした。サム・ワーシントンにはどのような演出をされましたか?

サムに「どの程度厳しく演じればいいか」と聞かれた際、「徹底的にやってくれ」と伝えました。ジェイクが息子に厳しく当たるのは、生き抜くための術を身につけなければ殺されてしまうかもしれない、という危機感からです。だからこそ、学んでほしいと必死なのです。

この作品は、家族との関係に悩み、「親は自分を誇りに思っていないのではないか」と感じている子どもたちにもぜひ見てほしいと思っています。ジェイクは観客から愛されているキャラクターだからこそ、あえて限界まで厳しい演技を求めました。しかし、そうした厳しいシーンの後には、必ずジェイクの表情をアップで写すような、プライベートなシーンを入れるよう心がけました。ジェイクと観客だけが共有できる「息子への愛」を感じるシーンです。それを見れば、子どもたちは「親に認められていないと思っていたけれど、父は言葉にできないだけで、本当は愛してくれているのかもしれない」と感じられるのではないでしょうか。

サム自身も3人の息子がいるんですが、「ティーンエイジャーになったら大変だよ」とよく話していました。家族の絆とは何か、どうすれば強くなるのか。家族関係は簡単ではありませんが、これは文化を超えて世界中の人々に普遍的に伝わるテーマだと思います。

『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』(ジェイク)

火と灰が象徴するもの

――空、水に続き、今回は「火」の映像表現が印象的です。新たに挑戦した技術や表現の難しさについて教えてください。

水の表現は困難ですが、火は技術的にはそこまで難しくありません。2作目と3作目は並行して制作していたため、まずは「水中をどう撮るか」という課題を解決する必要がありました。

本作において、火はより象徴的な意味を持って登場します。劇中のセリフにもあるように、「火」は暴力を、「灰」は誰かを失った時の悲しみを意味します。息子を亡くしたネイティリが顔に灰を塗っているのは、喪に服し、心が痛んでいることを表現しています。

『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』(ヴァラン)

一方、アッシュ族(火の部族)は意味合いが異なります。彼らが体中を灰で覆うのは、かつて火山の噴火で無力化された際の力を取り戻したいという意志の表れです。自ら灰をまとい、悲しみや痛みを「武器」へと変えているのです。今回はこうしたテーマ的な要素が大きかったですね。

ロアクがボイスオーバーで「憎しみの炎が残すのは、追悼の灰だけである」と語る通り、痛み、喪失、トラウマを経験したキャラクターが、暴力や嫌悪に走り、それが連鎖していく様子が描かれます。これは現実の歴史でも繰り返されてきたことです。映画は「どうすればその負の連鎖を断ち切れるのか」と問いかけています。

その中で興味深いのがネイティリです。彼女は追悼の灰をまとっていますが、それが徐々に憎しみへと変わり、「スカイピープル(人類)は全員悪だ」という差別的な思考さえ持ち始めています。しかし、スパイダーはどうなるでしょうか。彼は彼女の子どもの親友であり、ずっと近くにいた存在です。観客の皆さんはスパイダーにもネイティリにも愛着があるはずですから、二人に和解してほしいと願うでしょう。

ご存知の通り、私は映画を暗い結末にはしません。最終的には解決へ向かいますが、「どこで、どうやって解決するのか」が今回の重要な道のりとなります。

『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』(ネイティリ)

銃と暴力――現代社会への問いかけ

――『ウェイ・オブ・ウォーター』で銃撃シーンをカットしたと伺いました。過去の『ターミネーター』等と比較し、銃や暴力の描写についてどのようにお考えですか?

非常に重要で興味深い質問です。アメリカでは集団銃撃事件などが多発しており、銃による暴力が深刻化しています。今の私には、銃文化を礼賛するような『ターミネーター』を作ることはできません。そのようなニュースを聞くたびに心を痛めています。同時に、ジェイクは元海兵隊員であり、「武器と一体になってこそ最強」という海兵隊の思想も持っています。

実は6年前に撮影した初期の脚本では、スカイピープルと戦うためにナヴィたちに銃の扱い方を教えるシーンがありました。しかし、最終的にそのシーンは削除しました。「守るために戦うこと」と、「侵略・支配のために攻撃すること」の違いは何なのか。それを深く考えた結果です。本作ではこのテーマに触れていますが、あえて明確な答えは提示していません。

『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』(ジェイク&ネイティリ)

スカイピープルは命を軽視し、征服者として強力な武器を使用します。一方、アッシュ族はトラウマから力を渇望し、銃を求めてクオリッチから与えられます。これは植民地時代の歴史と重なります。支配者が先住民に銃を与え、内戦を引き起こし、最終的に征服する構造です。

ジェイクは本能的に家族や仲間を守ろうとする戦士ですが、戦いの因果を知っているからこそ、戦いたくないと願っています。対照的に、平和主義を貫くトゥルクン族の中から、母を殺された恨みから戦いを選ぶキャラクターが登場します。様々な形の「戦い」を描くことで、単なる加害目的の暴力と、信念のために立ち上がる勇気の違いを浮き彫りにしたいと考えました。

簡単な答えはありません。ネイティリのように「Kill them all.(全員倒す)」というシンプルな憎しみを持つ者もいれば、ジェイクのように葛藤する者もいます。それぞれのモラルを探求する物語になっています。

『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』(トゥルクン)

映画でしかできない体験とは

――監督が考える「映画でしかできないこと」とは何でしょうか。

映画は、一つのアイデアを正確かつ鮮烈に表現できるメディアだと思っています。たとえば、小説は登場人物の心情に深く入り込めますが、ビジュアルや世界観は読者の想像力に委ねられます。対して映画は、私たちが想像した世界をそのままイメージとして提示できます。もちろん「パンドラにいるんだ」と没入するためには観客の想像力も必要ですが。

これはテレビでは味わえない、深い体験だと考えています。TikTokが悪というわけではないですが、それら配信動画は自由に止めたり飛ばしたりできますよね。映画館という空間は、作品と深くつながり、意識を集中させる場所です。映画館で映画を観る行為は、自分自身とある種の「契約」を結ぶことだと言えます。

「これから2~3時間、瞑想するようにこの作品と向き合い、最後まで見届ける」という自分への挑戦であり、だからこそ深い体験が得られるのです。これこそが、映画でしかできないことではないでしょうか。

『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』(ヴァラン2)


『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』は、単なる続編ではなく、三部作として一つの完結を迎える作品だ。父と息子、家族の絆、憎しみと和解――キャメロン監督が自身の経験を投影しながら描く普遍的なテーマは、きっと世界中の観客の心に響くだろう。

『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』は本日12月19日(金)日米同時公開。(海外ドラマNAVI)

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Photo:配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
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  • この記事を書いた人

Lena

海外ドラマNAVI編集部。BBC『SHERLOCK』がきっかけで海外ドラマの沼へ。根っからのオタク気質で、英国作品以外ではアメコミ原作シリーズを好みMCUは全作網羅。そのほかホラー・スプラッタが好きで、欧米だけでなく韓国ドラマもよく視聴する。

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