京都を舞台に描かれるApple TV+のミステリードラマ『サニー』。原作「The Dark Manual」の作家で現在は日本に住むコリン・オサリバンが、故郷アイルランドのメディアThe Irish Timesのインタビューに答え、ドラマ化の経緯について語った。
英会話教師をしながら執筆を続けているコリン・オサリバン
現在は妻と二人の子どもたちと一緒に青森で暮らすオサリバンの同地居住歴は20年以上に及ぶ。これまで6冊の本を出版し、数冊はフランス、ロシア、トルコなどで翻訳出版されるなど好評を博している。長編デビュー作「Killarney Blues」(2013年)はフランスのミステリ批評家賞を受賞。「The Dark Manual」(2018年)は彼にとって3作目の著書だった。
1999年、オサリバンは1年間英語教師として働くために来日。その学校で妻のユキさんと出会った。その後はロンドンで2、3年暮らしたそうだが、日本に戻りたくなり広島へ移住。子どもを授かったことをきっかけにユキさんの家族の近くに住むために青森に腰を据え、教師の仕事をしながら作家としての執筆活動もスタートした。現在も教師を続けながら、自らを「週末作家」と呼んで本を書き続けている。
Appleが「The Dark Manual」のドラマ化を手がけるに至ったのは、オサリバンの出版社が映画とテレビのエージェントに会い、いくつかの作品を紹介したことが起点だという。その中で、エージェントがオサリバンの本を気に入り、新しい企画を探していたケイティ・ロビンズ(『アフェア 情事の行方』脚本)に持ち込んだとのこと。
オサリバンが現場を訪れたのは1度だけだそうで、東京での撮影時に足を運んだという。その際には、監督で同じくアイルランド出身のダーブラ・ウォルシュ(『ボルジア 欲望の系譜』)から「ようこそ、コリン! 私の後ろで、見ていてください」と声をかけてもらい、撮影はとにかくすばらしかったと語っている。
Appleのシリーズは全10話構成だが、オサリバンは最初の4話分しか脚本を読んでいないという。その後の行く末については、視聴者と一緒に見守る考えだったようだ。ちなみに、シリーズ化をきっかけに「The Dark Manual」は「サニー」というタイトルで再出版された。
彼の10代の子どもたちは、本には興味を示さないが、TVには関心があるという。また、Appleのドラマを見たファンは、彼のほかの作品についても「ずっと無視されてきたかもしれない小説」として改めて注目している。それでも、「私の人生は何も変わらない」と彼は述べる。「月曜から金曜の仕事として、おそらくまだ教師は続けます。それでも書き続けることができれば、それでいいんです」
作品を手放すことは簡単だったか?と問われると、「愛する人は手放さなければならない」とオサリバンは答えた。
『サニー』はAppleTV+にて独占配信中。(海外ドラマNAVI)
参考元:Irish Times
Photo:Apple TV+提供『サニー』