英国の人気ロックバンド、クイーンの伝説の日々を描き日本でも大ヒットした音楽映画『ボヘミアン・ラプソディ』のスタッフが、ホイットニー・ヒューストンの伝記映画『I Wanna Dance With Somebody(原題)』を製作することが明らかとなった。米Deadlineが報じている。
ホイットニーの1987年のヒット曲と同じタイトルである『I Wanna Dance With Somebody』の脚本・製作を務めるのは、『ボヘミアン・ラプソディ』で原案・脚本を担ったアンソニー・マクカーテン。これまでに彼は、理論物理学者のスティーヴン・ホーキンス、英国首相ウィントン・チャーチル、ローマ教皇(ベネディクト16世とフランシスコ)という実在の人物ばかりを主人公にした作品『博士と彼女のセオリー』『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』『2人のローマ教皇』でもペンを執り、『ウィンストン・チャーチル』以外の2作でアカデミー賞脚色賞候補となった。また、彼が手掛けたこれらの伝記映画4本はすべてアカデミー賞主演男優賞ノミネートもしくは受賞をもたらしている。
さらにマクカーテンは『ボヘミアン・ラプソディ』以外にも音楽関連の作品を手掛けており、人気グループ、ビージーズを描く映画と、シンガーソングライターのニール・ダイアモンドに関する著書を発表している。ただ、女性アーティストの人生を綴る作品は彼にとって初のチャレンジとなるようだ。
ホイットニー・ヒューストンは、1985年にデビューアルバムをリリースして以来、次々と大ヒット曲を放ち、1992年にはケビン・コスナーとともに映画『ボディガード』に主演。この映画は全世界で4億ドル以上を稼ぎ出し、主題歌「I Will Always Love You」も全米シングルチャートで14週連続ナンバー1を記録するなど空前の大ヒットとなった。しかし、ホイットニーは晩年はドラッグの問題でキャリアが低迷し、2012年2月11日にビバリーヒルズのホテルの浴槽で倒れていたところを発見され、48歳で短すぎる人生を終えた。
マクカーテンのほか、ホイットニーのドキュメンタリー映画『ホイットニー ~オールウェイズ・ラヴ・ユー~』で製作を担ったパット・ヒューストン、『ボヘミアン・ラプソディ』で製作総指揮を務めたデニス・オサリヴァンらもプロデューサーに名を連ねる。さらに、ニューヨークのナイトクラブで歌っていたホイットニーをスカウトしたレコード会社社長クライヴ・デイヴィスも製作に関わる。監督を務めるのは、『エブリシング』のステラ・メギーとなるようだ。ホイットニーの財産管理者も関わるため、『ボヘミアン・ラプソディ』のように、ホイットニーのヒット曲がふんだんに使用されるのではないだろうか。
製作者たちは本作について、「ホイットニーの私生活における喜びや悲しみを描くとともに、最も偉大な女性R&Bシンガーとしてのキャリア、名もなき女性がスターダムへ上っていく道のりを追う。歌手と曲とファンのすべてが"幸せな結婚"をしているからこそ立ち続けられるスターダムの実情を率直に描き、ニュージャージー出身の素朴な女性が自分の居場所を探そうとする感動的なストーリーも同時に展開する」と説明している。ホイットニーを10代の頃から知るデイヴィスは、「ホイットニーの全貌はまだ語られていない。マクカーテンの脚本によってようやく、天性の歌声で世界に大きな影響を与えながら、内なる悪魔と闘っていたホイットニーのすべてが明らかになる」と語る。
『ボヘミアン・ラプソディ』の後も、エルトン・ジョン、デヴィッド・ボウイ、エルヴィス・プレスリーといった大物アーティストの伝記映画が次々と製作されていく中でついに実現したホイットニーの企画。現時点では、ホイットニーを演じる女優や公開日などの詳細は未定だ。(海外ドラマNAVI)
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ホイットニー・ヒューストン(2002年)
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