長年にわたり、映画俳優は(役者のステータスとして)TV俳優の上に位置付けられる存在だった。しかし近年では、よりフレキシブルに製作できるケーブル放送や動画配信サービスが発達したことでTVドラマへの評価が高まり、また、女性にとって望ましい役柄が用意されているという理由で、大スクリーンのトップ女優たちがお茶の間に登場する機会が増えている。2018年秋から2019年はじめにスタートするTVドラマにも、まさにハリウッドを代表するA-リスト女優たちが多数出演している。その中から、米Entertainment Weeklyは8人の女優をピックアップ。日本でも人気の高い彼女たちがどんな作品に出演するのか、昨日の前編に続き、今日は後編をご紹介しよう。
映画界からTV界へ ハリウッド女優たちの挑戦
■レジーナ・ホール(『Black Monday(原題)』)
他の女優たちと比べ、日本ではTVドラマでの印象が強いかもしれないレジーナ・ホール。『アリー・myラブ』のコレッタ役で知名度を上げ、最近ではアフリカ系アメリカ人が物語の中心となる米ABCの『Black-ish(原題)』や、米HBOの『インセキュア』などでも活躍している。
レジーナが新たに出演する米Showtimeの『Black Monday』は、ドラッグあり、セックスありのウォール街を舞台に、株が大暴落した1987年10月19日、通称"ブラックマンデー"を描くコメディドラマ。コネと上流階級の血筋が物を言うウォール街で、エリートとは関係ない部外者が、いまだに謎とされる大暴落の原因に迫る。同じくブラックマンデーを描いたレオナルド・ディカプリオ主演映画『ウルフ・オブ・ウォールストリート』よりも、現実的な内容になるようだ。レジーナは、銀行家のドーンという役で登場する。放送は2019年はじめを予定している。
■ダイアン・レイン(『ハウス・オブ・カード 野望の階段』)
昨年10月、Netflixの『ハウス・オブ・カード』は5シーズンにわたって主演を務めていたケヴィン・スペイシーに未成年の少年へのセクハラ疑惑問題が浮上したことを受け、彼を解雇することに。その後、撮影は無期限延期になっていたが、クレア役のロビン・ライトを中心としたシーズン6(ファイナルシーズン)の製作を決断した。
この不穏な空気を断ち切るべく、ファイナルシーズンの新レギュラーに選ばれたのが名女優ダイアン・レイン。2002年の『運命の女』でアカデミー賞をはじめとする数々の映画賞にノミネートされ、翌年公開の主演映画『トスカーナの休日』は全米でロングランヒットを記録した。『マン・オブ・スティール』から始まったDCエクステンデッド・ユニバースにもスーパーマンの育ての母親マーサ役で登場している。
今作がダイアンにとっては初のTVシリーズレギュラーとなり、同じく新キャストのグレッグ・キニア(『フィリップ・K・ディックのエレクトリック・ドリームズ』)と姉妹の役で、クレア・アンダーウッドの仇敵となる役どころで存在感を示している。ダイアンが出演する『ハウス・オブ・カード』ファイナル・シーズンとなるシーズン6は、Netflixにて11月2日(金)より配信中。
『ハウス・オブ・カード 野望の階段』シーズン6詳細はこちら
■エマ・ストーン(『マニアック』)
『小悪魔はなぜモテる?!』『ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜』『アメイジング・スパイダーマン』などでキャリアを重ね、2016年最も話題を呼んだミュージカル映画『ラ・ラ・ランド』で夢と恋にもがく主人公ミアを好演し、翌年の賞レースでは主演女優賞を一網打尽にしたエマ・ストーン。
9月からNetflixで配信がスタートした『マニアック』では、2007年に『スーパーバッド 童貞ウォーズ』で共演したジョナ・ヒルとともに主演を務めている。本作の舞台は、現代世界に似ているものの何かが異なる時代。どこかうまくいかない日々を過ごしていたアニー(エマ)とオーウェン(ジョナ)は、より良い人生を求めて、失恋による傷心から精神疾患まで、ありとあらゆる心の不調をすべて治すという最先端の治療に魅せられ臨床試験プログラムに参加し、新薬によって脳が見せる不思議な世界を体験することに。アニーとオーウェンは現実と脳が生み出す世界の出来事に困惑するが、やがて別の世界に生きていた二人の世界が重なり始める。
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■ケイト・ブランシェット(『Mrs. America(原題)』)
2004年公開の『アビエイター』でアカデミー賞助演女優賞、2013年の『ブルージャスミン』で主演女優賞に輝き、第80回アカデミー賞では『エリザベス:ゴールデン・エイジ』と『アイム・ノット・ゼア』で、主演&助演のダブルノミネートという快挙を成し遂げた演技派女優ケイト・ブランシェット。
ケイトが出演するのは、米FXの『Mrs. America』。こちらは秋の新作ドラマではなく2019年に製作開始予定のドラマだが、ケイトのTVシリーズ初レギュラーということと、製作総指揮も同時に担うとあって注目されている一作だ。本作は、70年代を舞台に男女平等憲法修正案を認可させる運動を描く実話を基にした全9話構成のミニシリーズで、ケイトは現代のフェミニズムに反対する保守派積極行動主義者として知られるフィリス・シュラフリーという実在した人物を演じる。クリエイター兼脚本は、『MAD MEN マッドメン』を手がけたダーヴィ・ウォーラー。70年代に起こった文化的闘争の中で最も困難を極めた"戦い"により、いかにして保守的な大衆が台頭し、米国の政治状況に変化を起こしたかがテーマになるという。
(海外ドラマNAVI)
Photo:
レジーナ・ホール(C) FAM020/FAMOUS
ダイアン・レイン(C) David Giesbrecht/Netflix
エマ・ストーン(C)オリジナルシリーズ『マニアック』
ケイト・ブランシェット (C) Hubert Boesl/FAMOUS