型破りな探偵ドラマ!マーク・ゲイティス、新作ミステリーと『SHERLOCK』での教訓を語る

大人気の英国ミステリー『SHERLOCK/シャーロック』でクリエイターを務め、シャーロック・ホームズの兄マイクロフト役も演じたマーク・ゲイティスは、英UKTVのクライムドラマチャンネルAlibiで2025年に放送予定の新作ドラマ『Bookish(原題)』で主演・脚本を務める。この新作について、マークが米Deadlineのインタビューに応じた。

 

博学で型破りな探偵が主人公の『Bookish(原題)』

新作ドラマ『Bookish(原題)』は、第二次世界大戦後の1946年のロンドンを舞台に、博学で型破りな探偵のガブリエル・ブック(マーク)が、古風な書店に並ぶ何千冊もの本から必要な知識を得て、謎めいた事件を解決していく物語。彼の周りには愛すべき傷ついたはみ出し者たちが集まり、ブックは彼らを保護して勇気づけ、メンターとなる。各話70分の全6話で、3つの事件が2話にわたって描かれる構成だ。放送開始前にすでにシーズン2への更新も決まっている。

共演者はブックの妻トロッティ役のポリー・ウォーカー(『ブリジャートン家』)をはじめ、ブックの助手ジャック役のコナー・フィンチ(『ミレニアル・ガールズ ~ロンドン無計画ライフ~』)、スコットランド・ヤードのブリス警部役のエリオット・レヴィ(『クイズ 〜100万ポンドを夢見た男〜』)、モリス巡査部長役のブレイク・ハリソン(『超サイテーなスージーの日常』)など。

この新作はコージー・クライム(素人探偵を主人公にしたライトミステリー)に分類されるが、物語はただ緩やかに進むだけではないという。「“コージー・クライム”という言葉よく使われますが、必ずしもそうである必要はないと思います」とマーク。「そのジャンルには親しみやすさがありますし、この作品には人々に好まれやすい時代背景もあります。コンピューターでは解決できない犯罪捜査の話が好きな人も多いはずです。しかし、同時にこの世界には危うさもあるのです」

『SHERLOCK/シャーロック』から学んだこと

同じミステリーというジャンルで、マークは『SHERLOCK』をヒットさせているが、この人気シリーズで学んだ教訓の一つは、名探偵としての天才っぷりを堪能しつつも、同時に人間らしさを感じさせるようにすることだったという。

「『SHERLOCK』を製作するにあたり、私たちはそれを“復元”と呼んでいました。シャーロック・ホームズはある種のスーパーマンのような存在になっていましたが、その一方で、オリジナルの物語を読むと、彼には大きなギャップがあり、時には自分に関係ないことには興味を持たないこともありました。私たちはそういった“ギャップ”が好きで、それを戻すべきだと思ったのです」

『Bookish』においても、主人公ブックの脆さがより現実的な存在感を演出するという。「私は、ただ傲慢で全知全能なキャラクターにはしたくないと思っています」とマークは語る。「ブックのまわりには、彼よりも優れた能力を持つ仲間がいます。トロッティは実務的ですし、ジャックはチームに新しい風を吹かせ、ブリスは警部は現場の仕事をこなします。そして彼は脆い人間でもあります。彼のセクシュアリティや過去について、弱さを抱えています」

ブックの弱さについては、「最初に思いついたアイデアは、彼が戦争でひどい経験をしていて、それが彼を楽観的にさせたという設定です。そのために、彼の人生に対する姿勢は軽やかなものになっています」と説明。そして、ある映画スターからインスピレーションを受けたことも明かした。「ダーク・ボガードはベルゼン収容所の解放に立ち会っていて、それは彼にとって永遠に忘れられない出来事でした。彼はマチネアイドルでしたが、彼には決して消し去れない暗さがあったのです」

第2次世界大戦後のロンドン

マークは戦後という時代に魅了されているとも話す。「世界は完全にひっくり返っていて、多くの人々が戦争に打ちのめされた一方で、新たに何が作り出せるかという大きな楽観主義もありました。その時代に探偵を登場させたらとても面白くなると思いました」

マークは『Bookish』のシリーズを続けることに希望を持っている。「もし戻ることがあれば、1946年をもっと長く続けたいです。いろんなことがある年なので、急いで進めたくはありません、その時代は非常に特別なものですから。’47年の大寒波やその他たくさんの出来事がありました。アイデアはいくらでもあります」

『Bookish(原題)』は2025年、イギリスのAlibiにて放送開始予定。(海外ドラマNAVI)