人気ドラマ『ウォーキング・デッド』ではニーガンや総督など、強烈な印象を残したヴィランが人気を博しているが、それはなぜなのだろうか。米Screen Rantが伝えている。
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ヴィランたちが魅力的な理由
Telltale Gamesのビデオゲームシリーズ『ウォーキング・デッド』の主人公クレメンタインを描いたヤングアダルト向けグラフィックノベルシリーズ『Clementine(原題)』のクリエイター、ティリー・ウォルデンが、ドラマ『ウォーキング・デッド』のヴィランたちが魅力的な理由を語っている。
ウォルデンの視点は単なるヴィランの描写を超え、「苦しみ」という共通体験に焦点を当てた、極めて人間的なアプローチだ。ウォルデンは、「人が他者に害を及ぼす動機は何か」を理解しようとする姿勢を創作に込めており、自身の母親との関係や少女時代に受けたいじめの体験が、『Clementine』のヴィランたちを創造する上で重要な要素になっていると明かしている。そのうえで、「ヴィランたちが深く苦しんでいたからこそ、その痛みがより一層酷く感じられた」とし、ヴィランの行動を理解し、「理にかなっている」と感じられるようになったと語った。
またウォルデンは、「ただ人を殴る悪い奴」など描けないし、それでは創作として「行き止まり」だと断言。真に記憶に残るヴィランを生み出す鍵は、「彼らが抱える苦しみ」と「苦しみに対処する方法」だと説明している。『Clementine』に登場するミス・モロやガーデナーといったキャラクターたちは、まさにその哲学に基づいて構築された複雑なヴィランだという。
『ウォーキング・デッド』の代表的なヴィランである総督や、亡き妻ルシールとの関係が悲劇的なニーガンは、いずれも「苦しみの化身」として描かれている。さらには、無限に襲いかかるゾンビの群れですら、人間が直面する喪失と絶望の象徴と言えるとしている。ウォルデンは、「誰も最初から悪人になろうとはしません」と語り、悪に堕ちた者たちもまた、かつては普通の人間だったと強調している。そのため、彼らの悲劇にはどこか共感する部分があるのだ。
コミックと本家ドラマシリーズは完結しているが、『Clementine』のように新たな視点から『ウォーキング・デッド』の世界を掘り下げる試みは続いている。ウォルデンは、苦しみから生まれた新たなヴィラン像を提示することで、この終末世界にふさわしい“悲劇的な人間ドラマ”を紡ぎ続けているのだ。
『ウォーキング・デッド』全シーズンは、NetflixとDisney+(ディズニープラス)、U-NEXTにて配信中。(海外ドラマNAVI)
参考元:Screen Rant