大ヒットドラマ『ウォーキング・デッド』のスピンオフ『フィアー・ザ・ウォーキング・デッド』は、米AMCにて11月19日(日)にシリーズフィナーレを迎えた。シリーズ終盤にまさかの再登場を果たしたキャラクターなどの裏話を、キャストやショーランナーが語っている。米Entertainment Weeklyが伝えた。(本記事はネタバレを含みますのでご注意ください)
時間的余裕のなさで復帰しなかった人も
シリーズ終盤、死んだと思われていた人々が次々と復活を遂げた。まず、シーズン4で野球場にて命を落としたはずだったマディソン・クラーク役のキム・ディケンズがシーズン7終盤より復帰。そのマディソンによってシーズン3で殺されたと思われていたダニエル・シャーマン演じるトロイ・オットーも、2部構成となった最終シーズンの後半開始早々で戻ってきた。また、アレクサ・ナイセンソン演じるチャーリーも思いがけず登場していた。
そしてファンは、切実に復活してほしいと望んでいたキャラクターの姿をファイナルエピソードで見ることができた。それは、アリシア・デブナム=ケアリー演じるマディソンの娘アリシア。復讐に燃えるトロイに殺されたわけではなかった彼女は、母親のマディソンと再会。そしてクラーク母娘が養子トレイシーとともに、すべての始まりの地であるロサンゼルスへと戻る旅を始めるところで『フィアー・ザ・ウォーキング・デッド』は幕を下ろしている。
マディソン役のキムがキャラクター復活の裏側を明かした。「キャラクターたちを復活させるのはショーランナーたちの夢だった。アリシアがいなくなってから、彼らはどうしていいか分からなくなっていたの。アリシア自身はこの作品とキャラクターに別れを告げ、別のプロジェクトに専念していた。だからスタッフから“ワンシーンだけ戻ってきてほしい”と提案された時、彼女は“じゃあ、ひとまず私の電話番号を削除して。それからまた考えましょう”って返したのよ」
あまり乗り気でなさそうなアリシアを連れ戻すため、ショーランナーのイアン・ゴールドバーグとアンドリュー・チャンブリスは“大物”に助けを求めた。「シリーズの終わりが近づく中、彼らから“キムと(ヴィクター・ストランド役の)コールマン(・ドミンゴ)、アリシアに電話してくれないか?”って頼まれたの。それでコールマンが連絡したら、アリシアも実は最後にもう一度出演したがっていた。そして現場に戻ってきてくれて、最高の5日間を一緒に過ごすことができたわ」
ゴールドバーグとチャンブリスは最終話までの経緯を以下のように語っている。「ファンと同じく僕らも、マディソンとアリシアを再会させて終わりたいと考えていました。シーズン8で終わること、アリシア・デブナム=キャリーが最終シーズンのレギュラーにならないことは分かっていたので、クリエイティブな理由とロジスティックな理由の両方から、再会を実現させるために計画しました。この作品はシーズン1の時からマディソンが家族のために戦うという内容だったので、マディソンが家族と再会するところで終わらなければならないと感じていたんです。だからシーズン全体をそのような意図で作り上げました。アリシアと連絡を取り合い、私たちが考えていることを彼女に伝え続け、スケジュールがまとまるのを見守り、すべてがうまくいったんです。運が良かったのもありますが、そのためにものすごく綿密な計画を立てました」
ショーランナーたちはAMCから「スケジュール調整がうまくいかなかったらどうするんだ」と聞かれたそうで、「その場合は、オーストラリアに逃げていたでしょうね」と冗談を飛ばしつつも、「この終わり方しかない」と考えていた。また、ロサンゼルスに向かうところで終わることの意味については、「この作品は、ロサンゼルスにいた家長、マディソンから始まりました。なので、始まりの地に戻ることは自然だと感じました。いろいろなことを学び経験したマディソンが、新たな家族を連れてロサンゼルスに戻るのです」と説明している。
一方、最終回に復帰させようとしたが実現しなかった人もいる。「当初想定していたストーリーの一つは、サラ(モー・コリンズ)、ウェンデル(ダリル・“チル”・ミッチェル)、ジェイコブ(ピータ−・ジェイコブソン)に何が起こったかを見届けることでした。そして最終6話(シーズン8後半)の計画に入った時、彼らの話を描く余裕がないことに気がつきました。今思えば、これらのキャラクターたちに別れを告げることができなかったのは残念ですが、彼らがテキサスと東海岸を結ぶ道路を確保するルシアナ(ダナイ・ガルシア)のクルーの一員であることは、常に私たちの構想の中にありました」
また、マギー・グレイス演じるアルシアに関しては、話し合いの末、最終的にはシーズン7でアルシアはイザベルと一緒にいなくなるのが正しいと感じたという。
そして本家『ウォーキング・デッド』と同じく、シリーズ終盤の現場では涙の別れが相次いだ。「それぞれのキャストの最後の出番が終わるごとに、涙と別れの挨拶とハグがありました。たくさんのキャストが深夜に出番を終えたこともありました。その時は5、6人にとって最後のシーンで、別れの連続となり、そのいずれもとてもエモーショナルなものでした。今こうしてインタビューを受けていることさえ、『フィアー・ザ・ウォーキング・デッド』の旅の終わりを感じさせてくれます。たくさんの涙と喜びがありました。これからは、そういうやり取りの思い出が一番恋しくなると思います」
『フィアー・ザ・ウォーキング・デッド』全8シーズンはAmazon Prime Video(アマゾンプライム)にて配信中。(海外ドラマNAVI)