不倫をテーマにした衝撃のラブ・サスペンス『アフェア 情事の行方』は、単にエロティックなだけでなく、真実を見抜こうとする視聴者に知的興奮を与えてくれる作品だ。各エピソードを2パートに分け、それぞれ違う人物の視点から語る構成が特徴。米Showtimeで6月17日(日)よりシーズン4が始まったばかりだが、全米批評サイトRotten Tomatoesの評価では、批評家・一般視聴者ともに100%と肯定的だ。
(※本記事は、シーズン3までのネタばれも含みますのでご注意ください)
■元妻に拒絶されたノア、禁断の恋へ
衝撃の展開とギリギリの倫理観が興奮を呼ぶ『アフェア 情事の行方』。シーズン2では、高校教師で小説家の主人公ノア(ドミニク・ウェスト)が、妻ヘレン(モーラ・ティアニー)が犯した罪を被って収監される。そのショッキングな展開は視聴者を驚かせた。
シーズン3では、3年間服役し出所するが、家庭に戻ったノアが目にしたのは、外科医であるヴィック(オマー・メトワリー)との新しい恋を楽しむヘレンの姿。かつてノアと共に育ててきた4人の子どもたちと一緒に彼女は幸せそうな日々を送っている。一方、ノアは刑務所のトラウマに苦しみ、鎮痛剤の過剰摂取にも悩まされた上、不倫相手アリソンと進めていた結婚話も破談となる。
シーズン4でヘレンはついにヴィックと結婚し、ロサンゼルスの丘に建つ豪華な住まいに暮らし始める。子どもたちの顔を見たいノアも近くに引っ越すが、一家からは疎ましがられることに。新天地でノアは再び教職に就くが、そんな彼を待っていたのは教室での禁断の恋だった。
■ノアの感じた裏切り、ヘレンが見た真実
不運な人物に思えるノアも、視点を変えれば極めて信頼のおけない人物。これこそが本作のキーとなる着眼点だ。各エピソードの前半と後半で、同じ出来事が別の人物視点と時間軸で語られることで、浮かび上がる真実の違いに、視聴者はハッとさせられるという趣向だ。
シーズン4の第1話は、ノアとヘレンの視点で描かれる。ヘレンは元夫のノアが子どもたちの前で、「もう過ちは犯さない」と繰り返し誓ったことを鮮明に覚えている。一方、ノア側の視点では、彼の懺悔は重視されておらず、代わりにヘレンの言動を根に持っている様子。彼女は子どもたちに対し、「ノアが殺人鬼の住んでいた治安の悪い通りに越してきた」と説明していたのだ。
人によって印象が異なる例はほかにもある。ノアの元不倫相手であるアリソン(ルース・ウィルソン)は、退役軍人のベン(ラモン・ロドリゲス)に惹かれているが、アリソンの元夫コール(ジョシュア・ジャクソン)はベンを胡散臭い人物だと見抜いている。過去の関係と現在の恋愛が複雑に影響しあう展開も見どころの一つだと米Washington Postは挙げている。
■成長するキャラクター、それでも過ちは再び...
このようにお互いを全く信頼していないようにみえるキャラクターたちだが、それでも惹き込まれてしまうのは、彼らが自身の過ちに苦しみながらも絶えず成長しているからだ。ノアは決して好感を抱けるキャラクターではないが、自身の振る舞いと物事の捉え方について常に学習し、前進していると評価。それがドラマを面白くしていると米TV Fanaticは述べる。また、ときに理不尽な考え方をするヘレンも、決して回りくどく不平を言うようなことはしない。子どもじみた一面もある彼女だが、テレビ史上最高のキャラクターの一人だと同メディアは絶賛している。
キャラクターたちはこうしてそれぞれの成長を見せるが、新たな衝突の火種もあちこちにみられる。言い争いや浮気への仕返しとして、新たな裏切りなど... 登場人物全員が絶えず危うい状況に置かれているドラマだと米New York Timesは指摘する。人気シリーズの最新シーズンに期待が高まる。
裏切りが裏切りを呼ぶ『アフェア 情事の行方』シーズン4は、米Showtimeで放送中。日本では、シーズン3がWOWOWにて8月17日(金)より日本初放送。(海外ドラマNAVI)
Photo:『アフェア2 情事の行方』
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