早いもので2018年も後半に入って数週間。皆さんはもう今年のお気に入りドラマと出会えただろうか? 2018年上半期に放送または配信されたドラマの中から、イギリスメディアがオススメの作品を発表しているのでご紹介しよう。
■映画雑誌が選ぶ2018上半期トップ10
まず、イギリスの映画雑誌Empireが選ぶ2018年上半期トップ10ランキングは以下の通り。
10. 『Barry(原題)』
米HBOのダークコメディ。コメディアンや声優として主に活躍の場を広げているビル・ヘイダー(『サタデー・ナイト・ライブ』)主演。仕事でロサンゼルスに渡った殺し屋が、ひょんなことから芝居のクラスを受けることになってしまう。Empire誌は「笑いと暴力が奇妙なバランスで配合されている」作品と描写。第70回エミー賞で7部門にノミネートされている。
9. 『Save Me(原題)』
イギリスのミステリードラマ。行方不明の娘を懸命に捜索する過程で、自身や周りの人々の想像もしなかった真実が明らかになっていく...。父親役として主演するレニー・ジェームズ(『ウォーキング・デッド』)が脚本・製作もこなす。英Radio Timesによると、英Skyのオンデマンド・チャンネルでシーズン1が配信されるや否や記録的な人気となり、最初の週だけでのべ70万人が視聴した。すでにシーズン2への更新も決定している。
8. 『 A Very English Scandal(原題)』
英BBCの3話構成のミニシリーズ。イギリスで1970年代に実際に起きた政治家ジェレミー・ソープのスキャンダルを扱ったドラマだ。自由党復活の立役者としての栄光から一転、一連のスキャンダルによる彼の没落の一部始終を描いている。ラブコメの帝王として名高いヒュー・グラント(『ブリジット・ジョーンズの日記』)が腹に一物を抱えた政治家ジェレミーを演じ、ベン・ウィショー(『ホロウ・クラウン/嘆きの王冠』)がその愛人を務めることでも話題に。
7. 『アトランタ:略奪の季節』
米FXで2016年に放送された『アトランタ』の続編。第70回エミー賞のコメディ・シリーズでは過去最多となる16ノミネートを果たし、本国では既にシーズン3の製作も決定している注目作。ダメダメ男が駆け出しラッパーのマネージャーになり、ヒップホップ業界での成功を夢見るコメディドラマ。『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』にも出演するドナルド・グローヴァーが主演だけでなく企画・製作・監督・脚本を務めている。日本では、FOXチャンネルにて9月17日(月)に全話先行一挙放送されることが決定している。
6. 『Derry Girls(原題)』
英Channel 4放送の、1990年代の北アイルランドを舞台にしたコメディドラマ。北アイルランド問題が収束する前の、歴史的・政治的にも重い時代を吹き飛ばすかのようにエンジン全開で多感な10代を生きる女子高生とその家族を描く。無謀な彼女たちの日常が、懐かしの1990年代カルチャーを交えて描かれており、異色のコメディとして視聴者の心をとらえている。主演はシアーシャ・モニカ・ジャクソン(『ザ・ファイブ -残されたDNA-』)。
5. 『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』シーズン2
カナダの小説家マーガレット・アトウッドによる同タイトルのディストピア小説をもとにした米Huluオリジナルドラマ。環境汚染などで少子化が深刻化した近未来を舞台に、妊娠できる女性は"子どもを産むための道具=侍女"として、新たな法の下で、家族、仕事、財産、人権を奪われ、子どもを産むためだけに生かされるという世界を描いた衝撃作。主演は『MAD MEN マッドメン』のペギー役でブレイクしたエリザベス・モス。シーズン1はゴールデン・グローブ賞の作品賞や主演女優賞など数々の賞を受賞し、すでにシーズン3の製作も決定している。日本ではHuluプレミアにて8月29日(水)より独占配信。
4. 『ウエストワールド』シーズン2
『ジュラシック・パーク』や『ライジング・サン』の原作者として知られるマイケル・クライトンが監督・脚本を手掛けた1973年の同名映画を、ジョナサン・ノーラン(『パーソン・オブ・インタレスト』)&J・J・エイブラムス『LOST』)が米HBOでドラマ化した本作は、人間そっくりなホスト(アンドロイド)たちの覚醒を描く。エド・ハリス(『アポロ13』)、エヴァン・レイチェル・ウッド(『サーティーン あの頃欲しかった愛のこと』)らが前シーズンに引き続き出演し、今シーズンからは真田広之演じるムサシがいる新たなテーマパーク、"ショーグン・ワールド"も登場。日本ではBS10 スターチャンネルにて放送中。
3. 『ジ・アメリカンズ』シーズン6
冷戦時代のアメリカを舞台にしたスパイ・サスペンスドラマの最終シーズン。ワシントンDCに潜伏するロシア人スパイの夫婦が、どこから見てもアメリカ人として生活しながら、祖国ソビエト連邦への忠誠を果たすべく諜報活動を繰り広げる。潜入、暗殺、ハニートラップなどあらゆる手を駆使したスパイミッションと、彼らを追うFBIとの攻防戦をスリリングに描く米FXのスパイ・スリラー。本作での共演がきっかけで実生活でも夫婦となったケリー・ラッセル(『フェリシティの青春』)とマシュー・リス(『ブラザーズ&シスターズ』)が主演。日本ではNetflixでシーズン5まで配信中。
2. 『アメリカン・クライム・ストーリー/ヴェルサーチ暗殺』
ライアン・マーフィーが製作総指揮を担い、実在の事件の裏側に迫る『アメリカン・クライム・ストーリー』シリーズ第2弾。世界的に有名なファッションデザイナー、ジャンニ・ヴェルサーチが殺害された事件の真相に迫る米FXのドラマ。ヴェルサーチ役にエドガー・ラミレス(『ゴールド/金塊の行方』)、彼を殺す連続殺人鬼アンドリュー・クナナン役にダレン・クリス(『Glee/グリー』)が配役されている。日本ではBS10 スターチャンネルにて放送中。
1.『Patrick Melrose(原題)』
小説家エドワード・セント・オービンの半自伝的小説を、米Showtimeが全5話でドラマ化。彼の半生を5つの時期に分けて描いている。『SHERLOCK/シャーロック』でおなじみベネディクト・カンバーバッチ演じる主人公パトリック・メルローズは、上流階級育ちで破天荒なプレイボーイ。幼い頃の暗い記憶を消そうと、酒とドラッグに溺れる日々を送るが、やがて再生への道をたどり始める...というストーリーだ。本作に対する各メディアのレビューを見ると、全体的にベネディクトの演技を高く評価する声が多い。とはいえ、ベネディクトをもってしても英国貴族の破滅的な人生はアメリカの視聴者に響かなかったのか、同国での視聴率はあまり芳しくなかったようだ。アメリカでのTV視聴率をまとめているサイトによると、一話あたりの視聴者数は20万人ほど。しかし米誌Forbesの批評家は「あなたが見てないテレビの中で最高の番組」と高評価を与えている。
■3紙共通で評価が高い作品は...
一方でイギリスの日刊紙であるiNewsとGuardianもそれぞれ、2018年上半期に放送または配信されたドラマで優れたものを、ランキング形式ではないものの掲載している。iNewsは20作品、Guardianは25作品をそれぞれ列挙しており、前述のEmpire、iNews、Guardianの3媒体すべてで名前が挙がった以下の5作品、『Save Me』『A Very English Scandal』『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』『ウエストワールド』『Patrick Melrose』は、おしなべて評価が高い。
上記ランキングの作品の中にはまだ日本に上陸していないものもあるが、今後日本で見られるようになる可能性も高いはずなので、楽しみに待ちたい。(海外ドラマNAVI)
Photo:
『ジ・アメリカンズ 極秘潜入スパイ』シーズン6 (C)2018 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.
『ウエストワールド』シーズン2 © 2018 Home Box Office, Inc. All rights reserved. HBO® and related channels and service marks are the property of Home Box Office, Inc.
ベネディクト・カンバーバッチ (C) Twocoms / Shutterstock.com
『アメリカン・クライム・ストーリー/ヴェルサーチ暗殺』 ©2018Fox and its related entities. All rights reserved.
ヒュー・グラント (C) Isabel Infantes