タイトルを見ると、家族と一緒には鑑賞できない、きっとおバカなコメディなんだろうと思ってしまうが、中身は意外と考えさせられるのが、現在Netflixで配信中の『セックス・エデュケーション』だ。地上波ではなく、メンバー制のストリーミングということでちょっと過激なシーンもあるが、思春期真っただ中の高校生の性をまっすぐに描き、高評価を得ている。主演は『ヒューゴの不思議な発明』(マーティン・スコセッシ監督)のヒューゴ役で人気を得た可愛い系英国男子のエイサ・バターフィールド。また、『X-ファイル』のスカリー役で知られるジリアン・アンダーソンが彼のちょっと変わった母親を好演している。
◆セックス・セラピストはクラスメイト
オーティスは少し内気で、人付き合いが苦手な16歳。友達は、自分がゲイであることを公表しているエリック一人のみ。もちろんガールフレンドはいない。それどころか、自慰行為さえ上手くできない。というのも、セックス・セラピストで超オープンな母親から影響され、性に関してのトラウマがあるからだ。
そんなオーティスだが、ある日、ちょっと不良っぽくて、学校一クールな女の子のメイヴ(エマ・マッキー『Badger Lane (原題)』)と話すようになり、日常が急変。同級生を相手にセックス・セラピーを行うことになったのだ。最初はつまずくオーティスだったが、そこは蛙の子は蛙。もともと落ち着きのある性格も手伝って、本物のセラピスト顔負けのアドバイスを悩める級友に次々と与えていく。このセラピストの真似ごとを通して、オーティスは自分の居場所を次第に見つけていくのだ。
◆新しい視点の青春コメディ
部屋の隅っこにいて、とにかく事を荒げず気づかれず、存在感がない人間でいたい。そう願う内気な男の子が、するりと人の心のなかに入り込み、同級生の直面するちょっと恥ずかしい悩みをサラリとすくいとっていくこのドラマ。
Washington Post紙は、オーティスが同級生に与えるアドバイスは優しさにあふれ、的確であることに注目。そして、ティーンのセックスという居心地の悪いテーマに対しての、脚本の素直なアプローチに高評価を与えている。
New York Times紙も同じように、テーマへのアプローチに対して評価するレビューを掲載。ティーンを主人公とした学園ドラマを新しい視点で描いた作品と書き、「クリエイターのローリー・ナンは、これまでに見たこともない10代のセックス・コメディを作ることに成功した」としている。奥手なティーン男子を主人公にしたコメディは、往々にしてどうやって初めての夜を迎えるかということに終始しがちであるのに対し、『セックス・エデュケーション』は性の問題を通して、自分がどういう人間なのか、そして他人とどのような関係を築いていくべきかをコメディタッチで考えさせてくれると高評価だ。
とはいえ、やはり家族と一緒には見づらいという場合は、同性の友達と一緒に、もしくは一人で見て欲しい。温かい気持ちにさせてくれることは間違いない。シーズン2への更新も決まった『セックス・エデュケーション』はNetflixにて配信中。(海外ドラマNAVI)
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Netflixオリジナルシリーズ『セックス・エデュケーション』は独占配信中。