先日開催された第77回プライムタイム・エミー賞授賞式で、エミー賞を初めて受賞したノア・ワイリー。かつて『ER 緊急救命室』のジョン・カーター役で5回ノミネート経験はあったが、主演・製作総指揮を務める医療ドラマ『ザ・ピット/ピッツバーグ救急医療室』で6度目の正直を果たし、同作は作品賞にも輝いた。『ザ・ピット』が多くの人気作を抑えて5冠を獲得した理由と今後の展開を、HBOのボスが語った。
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従来の放送局スタイルを動画配信サービス作品に踏襲
エミー賞授賞式に米Varietyの取材を受けたHBOの会長でありCEOのケイシー・ブロイスは、まず本作の成功が象徴するものは何かという質問に次の通り述べた。「コメディ、ドラマ、ドキュメンタリーを問わず、どんなジャンルであっても良い番組を作るのは難しいものです。でも、『ザ・ピット』プロデューサーのジョン・ウェルズとノアとR・スコット・ゲミルがまずやりたかったのはクオリティの高い番組を作ることで、さらにそれを15エピソードで構成することでした。基本的に1つのセットで撮影することで、予算を抑えることができました。『ザ・ピット』のクルーは、15エピソード分のシーズンを作る方法はもちろん、それを毎年視聴者に提供する方法を理解しています。毎年新シーズンを提供し続けることこそが、ドラマ界にとって大事なんです」
「『THE LAST OF US』や『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』のような(制作に時間がかかる)大作ドラマがあるのはもちろん素晴らしいことです。しかし、私たちは業界として、そのような作品に重点を置きすぎたのかもしれません。毎週、質の高いエピソードを提供し続けるのは本当に大変なことなのです。だからこそ、今回『ザ・ピット』が評価されて受賞したことは、とても喜ばしいです」
近年急速に台頭してきた動画配信サービスによるドラマの影響か、1シーズンが10話に満たないもの、その全話を一挙にリリースするもの、シーズンとシーズンの間が数年空くものも、業界全体として増えてきている。しかし『ザ・ピット』は、ストリーミングサービス(HBO Max)作品としては珍しい全15話というボリュームで、全話を毎週一話ずつ配信していくスタイルを採用。そして現在、シーズン2を2026年に提供する予定で動いている。昔ならではの放送局スタイルにこだわるとともに、その実現を可能にしたのは、ウェルズとノアが15年間続いた『ER』などで、ゲミルは14シーズン続いた『NCIS:LA ~極秘潜入捜査班』などで、ほぼ毎年20話以上放送し続ける形を経験済だったからだろう。
ブロイスは続けて、『ザ・ピット』のスピンオフの可能性、例えば夜間シフトのバージョンを作ってみては?という問いかけに対しては、以下のように答えた。「本作の制作を決めた時、まずはこれで試してみて、それをモデルにほかの番組も作るつもりでした。スピンオフである必要はありませんがね。晴れて『ザ・ピット』が成功したので、実は同じスタイルでほかのタイプの作品に着手しているところなんです。まずは警察ドラマやファミリードラマで、『ザ・ピット』のやり方を踏襲してみようと思っています。ただ、『ザ・ピット』はビンの中に閉じ込めた稲妻のようなものなので、もう1回うまくできるかは分かりません。とはいえ、このモデルが(放送局でなく)ストリーミングサービスでも機能することは証明できました」
そして撮影中のシーズン2については、「プロデューサーたちは、この番組がどういうものか分かっています。キャストもみんな落ち着いていて、寸分の狂いもなく、すべてが順風満帆という感じです」と期待を持てる回答をした。
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参考元:米Variety