ひと足早くNetflixで実写版『ONE PIECE』が配信され、大好評を博しているが、今度は空前のワインブームを引き起こした大人気漫画「神の雫」(作:亜樹直、画:オキモト・シュウ/講談社)をHuluが日仏合作でオリジナルドラマ化した。題して『神の雫/Drops of God』(全8話)。ワインという“遺産”を巡りドラマチックな展開を予感させるハラハラ、ドキドキの第1~2話(9/15より配信開始)を観る限り、『ONE PIECE』と共に日本のコミックが新たなコンテンツとして世界のドラマ市場で脚光を浴びることは間違いない。海外ドラマ初主演となる山下智久の流暢な英語、その神々しいまでの存在感にも注目だ。
『神の雫/Drops of God』レビュー
<あらすじ>
世界的ワインの権威アレクサンドル・レジェが亡くなった。パリに住む実娘カミーユ(フルール・ジェフリエ)と、アレクサンドルに師事していた愛弟子・遠峰一青(とおみね・いっせい/山下)は、ある日、弁護士に呼び出され、遺言を聞く。それは、ワインに関する3つのテストの勝者どちらかに、総額160億円にも及ぶ“世界最大のワインコレクション”の相続権を譲るという驚くべきものだった。ワインに運命を狂わされた女=カミーユと、ワインに人生をかけた男=一青、若き二人の国境を超えた熱い対決が幕を開ける。
原作からの変更点
原作ファンは少々驚くかもしれないが、漫画の軸を担う男性キャラクター・神咲雫に変わって、実写版ではフランス人女性・カミーユ(フルール・ジェフリエ)と、山下演じる聡明なワイン実業家・一青を新たな主人公に設定し、時代と国境を越えたエモーショナルな人間模様を活写する壮大なドラマとして生まれ変わっている。
第1話では、衝撃的な遺言書に動揺するカミーユが、主を亡くしたワインセラーを歩きながら、父に対する複雑な思いを少しずつ和らげていく過程が描かれているが、ある“特別なワイン”を目にした時、彼女は父の中に隠されていた愛情に初めて触れ、一青との“対決”を決意する。
第2話から勝負のアドレナリンが!
第1ラウンドは、弁護士から出された銘柄と年代を当てるテストだが、彼女はある理由からアルコールを口にすることができず、味わえない…。相手はワインを口の中で優雅に転がし、余裕すら見せるミステリアスな強敵・一青。味覚がだめなら、そうだ、父の血を引く優れた嗅覚があるじゃないか! にわかに集められていくチーム・カミーユ。父の親友でレストラン経営者のルカ、そこで働くワイン好きの従業員カップル、さらにフランスからも助っ人を呼び寄せ、臨戦態勢は整った。
もはや、あの手この手を尽くして敵に挑む姿は、『クイーンズ・ギャンビット』や『コブラ会』さながら、第2話から勝負のアドレナリンが沸騰しまくるのだ。
ワインに対する情熱
ちなみに、冒頭、一青がお見合い相手の女性から、「(ワインを)クンクン嗅ぎまわって犬みたい。ラベルに書いてあるのに何の意味があるの?」と一撃を食らうシーンがある。「君は中身のない人だ」と一青もクールに応酬するが、その女性の言い分もわからないではない。暑い夏の日、一仕事終えて飲むビールは、キンキンに冷えてりゃ何でもうまい!という筆者は、少々大味な料理でもモリモリおいしくいただくことができるし、そこに理屈はあんまり持ち込みたくないタイプ。
そんなわけでワインと美食のドラマを観ると、大概イライラしてしまうのだが、このドラマには、イライラどころか前のめりになるほどハマってしまう“沼”がある。ワイン、グルメ、上流階級が苦手な方はそこを誤解せず、食わず嫌いになってほしくない。
Huluオリジナルドラマ『神の雫/Drops of God』に注入されたワインに対する異常な情熱は、筆者の稚拙な解釈を遥かに凌駕し、あの美しい液体の中に灯る魂の火を魅せてくれる。チェスや将棋、空手、ボクシングなど、1対1の対決ものは、それぞれの世界の“深み”を描いているからこそ燃え上がるものだが、深遠で繊細な世界に熟成の時を刻むワインはまさにその極みではないだろうか。神々しささえ漂わせる山下演じる一青の牙城を、カミーユは果たして崩し切ることができるのか…第3話以降が待ちきれない。
(文/坂田正樹)
通常のHulu(月額1,026円税込)とDisney+のプレミアムプラン(月額1,320円税込)2つのサービスを利用できる。
つまりセットプランを利用すれば856円もお得に!
Huluでは日本のドラマやバラエティ、オーディション番組、Disney+ではディズニー作品はもちろんマーベルやスター・ウォーズ、さらに最新韓国ドラマやBTSなどのオリジナルコンテンツを多数配信!
Photo:Huluオリジナル『神の雫/Drops of God』2023年9月15日(金)Huluで独占配信スタート