HBO新作ドラマ『IT/イット ウェルカム・トゥ・デリー “それ”が見えたら、終わり。』について、脚本・監督・エグゼクティブプロデューサーを務めるアンディ・ムスキエッティと、エグゼクティブプロデューサーのバーバラ・ムスキエッティにインタビュー! ペニーワイズの起源を描く本作について、二人に話を聞いた。
『IT/イット ウェルカム・トゥ・デリー』アンディ&バーバラ・ムスキエッティ インタビュー
HBOの新作ドラマ『IT/イット ウェルカム・トゥ・デリー』。映画『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』と『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』で世界中を震撼させたアンディ・ムスキエッティが、再びスティーヴン・キングの恐怖の世界に挑む。今回は脚本・監督・エグゼクティブプロデューサーとして参加し、姉のバーバラ・ムスキエッティもエグゼクティブプロデューサーとして制作に加わっている。
カナダは第二の故郷
──カナダでの撮影に戻ってこられた感想をお聞かせください。
アンディ:素晴らしかったです。カナダは私たちにとって第二の故郷です。映画のときと同じクルーがたくさん参加してくれました。
バーバラ:デリーとなる場所であるトロント、ハミルトン、ポートホープに戻ってこられて本当に嬉しかったです。私たちが感じるサポートと信頼は計り知れないものがあります。俳優陣も技術チームも素晴らしいです。

スティーヴン・キングとの深まる絆
──原作者のスティーヴン・キングとの関係について教えてください。
アンディ:スティーヴンは非常に協力的で、彼との関係はますます愛情深いものになっています。読者として、ファンとして最初から彼を愛していましたが、最初の映画を制作して以来、私たちの関係はさらに親密になりました。『ウェルカム・トゥ・デリー』の制作においては、脚本を作成している期間、すべてを彼と共有しました。原作には明示されているものの、詳しく語られていない疑問がたくさんあります。私たちが展開したストーリーに、彼はとても興奮してくれました。
バーバラ:スティーヴンの物語を拡大することに、彼は愛と勇気をもって応えてくれました。彼と一緒に仕事ができて本当に幸運です。
長編ドラマという選択
──『イット』シリーズは『ストレンジャー・シングス 未知の世界』と比較して語られることもありますが、これについてどうお考えですか?
アンディ:実は『ストレンジャー・シングス』は視聴していないので比較できません。原作への愛が、本作のインスピレーションでした。より大きなキャンバスを得る機会を得たことにより、キャラクターの人生に深く入り込み、彼らともっと時間を過ごすことができました。
バーバラ:私は『ストレンジャー・シングス』を見たことがあるんですが、お気に入りの作品の一つです。ただ、何でもかんでも比較するのは良くないと思います。人は皆、自分の運命がどこにあるのかを知り、それに従うべきです。私たちの選択は、原作と映画シリーズによって明確に示されているからです。
アンディ:本作を見ると、原作と映画からわかることが、より大きな物語の氷山の一角にすぎないという感覚を持つでしょう。我々は水面下の氷山を明らかにしているのです。

1962年という時代設定の意味
──本作の舞台は1962年と、映画シリーズよりも過去を描いています。この時代を選んだ理由は?
アンディ:1962年は『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』で描いた1989年のちょうど27年前です。ペニーワイズは、27年周期で活動しますよね。今回は映画シリーズより前の物語を描きたかったので、1962年を舞台に設定したのは必然とも言えます。
この時代設定は、物語をよりドラマチックに展開するにもぴったりでした。アメリカは冷戦の真っただ中にあり、人々は核が引き起こす大惨事の可能性に怯えていました。特に子どもたちは、学校で核攻撃の際の対処法を教えられていたんです。これは、ホラー、ユーモア、そしてドラマという、物語の3つの大きな柱の重要な背景を提供しています。
現代に通じる恐怖
──60年代を舞台にしながら、今日の世界にも当てはまる恐怖を描いているそうですね。
アンディ:ペニーワイズは恐怖を煽る者です。私たちは今、恐怖を煽ることがある種の生産性となっている時代に生きています。だからこそ、この作品は関連性があります。これはスティーヴン・キングがこれらのキャラクターを創造したときに、常に心にあったテーマだと思います。
バーバラ:現在、政治コミュニケーションの中で、不安を助長するために恐怖心を煽ることが非常に多いです。私たちは情報が正しいかを見極め、他者への恐怖に加担しないようにしなければなりません。私たち誰もが皆同じ人間であり、この地球に住んでいるという事実を認識する必要があります。
ビル・スカルスガルドの重要性
──本作ではビル・スカルスガルドがペニーワイズ役を再演し、エグゼクティブプロデューサーも務めていますね。
アンディ:ビルは映画シリーズの成功の一翼を担っています。最初から彼の参加は絶対的なものでした。彼なしではありえません。
バーバラ:映画の2作目『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』を制作しているときも、私たちはペニーワイズとボブ・グレイの起源を探求していましたが、彼はその中心的存在なんです。
アンディ:2作目を制作している際のビルとの会話が、本作が誕生したきっかけとも言えます。ペニーワイズのバックストーリーがどうなるか、ボブ・グレイはどのようにしてペニーワイズになったのか、そういった謎に光を当てることが大きな推進力でした。

テレビシリーズという形式
──なぜ映画ではなくドラマというフォーマットを選んだのですか?
アンディ:私たちは映画人ですが、映画には限界があります。作品の長さは、感情的にキャラクターにどれだけ近づけるかにも関係します。より大きな物語を語るには、より適した形式が必要でした。だからこそ、これをドラマシリーズとして制作することが重要だったのだと考えています。映画をドラマにすべきだったという意見も多く、私もそれは一理あると思います。もちろん、私はあの2作にはとても満足しているのですが、今回は、適切なキャンバスと適切な形で物語を語る新しい機会だったのです。
『IT/イット ウェルカム・トゥ・デリー』配信情報

『IT/イット ウェルカム・トゥ・デリー』は、2025年10月27日(月)10:00よりU-NEXTにて独占配信開始。(海外ドラマNAVI)



