【ネタバレ】あの人とお別れ…『ウォーキング・デッド:ザ・ワンズ・フー・リブ』第5話レビュー

U-NEXTにて日米同時配信中の大ヒットサバイバルドラマ『ウォーキング・デッド』の新たなスピンオフ『ウォーキング・デッド:ザ・ワンズ・フー・リブ』。第5話「どちらの私」では逃避行中のリックとミショーンにジェイディスが迫る!(※本記事は第5話「どちらの私」のネタバレを含みますのでご注意ください)

束の間のハネムーン気分のリックとミショーン

ウォーキング・デッド:ザ・ワンズ・フー・リブ

前回「私たちの生き方」でやっと心身ともに結ばれ、子どもたちの待つアレクサンドリアを目指して逃避行を開始したリックとミショーン。自分たちが第3話のラストで飛び降りたヘリが直後に墜落、証拠も消えたため、乗組員全員がそこで死んだと思われていると安心したのか、急ぐことなく家へと向かう。途中で見つけた店で雑貨やアクセサリーを見て周り、子どものことなどを楽しそうに話す二人。大きな展開があるわけではないが、本家のあるくだりを回収したようなシーンも面白かった。『ウォーキング・デッド』のシーズン6でミショーンの欲しがっていた重曹と歯磨き粉を、何年も経てようやく渡すリック。覚えていてくれたことに喜ぶミショーンは、まるでちょっとした記念日を覚えてくれていた恋人に改めて恋をする女性のように見えた。

その後、山中でウォーカーに襲われていた人々を助けて食べ物まで分けてあげる二人。助けた相手から逆に銃を突きつけられ「全部よこせ」と脅されるも、一瞬のうちにやり返す。見ている方は、「この二人にこんなことしてもどうせ…」と思いつつも、やはり見ていてスカッとする。あとでリック自身も「(やっつけて)気分が良かった」というが、まさにその通りの瞬間だった。イチャイチャする二人を見るのは微笑ましくもあるが、「早く逃げないと追手が来るぞ!」と視聴者的にはドキドキしていたら、ジェイディスが熟睡している二人を見つけてゲームオーバーに。それはあまりに突然であっさりしていた。相手の気配に気が付かないほど爆睡していたのか…。

ジェイディスとゲイブリエルの関係が深い

ウォーキング・デッド:ザ・ワンズ・フー・リブ

ジェイディスとの再会直前、タイムジャンプで舞台は3年前になり、なんとゲイブリエルが登場! CRM(市民共同体軍)に所属しているジェイディスは、年に一度だけ秘密裏にゲイブリエルに会いに来ていた。CRMにいることを正当化して、自分は世界のために行動していると振る舞うジェイディスだが、そこに迷いがあることにゲイブリエルは気づく。

その後も1年ごとにゲイブリエルのもとを訪れ、彼と話をしていくジェイディス。彼女はなぜそれほどまでにCRMにのめり込んでいるのか。いや、のめり込もうと努力しているのか、不可解にも映る。自分が抱えていることをどうしてもゲイブリエルに打ち明けることができず、彼から誘われてもアレクサンドリアへ向かうことができないジェイディス。最終的に理解してもらえないと思った彼女は、ゲイブリエルに銃を突きつける。だが、彼ではなく自分たちのもとに近寄ってくるウォーカーの方を撃ち、ゲイブリエルを見逃す。ゲイブリエルは自分の命を賭けて、自分の目の前にいるのは“ジェイディス”ではなく“アン”であることを彼女自身に知らしめる役割を果たすことになった。

ウォーキング・デッド:ザ・ワンズ・フー・リブ

リック&ミショーンvsジェイディスの結末は!?

ジェイディスとゲイブリエルの回想を挟みつつ、再び舞台は現在に。「二人で逃げたら殺す。アレクサンドリアの人も皆殺し」と宣言していたジェイディスだが、リックとミショーンを見つけてもいきなり殺すこともなく、彼らに向けて演説する。リックはビールに認められ、極秘プロジェクトのエシュロンについても教えてもらう予定だった、そしてアレクサンドリアも守れるはずだったなどなど語るジェイディス。一体エシュロンとは何なのか!? それほどまでに壮大なプロジェクトなのか!?…と毎回出てくるキーワードが気になって仕方がない。

ウォーキング・デッド:ザ・ワンズ・フー・リブ

子どもたちを守るためにはここで二人とも死ぬ方がいいと語るジェイディスに撃たれそうになった二人が反撃、ミショーンに斬りつけられたジェイディスは逃げ出し、その後を二人が追う形で山中のカーチェイスがスタート。そして、傷ついて車も失ったジェイディスが助けを求める相手として、このエピソードの冒頭で出てきた雑魚キャラも再び登場し、リック&ミショーンvsジェイディス&雑魚キャラの戦いが始まる。そこへウォーカーも加わり、最後はジェイディスがウォーカーに襲われ、リックが助けるも時すでに遅し。噛まれて後がないことを悟ったジェイディスは、“最期の演説”を始める。

最期はアンとして迎える

リックたちに自分の葛藤を告げるジェイディス。再会した時からずっとアンと呼びかけていたリックに答えるかのように、「(アンだった頃の)芸術家として死にたかった」と本心を伝える。髪型はジェイディスだったが、アンの頃の回想シーンも重なり、“ジェイディス”になりきれなかったことが分かる。結局リックとミショーンの前にいたのは、ジェイディスという仮面を被りつつも、リックとミショーン、そしてアレクサンドリアの皆を思うアンだったのだ。

ウォーキング・デッド:ザ・ワンズ・フー・リブ

最期を迎えるアンは、リックたちが破棄すべきファイルがカスカディア基地の自室にあることを明かした後、ゲイブリエルから預かった指輪をリックに渡す。あの橋でリックがゲイブリエルに、ミショーンと結婚したいから証人になってほしいと言った時の運命の指輪だ。それがついにリックの手に渡った。離れていてもそれぞれの思いが、この指輪を介して繋がったようなエピソードだった。ジェイディス/アンを演じたポリアンナ・マッキントッシュの演技は素晴らしかった。そしてアンはリックに撃たれ、その一生を終える。

幸せな二人と、一人になったゲイブリエル

ラストのシーンの対比は興味深かった。アンから渡された指輪を手に、膝をついて正式にミショーンにプロポーズするリック。喜び一緒に跪くミショーン。ついに二人は“夫婦”になれた。だが次の瞬間、毎年の約束の日に姿を見せないアンを一人待つゲイブリエルの孤独な姿が。最終的には、ゲイブリエルからのバトン(指輪)を受け取ったアンが、リックとミショーンを結びつけたのだった。

ウォーキング・デッド:ザ・ワンズ・フー・リブ

次回はいよいよシーズンフィナーレ。CRMとの戦いはどうなるのか。リックはまだ見ぬ息子RJに対面できるのか。エシュロンとは何なのか。満足できるような最終話を期待したい。

(Erina Austen)

Photo:『ウォーキング・デッド:ザ・ワンズ・フー・リブ』© 2023 AMC Networks Entertainment. All Rights Reserved.