ひき逃げで最愛の一人息子を亡くした母親による犯人への復讐と、PTSDに悩まされる警部補の苦悩と捜査を描いた『ビースト・マスト・ダイ/警部補ストレンジウェイズ』(スターチャンネルEXにて配信中/BS10スターチャンネルで3月9日(水)より放送開始)。本作は、不朽の傑作ミステリー小説「野獣死すべし」を原作とし、舞台やキャラクター設定などを現代にアップデートした異色の復讐サスペンス・ミステリーだ。『ボヘミアン・ラプソディ』など数々の名作映画を製作してきた老舗プロダクション、ニュー・リージェンシーと、リドリー・スコット率いるスコット・フリー・プロダクションが初タッグを組んでTVシリーズを手掛け、イギリスで大ヒット。Rotten Tomatoesでも高評価を獲得し、2022年エドガー賞テレビドラマ脚色賞の候補にもなっている本作。ミステリー小説ファンや映画・ドラマファンも唸らせる重厚かつ異色の物語と、海外ドラマでも活躍する実力派キャストたちによる演技合戦に注目しながら、その魅力を紹介していきたい。
目次
あらすじ
イギリスのワイト島で、ひき逃げにより6歳の息子を亡くした母親フランシス・ケアンズ(クシュ・ジャンボ)は、捜査が打ち切りになったことを知り、悲しみに明け暮れる。自身の手で犯人を見つけ出すしかないと心に決めた彼女は、徹底的なリサーチの末、ワイト島の有力者ジョージ・ラタリー(ジャレッド・ハリス)に目を付ける。一方、このひき逃げ事件を担当していた警察署長が急死し、後任として同僚の殉職でPTSDを患う警部補ナイジェル・ストレンジウェイズ(ビリー・ハウル)が赴任する。フランシスがジョージに近づくために彼の家族に関わっていく中、ストレンジウェイズは署がこの事件に関して何かを隠していると疑い、独自に捜査を進めていくのだった......
傑作ミステリー小説を原作とした一味違う復讐サスペンス+刑事ドラマ
アカデミー俳優ダニエル・デイ=ルイスの父親で桂冠詩人のセシル・デイ=ルイスがニコラス・ブレイク名義で1938年に執筆した小説「野獣死すべし」は、あの江戸川乱歩が絶賛して邦題をつけ、映画化もされた不朽の名作。「私はひとりの男を殺そうとしている。」という衝撃的な一文から始まる「野獣死すべし」は、ダニエル・デイ=ルイスの異母兄であり、TV批評家兼作家でもあるショーン・デイ=ルイスが幼い時ブレーキが利かなかった車に当てられた事実からストーリーの着想を得たと言われている。
そんなミステリー小説の金字塔とも言える作品を、舞台やキャラクター設定などを現代にアップデート。ひき逃げで最愛の一人息子を亡くし、犯人への復讐に駆られる母親フランシスの復讐者としての物語と、目の前で同僚が殉職したショックにより患ったPTSDに悩まされながらも、ひき逃げ事件を捜査する警部補ストレンジウェイズの苦悩に満ちた刑事の物語が同時進行することで、単なるミステリー・ドラマではなく、復讐サスペンス+刑事ドラマという二面性を持つ異色のサスペンス・ミステリーとしてドラマ化。フランシスとストレンジウェイの二つのストーリー・ラインが織りなし交わっていくことで生み出される物語の広がりと深みにより、今までの刑事ドラマやサスペンス・ミステリーとは一味違う個性的なドラマとなっている。
ジャレッド・ハリス、クシュ・ジャンボ、ビリー・ハウルら実力派英国キャストが勢ぞろい!
本作を迫真の演技で盛り上げるキャストには、海外ドラマファンにおなじみの実力派英国スターらが勢ぞろいしている。
フランシスを演じるのは、『グッド・ワイフ』とそのスピンオフシリーズ『グッド・ファイト』の敏腕弁護士ルッカ・クイン役で一躍有名となったクシュ・ジャンボ。悲哀に満ちた母親から、髪をベリーショートへと刈り上げることで復讐者としての決意を固める強い女性を、海外ドラマ好きな女性ファンにも共感を呼ぶようなキャラクターとして熱演している。
ジョージ役には、『シャーロック・ホームズ シャドウゲーム』でモリアーティ教授を演じ、『チェルノブイリ』で英国アカデミー賞(BAFTA)主演男優賞を受賞したジャレッド・ハリス。『チェルノブイリ』で見せたメガネの核物理学者から一転、大富豪のイケオジにして、圧倒的なまでのす凄味と強烈なまでの悪意に満ちた"野獣"ジョージを見事に演じきっている。ジャレッド・ハリスがインタビューで、演じる自身ですら愛することができないとまで言わせたジョージというキャラクターだが、そんな悪役にも関わらず、どこまでも魅力的に映るのはいぶし銀俳優ジャレッド・ハリスならではだ。
そして、ストレンジウェイズ役を、『追想(2018)』『ダンケルク』『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』で次世代英国スターの一人として注目を浴びるビリー・ハウルが演じる。PTSDのカウンセリングを受けつつ捜査を続け、時に精神が暴走しながらも正義を貫こうとするという複雑な内面を抱えたストレンジウェイズは、物憂げな表情と悲しみを瞳に携えたビリー・ハウルのハマり役と言えるだろう。本作が高評価を獲得したことで、続編としてストレンジウェイズを主人公にしたシーズン2の製作も噂されているだけに、ストレンジウェイズとしてブレイク間違いなしの若手実力派英国男優だ。
さらに、ジョージの姉ジョイ役をジェラルディン・ジェームズ(劇場版『ダウントン・アビー』、『アンという名の少女』)、ストレンジウェイズをカウンセリングする精神科医に、本作の製作総指揮も務めるナサニエル・パーカー(『最後の決闘裁判』)ら実力派のキャストが名を連ねている。
"野獣"VS"復讐者"、そして"正義"、実力派キャストの演技合戦から目が離せない!
本作でも最も目を引くのが、実力派キャストたちによって繰り広げられる緊迫感みなぎる演技合戦だ。実生活でも3歳の息子を持つクシュ・ジャンボが、母親として亡き子どもへの愛情を悲痛なまでの"復讐者"として魅せれば、ジャレッド・ハリスは鮮烈なまでのノワール的な悪の存在"野獣"として作品に君臨、そして心が壊れながらも"正義"を志して捜査に挑む姿を見せつけるビリー・ハウル。3人の極上の演技がぶつかり重なり合うことによって、至高のサスペンスとして本作をさらに盛り上げる。
特に"野獣"ジャレッド・ハリスと"復讐者"クシュ・ジャンボによる鬼気迫る演技対決は、見ている側の心をひりつかせるまでの見ごたえで、最初から最後まで目が離せない。原作小説も「サプライズ・ミステリー」と称されているが、クシュ・ジャンボを始めとするキャスト陣が、度肝を抜かれる展開だったとコメントするほどのエンディングに向けて加速度的に盛り上がる展開は必見だ。
ミステリー小説や映画&ドラマの目の肥えたファンにもオススメできる上質で重厚でありながら異色の復讐サスペンス・ミステリーとなっている本作。スターチャンネルEXでは、いよいよ3月3日(木)より全話配信スタート!フランシスの失意と復讐へ駆り立てる殺意が渦巻く心情を写すかのような、静寂に満ちたワイト島の映像美にも注目しつつ、今ホットな海外ドラマをぜひ堪能してほしい。
『ビースト・マスト・ダイ/警部補ストレンジウェイズ』配信/放送情報
【配信】スターチャンネルEX
全6話配信中
【放送】 BS10 スターチャンネル
【STAR1 字幕版】3月9日(水)より毎週水曜よる11:00 ほか
※3月6日(日)午後1:00 字幕版 第1話無料放送
https://ex.star-ch.jp/special_drama/mzjKr
(豹坂@櫻井宏充)
Photo:
『ビースト・マスト・ダイ/警部補ストレンジウェイズ』(C) 2021 BritBox, New Regency TV Productions Limited and Scott Free Films Limited. All rights reserved.