『シックス・センス』でアカデミー賞の監督賞・脚本賞にノミネートされたM・ナイト・シャマランの手掛けたApple TV+のドラマ『サーヴァント ターナー家の子守』が著作権をめぐって訴えられている。米Varietyが伝えた。
シャマランも証言予定
2019年から4シーズン続いたサイコサスペンス『サーヴァント』で製作総指揮を務めたシャマラン。この度、イタリア出身の監督フランチェスカ・グレゴリーニから著作権をめぐって訴えを起こされ、法廷に出席した。
グレゴリーニの訴えは、『サーヴァント』は自身が2013年に発表した映画『The Truth About Emanuel(原題)』から主要な要素を盗用したというもの。シャマランとAppleを相手取って8100万ドル(約126億円)の損害賠償を求めている。
14日(火)にカリフォルニア州リバーサイドの連邦裁判所で行われた冒頭陳述で、グレゴリーニの弁護士は両作品の一部映像を陪審員に見せ、妄想を抱いた母親と子守をする女性というキャラクターが類似していると主張。この映画がなければ『サーヴァント』は誕生しなかったと申し立てた。
被告側の弁護士は、クリエイターのトニー・バスギャロップが『The Truth About Emanuel』公開の何年も前からこのドラマの企画を練っており、該当の映画を参考にしたことは一切ないと反論。「グレゴリーニ氏は不労所得を狙っています。彼女は自分が関与していない作品に対して8100万ドルを求めているのです。『サーヴァント』の制作者たちはグレゴリーニ氏に何の義務も負っていません、それが真実です」
グレゴリーニが訴訟を起こしたのは2020年1月のこと。当初、連邦裁判所の判事が訴えを棄却したが、2022年に第9巡回控訴裁判所によってその決定は覆され、両作品が「実質的に類似している」かどうかについての争点があると判断された。
その争点を判断すべく、陪審員たちは『The Truth About Emanuel』と『サーヴァント』の第1話から第3話を視聴するとのこと。シャマランを含むドラマ関係者は証言を行う予定だ。
ジェシカ・ビールとカヤ・スコデラーリオを主演に迎え、サンダンス映画祭で上映された『The Truth About Emanuel』は、豪華俳優陣を起用したものの興行的な成功は得られなかった。しかしグレゴリーニはその後『キリング・イヴ/Killing Eve』や『フィリップ・K・ディックのエレクトリック・ドリームズ』といった人気ドラマでメガホンを取っている。
著作権侵害を証明するためには、実質的な類似性に加えて、この映画にアクセスできたことを裏付ける証拠が必要になる。グレゴリーニの弁護士は、作品がiTunesなどのプラットフォームで広く視聴可能であったこと、Apple TV+の幹部であるマックス・アロンソンがグレゴリーニの作品を認識しており、彼の受信箱に同作へのリンクがあったと主張。対して被告側の弁護士は、二つの作品にはジャンルをはじめとする多数の違いがあると訴え、真っ向から争う姿勢を見せている。裁判は2週間程度続く見込みだ。
シャマランが製作総指揮に加えて監督・出演も務めたほか、娘イシャナ・ナイト・シャマランも脚本・監督・製作を兼任した『サーヴァント』。シャマラン親子にとって特別なプロジェクトと言える作品をめぐってどのような判決が下されるのだろうか。
『サーヴァント ターナー家の子守』全4シーズンはApple TV+にて配信中。(海外ドラマNAVI)
参考元:米Variety
Photo:Apple TV+オリジナルドラマ『サーヴァント ターナー家の子守』© 2019 Apple Inc. All rights reserved.