
「忠臣蔵」をモチーフにキアヌ・リーヴス、真田広之、浅野忠信などが出演した2013年の映画『47RONIN』の監督として知られるカール・リンシュが、Netflixに対する詐欺容疑で起訴された。有罪となれば、残りの人生を刑務所で過ごすことになる可能性もあるという。米Deadlineが伝えた。
最高90年の懲役刑?
リンシュは3月18日(火)、Netflixから1100万ドル(約16億円)を受け取りながらも、長年約束されていたSFドラマシリーズを制作しなかったとして、ロサンゼルスで逮捕、起訴された。通信詐欺1件(最長なら20年の懲役刑)、マネーロンダリング1件(同20年)、および特定の違法行為によって得た財産を用いた金融取引5件(それぞれ同10年)で起訴されており、47歳のリンシュは有罪となれば人生の大半を刑務所で過ごす可能性があるという。
FBIのレスリー・バックスキーズ副長官は「カール・リンシュは、有名なストリーミングプラットフォームから1100万ドル以上を詐取し、約束されたドラマシリーズを制作する代わりに、贅沢な買い物や個人的な投資に費やしたとされる」と声明を発表。「FBIは、企業を詐欺しようとするあらゆる人物を取り締まり続ける」と強く述べた。
まるでNetflixの実話に基づくドラマやドキュメンタリーの題材にありそうな今回の事件。問題となっているのは、Netflixのオリジナル作品を担当する幹部のシンディ・ホランドが2018年にAmazonから6100万ドル(約91億円)以上で買い取った『White Horse』(のちに『Conquest』と改題)というプロジェクトで、Netflixは当初資金として4400万ドル(約66億円)を用意したが、編集の最終決定権を握っていたリンシュは2020年にさらに1100万ドルを要求。リンシュはこの追加資金について、制作の前後に必要な諸費用だと説明していた。しかしそれから1年経ってもまったく進捗が見られなかったため、Netflixは企画を打ち切りに。5500万ドル以上を損失として計上し、2024年リンシュに対して1200万ドル(約18億円)の仲裁判断を勝ち取ったが、監督側はむしろNetflixが自分に1400万ドル(約21億円)を支払うべきだと主張していた。リンシュがこの支払いを履行した形跡はない。
気になるのは巨額の資金の行方だが、リンシュはこの件が裁判に発展する前にこれらの資金を「Rinsch Company」という名義の銀行口座に一旦預けた後、様々な口座や場所へと移した。その後、立て続けに失敗した市場取引により、1100万ドルのおよそ半分を1年足らずで使い果たしたという。それでもリンシュはNetflixの幹部たちに「作品は順調に進んでいる」と報告し、その一方で高額な支出を続けていたようだ。
FBIなどの調査では、リンシュは残りの資金の使い道として、自身の離婚訴訟やNetflixに対する訴訟の弁護士費用、高級ホテルや高級賃貸物件の宿泊・滞在費、アンティーク家具や高級寝具の購入、高級時計や衣服の買い物などがあると報告されており、5台のロールス・ロイスと1台のフェラーリの購入費も含まれるという。まるで映画のような贅沢三昧だが、法廷でどのような真実が明かされるのだろうか?
(海外ドラマNAVI)
Feds Indict '47 Ronin' Director Who Scammed Netflix Out Of Millions For Never Made TV Series https://t.co/E0r9aIsbKN
— Deadline (@DEADLINE) March 18, 2025
参考元:米Deadline