フランス発のミステリー『アストリッドとラファエル 文書係の事件録』や、イタリア発のヒューマンドラマ『DOC(ドック) あすへのカルテ』が世界的なヒットを記録している。そんな中、アメリカで発注された脚本付きのドラマが2019年から比べて半分近くも減り、一方で国外の作品数が増えてきて米国ドラマの本数を上回るという、“ハリウッドの追放”が起きているようだ。米Deadlineが伝えた。
ストライキだけが理由ではない
市場調査を行うAmpere Analysisによって明らかになったこのニュース。調査によると、2019年に米国で発注された番組数は722本だったのに対し、2023年は418本と、約42%ダウン。その主な理由として、2023年にハリウッドでおよそ半年間続いたストライキを挙げているが、とはいえ2024年にその本数が回復する見込みは薄そうだ。これは米国で実際にリリースされた番組数よりも急激な下がりっぷりだが、リリースされた本数で見ても633本から481本へと25%近くも減っている。
2023年後半、脚本家組合と俳優組合によるダブルストライキのため事実上の閉鎖状態に陥ったハリウッド。しかしAmpereは、この低迷が一時的なものではなく末期的なものであると示唆しており、とりわけ動画配信サービス各社の発注数が減っていることを指摘して「テレビのピークの突然の終わり」と表現している。
「より末期的な減少はSVODサービスから生じている」とAmpere。例えば、『ストレンジャー・シングス 未知の世界』をはじめ数々の人気シリーズを世に送り出してきたNetflixは、2022年に107本の番組をリリースしていたものの、2023年には68本にダウン。ストライキが起こる前の上半期の数字を見ても、既に減少傾向にあったことは明らかだ。ほかに2023年のリリース本数が減ったのは、Peacockが20本減、Huluが11本減、Maxが9本減、Paramount+が4本減。それに対してAmazon Prime Video、Apple TV+、Disney+などはリリース本数を維持しているが、同年の発注数が維持されていたのはAmazon Prime Videoのみ。つまり、2024年のリリース本数は、ほぼすべての大手動画配信サービスにおいてさらに少なくなるという。
しかしAmpereはこの現象を「国際化とハリウッドの追放」だと指摘し、今回の調査は米国以外の国々に恩恵をもたらしているという証明だと見ている。昨年リリースされた国外制作の動画配信サービス向けドラマの本数は、米国ドラマの本数を100本以上も上回る367本。2022年は同程度の本数だったことを考えると、大きな変化だ。
「ストライキは原因の一つだが、国際化が進み、ハリウッドが世界のテレビ産業の中核ではなくなってきているという、より広範な理由も秘めている」とAmpereは分析。米国の脚本付きドラマの勢いがなくなってきていると見ている。
2024年に発注される番組本数は増えるかもしれないが、そうした番組が実際に世に出るのは発注のおよそ1年後となる。本数が今後回復するかどうかは、今年の動きにかかっているのかもしれない。(海外ドラマNAVI)
参考元:米Deadline
★『ストレンジャー・シングス 未知の世界』を今すぐ視聴する★