『ヴェロニカ・マーズ』シーズン4は、2004年にスタートした人気シリーズの最新章。テレビシリーズは2007年に放送を終えたシーズン3で一時幕を下ろしていたが、クラウドファンディングで費用を調達し2014年に映画化を果たした。最新のシーズン4は、米Huluにより実現。7月中旬から配信が始まっている。
趣味の放課後探偵、本職へ
カリフォルニアに住む女子高生・ヴェロニカ(クリスティン・ベル)は、絵に描いたような優等生。しかし学費を稼ぐために危険な探偵業を始め、元保安官の父・キース(エンリコ・コラントーニ)とともに数々の難事件を解決。消息を絶った母親の追跡から、親友・リリー(アマンダ・セイフライド)の殺害事件や連続レイプ魔への挑戦などに至るまで、数々の修羅場を踏んできた。
高校卒業後は法律家の道を目指すも、故郷への愛着を捨てきれなかったヴェロニカ。ニューヨークの有名校への進学を諦め、長年付き合ってきたローガン(ジェイソン・ドーリング)の住むネプチューンの街に戻ると、探偵稼業で食べていくと腹を決める。
久々の復活となる今期は、地元大学の春休み期間中に起きた爆破事件からスタート。若者たちで華やぐビーチが一瞬にして惨劇の舞台と化し、街の主要産業である観光業にも深刻な悪影響が出てしまう。遺族から事件解決を託されたヴェロニカは、愛する街の窮状を救うために危険な依頼を引き受ける。
ファンでも初見でも満足のリブート
近年、時を越えた続編の製作がひとつのブーム。9年ぶりに息を吹き返したファミリードラマ『ギルモア・ガールズ』や1990年代に社会現象を巻き起こした大人気青春ドラマ『ビバリーヒルズ高校白書/青春白書』などの既に放送スタートしているものから、レズビアンの生活を大胆に描いた話題作『Lの世界』や『刑事ナッシュ・ブリッジス』などこれから公開予定のものまで、企画が多く報じられている。
どれだけ時間が流れてもキャラクターの内面は成長しないもの、と米USA Today。本作のヴェロニカも例外ではないが、ルックスは大きく変化している。大人のファッションに身を包んだ彼女に高校生の面影は感じられず、凛とした探偵らしさを醸し出す。
素晴らしい復活、と再開を歓迎するのは米New York Post紙。高校時代のバッグをヴェロニカがいまも愛用しているなど、ファンならほっこりするようなイースターエッグが楽しい。ストーリーについても、愛と友情と鋭い舌鋒にファンは満足するだろうと同紙は述べている。さらに、学校を舞台とした旧シーズンにとらわれすぎず、ビーチでの爆破事件にストーリーを絞ったのも好判断。シリーズ初見の視聴者も違和感なく観始めることができ、引き込まれることうけあいだ。
謎解きも恋愛もじっくりと
本格的な謎解きが毎話興味を引く本シリーズ。予想外の展開を見せる捜査の行方、奇妙な証拠品、そして推理を誤った方向に誘導するワナなど、数々のトラップが視聴者を翻弄する。しかし、こうした趣向よりもなお魅力的なものがある、とUSA Todayは紹介する。それは、ヴェロニカとその彼氏・ローガンの関係だ。今シーズンではとくに時間をかけ、成熟した二人の大人な恋愛を甘く優しいタッチで描いている。
TVからストリーミングに媒体を移したことで、よりアダルトな表現も可能になった。色気のあるシーンや罵り言葉などの増加をNew York Post紙は歓迎。TVであれば放送がためらわれるような言葉が飛び交い、シーンにパワーを与えるほか、ヴェロニカとローガンの恋愛パートにもかなりアダルトな描写が増えている。(海外ドラマNAVI)
Photo:『ヴェロニカ・マーズ』シーズン4
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