大ヒットドラマ『Glee/グリー』のブレイン役でブレイクし、実在した連続殺人犯に扮した『アメリカン・クライム・ストーリー/ヴェルサーチ暗殺』ではゴールデン・グローブ賞とエミー賞を獲得したダレン・クリス。米Entertainment Weeklyによれば、そんな彼がNetflixの新作ドラマ『ハリウッド』で演じるレイモンドは、巨匠スティーヴン・スピルバーグがモデルになっているという。
本作は、夢と希望にあふれる第二次世界大戦後のハリウッドを舞台に、ハリウッド黄金期のきらびやかなカーテンに隠された特異な世界を垣間見せながら、今日まで続く不平等なシステム、人種やジェンダー、セクシュアリティにまつわる偏見に着目し、さらに長年根を張ってきた権力構造とそれが崩壊していれば実現したであろうエンターテイメント業界を描く。
「私は実在する人と架空の人をブレンドしてみたかった。だから架空のキャラクターでも現実的な特質も持っているんだ」とマーフィーが話す通り、ひと昔前のハリウッドを舞台にした本作のキャラクターには、現代の我々も知る映画人の要素が盛り込まれている。
ライアンと4度目のタッグとなるダレン演じるレイモンドは映画監督志望の青年で、本作のオリジナルキャラクターだが、ダレンはEntertainment Weeklyのインタビューで同役を演じる上で若き頃のスティーヴン・スピルバーグから特に大きなインスピレーションを得たことを明かした。
「ジョン・ヒューストン(『黄金』でアカデミー賞監督賞・脚色賞受賞)やセシル・B・デミル(『地上最大のショウ』でアカデミー賞作品賞受賞)など、役作りで参考にした当時の映画製作者は大勢いる。でも、ライアンから早い段階でスピルバーグの初期のインタビューを見るよう勧められた。彼はもちろん1940年代の人ではないけど、その決意や意欲、野心には、当時の偉大な映画製作者と非常によく似た古典主義を感じたんだ」とダレン。
レイモンドのほかにも架空のキャラクターが多数登場する一方、実在の人物を演じるキャストも多い。ここからは本作に登場する実在の人物と彼らの経歴を紹介しよう。
■ロック・ハドソン(演じるのは『トップガン マーヴェリック』のジェイク・ピッキング)
『心のともしび』『夜を楽しく』といったロマンス作品で活躍した俳優。1985年に亡くなる前、有名人として初めてエイズであることを告白した。
■ハティ・マクダニエル(演じるのは『シカゴ』のクイーン・ラティファ)
1939年の映画『風と共に去りぬ』のメイド役でアカデミー賞助演女優賞を受賞。初めてオスカー像を手にした黒人女性としてハリウッドの歴史を作った。しかし、当時の人種隔離政策により授賞式会場でも隔離されたテーブルに座らざるを得なかった。
■ヘンリー・ウィルソン(演じるのは『ビッグバン★セオリー ギークなボクらの恋愛法則』のジム・パーソンズ)
ハリウッドで最も悪名高い芸能エージェントの一人で、ロック・ハドソンやタブ・ハンター(『くたばれ!ヤンキース』)を発掘。俳優を育てるために多額の投資をしていたこともあり、亡くなった時は無一文だったと言われる。
■アンナ・メイ・ウォング(演じるのは『HAWAII FIVE-0』のミシェル・クルージック)
中国系アメリカ人として初のハリウッド女優。映画・TV・ラジオなど様々な分野でキャリアを築いた。最もよく知られているのは、マレーネ・ディートリッヒ主演の『上海特急』。本作では、中国人女性が主人公の映画『大地』で主演を白人女優(ルイーゼ・ライナー)に奪われるという彼女のキャリア最大の失望にフォーカスする。
■ルイーゼ・ライナー(演じるのは『クリムゾン・リバー2 黙示録の天使たち』のカミーユ・ナッタ)
1936年の『巨星ジーグフェルド』と1937年の『大地』で2年連続アカデミー賞主演女優賞を受賞した最初の女優。ユダヤ系の両親のもとに生まれたドイツ出身のルイーゼだが、『大地』では中国人女性を演じた。
■スーザン・ヘイワード(演じるのは『NCIS ~ネイビー犯罪捜査班』のマリー・オルデンバーグ)
1947年の『スマッシュ・アップ』で初めてアカデミー賞主演女優賞にノミネート。その後、『愚かなり我が心』『わが心に歌えば』『明日泣く』でも同賞候補となり、実在の死刑囚に扮した1958年の『私は死にたくない』で念願の受賞を果たした。
■ヘッダ・ホッパー(演じるのは『アメリカン・クライム・ストーリー』のホリー・カプラン)
女優から転身した、有名なゴシップコラムニスト。マーフィーの『フュード/確執 ベティ vs ジョーン』にも登場したキャラクターで、こちらではジュディ・デイヴィスが演じた。ヘッダは1948年にリポーターとしてアカデミー賞授賞式に出席している。
■ロレッタ・ヤング(演じるのは『シェイムレス 俺たちに恥はない』のアシュリー・ウッド)
ハリウッド黄金時代の女優の一人。1947年の『ミネソタの娘』でアカデミー賞主演女優賞を獲得。クリスマス映画の定番『気まぐれ天使』でも知られる。
■ヴィヴィアン・リー(演じるのはドラマ版『スノーピアサー』のケイティ・マクギネス)
1939年の名作『風と共に去りぬ』で主人公スカーレット・オハラに抜擢され、アカデミー賞主演女優賞に輝いた。精神疾患に苦しんでいたことで知られるが、本作では別の形で描かれている。
■ガイ・マディソン(演じるのは若手俳優のアンソニー・クーンズ)
ヘンリー・ウィルソンに見出された二枚目俳優の一人。映画では、『ワイアット・アープ』『五匹の用心棒』『荒野のお尋ね者』など多くの西部劇に出演。1950年代の西部劇ドラマ『Adventures of Wild Bill Hickok(原題)』で8シーズンにわたり主演を務めた。
■ジョージ・キューカー(演じるのは『マイノリティ・リポート』のダニエル・ロンドン)
『フィラデルフィア物語』『ガス燈』『スタア誕生』『マイ・フェア・レディ』といった名作でメガホンを取った黄金時代を代表する巨匠の一人。彼がゲイだったことはハリウッドでは公然の秘密で、自身の性的指向を公言できないセレブのためのパーティを開いていたことでも知られる。
■ジョージ・ハレル(演じるのは『アメリカン・ホラー・ストーリー』のエイダン・ブリストウ)
黄金期のハリウッドの写真には独特な魅力があるが、その多くはこの著名な写真家が撮影したもの。彼はキャリアを通じてジョーン・クロフォード(『ミルドレッド・ピアース』)、ノーマ・シアラー(『結婚草紙』)、クラーク・ゲイブル(『或る夜の出来事』)らアカデミー賞に輝いたトップスターのポートレートを手掛けた。
Netflixオリジナルシリーズ『ハリウッド』は5月1日より配信中。(海外ドラマNAVI)
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『ハリウッド』
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