【お先見!】『Parenthood』セカンド・シーズン最終話で思わずもらい泣き、でもちょっと心配
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親であること=子供を育てることが大変なのはいつの世でも同じ。でもその苦労を毎週観たくなってしまうのが、NBCの『Parenthood』。今回は4月19日放映された、そのセカンド・シーズン最終話について、NY在住ライターのオー・ソレミヨがお届けします。

 

映画『バックマン家の人々』をドラマ化

まだ日本で放映されていないこのドラマは、1989年のコメディ映画『バックマン家の人々』(原題:Parenthood)をベースにした、ブレーバーマン家3世代家族のドラメディ。2010年の3月にファースト・シーズン(全13話)がスタートして、同年9月に始まったセカンド・シーズンは全22話。

メインキャラは、ロサンゼルスに住む1組の熟年夫婦と息子2人に娘2人、そしてその子供たち。4人兄弟はみな職業もライフスタイルも異なるが、車で簡単に行き来できる近場に住み、時には衝突しながらもお互いに助け合っている。

ピーター・クラウス(『シックス・フィート・アンダー』『ダーティ・セクシー・マネー』)の演じる長男アダムは、仕事もできて家族思いの良きパパ、妹、弟からも頼りにされる良きアニキだけど、その重圧からか時々とてつもなくキレたりするし、16歳の娘のボーイフレンドには冷たい。そんな人間くさいところがいい

シーズン・フィナーレの前の回で、娘ハーディがボーイフレンドとセックスしている最中、気がつかないうちにスマートフォンの通話ボタンを押してしまう。それがたまたま妻クリスティーナ(モニカ・ポッター『ボストン・リーガル』)の携帯にかかり、アダムも居合わせたところでその声がダダ漏れになってしまうのだ......!うーむ、この展開はちょっとキビシイのじゃ!?

両親はそれが娘の声なのか誰かのイタズラなのかわからず、疑心暗鬼に。後日クリスティーナがさりげなく訊いたところ、アダムの不安が現実のものとなる。それからアダムは、娘と目を合わせることもできなくなってしまうのだ。自分が手塩にかけて育てた大事な娘が他の男に......。
私は女だし子供もいないけど分かる気がするよ、アダム。

娘ばかりではない。アダムとクリスティーナは、アスペルガー症候群と診断された8歳の息子マックス(マックス・バークホルダー『ブラザーズ&シスターズ』)とどう向き合っていくかという大きな悩みも抱えている。

最終話で、アダムのすぐ下の妹サラ(ローレン・グレアム『ギルモア・ガールズ』)の高校生の娘が交通事故にあって病院にかつぎこまれ深刻な状態で、3世代の家族が全員病室の外に集まり固唾を呑んでいるとき、マックスが突然「お腹すいたから帰ろうよ。パンケーキを焼いてくれるって約束だったじゃないか。今ここで待っていても自分には何もできることはないよ」なんてKYなことを言い出す。アダムがなだめすかしてもダメ、自分の主張を繰り返し、サラをはじめ周りは呆然。ほんとは笑うところじゃないんだけど、「やっちまったな~、マックス」と観ているこちらは吹き出しそうに。何でもないありきたりのシチュエーションが、忘れ難いシーンになった。

近年、アスペルガー症候群のキャラクターや、ハッキリと言わないけどそう匂わせるキャラを映画やドラマで見かける機会が増えた。このドラマでは真摯にアスペルガーの子供を描いていて、その社会的認知度を高めていることは間違いない。

最終的に、アダムは娘と元の仲良し親子に戻り、マックスはサラおばさんに自分のしたことを謝る。運良く助かったサラの娘アンバーも、祖父の言葉でやっと自分の行動が母親を苦しめていたことや家族の大切さに気づく。サラと涙の和解をするのは、ちょっと美しすぎる気がしないでもないが、思わずもらい泣きしてしまった

ただ、同時に気になるのは、このシーズン・フィナーレで話がちょっと一段落してしまったこと。シーズン3への布石となる要素もあることはあるのだけど、こんなハッピーに終わっちゃうと来シーズンへの吸引力は弱いんじゃないか? という老婆心が・・・。 
前回とシーズン・フィナーレで視聴率と評価はぐーんと上がったのでシーズン3まで続くだろうとみられているが、ちょっと心配だ。