全米脚本家組合（WGA）のストライキに続いて俳優たちの労働組合SAG-AFTRAもストライキに入る可能性が高まっているが、メリル・ストリープ（『プラダを着た悪魔』）、ジェニファー・ローレンス（『世界にひとつのプレイブック』）、ラミ・マレック（『ボヘミアン・ラプソディ』）といったオスカー受賞者を含む300人以上の俳優がストライキを辞さない構えを示したと、米Deadlineほか複数のメディアが伝えている。
「ストライキする心構えができている」
全米映画テレビ製作者協会（AMPTP）との契約が6月30日に満了を迎えるSAG-AFTRA。契約の期限切れまで残りわずかとなっているが、組合員である300人以上の俳優たちが、要求がきちんと反映された内容になるために闘う姿勢を見せており、組合の交渉委員会と指導部宛てに「いざとなったらストライキする心構えができている」などと記された内部書簡を送ったという。
SAG-AFTRAの指導部がAMPTPとの交渉について「非常に生産的」で「引き続き楽観的」であると組合員に伝えた数日後に出されたこの文書。「今は間をとって落ち着くような時ではなく、歴史の目が私たち全員に注がれていると言っても過言ではない」と強固な姿勢を取るように組合員たちは求めており、変革的合意以外、認めるつもりはないようだ。
公開された書面全文を読むと、俳優たちが求めているのは、AI技術の発達などによって激変した環境で俳優たちの権利を守ること。「これは業界における前例のない転換点」と書かれており、「過去10年間に私たちの賃金、技術、創造的な自由、および組合の力がすべて損なわれてきたと感じています。私たちは、そうした軌道を逆転させる必要があります。長引くインフレーション、そして配信業界が持続的に成長を続ける中で、最低賃金や新たなメディアにおける金銭的補償、独占権の区別をはじめ、その他の条件の大幅な再調整をする必要があります」と要求を明記している。
その他にもキャスティングのプロセスを尊重するため、セルフテープの使用方法を規制することや、出演作がAIトレーニングに使用された際に適切な報酬を受けることなども書かれており、まさに前例のない状況でいかに俳優の権利を守るかの決断が、今求められていると言える。
署名した俳優には前述した3人の俳優に加えて、ケヴィン・ベーコン（『ミスティック・リバー』）、グレン・クローズ（『ダメージ』）、ベン・スティラー（『ミート・ザ・ペアレンツ』シリーズ）、マーク・ラファロ（『アベンジャーズ』シリーズ）、ブレンダン・フレイザー（『ザ・ホエール』）、ローラ・リニー（『オザークへようこそ』）、デヴィッド・ドゥカヴニー（『X-ファイル』）、ノア・ワイリー（『ER 緊急救命室』）、ボブ・オデンカーク（『ベター・コール・ソウル』）、エヴァ・ロンゴリア（『デスパレートな妻たち』）、エリオット・ペイジ（『アンブレラ・アカデミー』）、キンタ・ブランソン（『アボット エレメンタリー』）、リーアム・ニーソン（『シンドラーのリスト』）、エミー・ロッサム（『シェイムレス 俺たちに恥はない』）、エイミー・シューマー（『アイ・フィール・プリティ！ 人生最高のハプニング』）、ニール・パトリック・ハリス（『ママと恋に落ちるまで』）、コンスタンス・ウー（『クレイジー・リッチ！』）、ビリー・アイクナー（『アメリカン・ホラー・ストーリー』）などの名も含まれている。
俳優たちのストライキの可能性を考慮して今年のサンディエゴ・コミコンはかなり縮小した規模で行われる模様だと当サイトでお伝えしたばかりだが、本当に脚本家に続いて俳優もピケの仲間入りをするのだろうか。（海外ドラマNAVI）
参考元：米Deadline
Photo:メリル・ストリープ ©NYKC/FAMOUS／ラミ・マレック ©James Warren/Famous
