『HOMELAND』クレア・デインズの出世作『アンジェラ15歳の日々』が打ち切られた本当の理由

人気サスペンスドラマ『HOMELAND』でキャリー・マティソンを演じたクレア・デインズ。子役時代から『若草物語』『キルトに綴る愛』『ロミオ+ジュリエット』など様々な作品で活躍してきたクレアだが、ブレイクしたのは1994年のテレビシリーズ『アンジェラ15歳の日々』だった。しかし本作はわずか1シーズンで終了。だがそれは視聴率が原因だったわけではないようだ。米The Thingsが報じている。

米ABCで放送された『アンジェラ15歳の日々』は、アメリカのティーンネイジャーの普通の生活を描いたもので、大きな展開もないものだった。しかし、そこにはリアルな勇気、心があり、今ではトップ俳優のジャレッド・レトー(『ダラス・バイヤーズクラブ』)、ベス・アームストロング(『MAD MENマッドメン』)といった当時、新進気鋭のメンバーがメインキャストを務めていた。

開始直後から高い評価を得て、視聴率もまずまずだったが、ABCはシーズン1の終了後に打ち切りを発表。米Elleによるとそれには理由が2つあったそうだ。

有名なテーマソングもさることながら、本作はファッション業界にも大きな影響を与えた。誰もがアンジェラのような服を着たいと思い、今でもTikTokなどでは本作のシーンが毎日のように流れているし、Etsyなどでは今でもアパレルが販売されている。クリエイター、ウィニー・ホルツマン(『あなたに逢えるその日まで...』)が手がけていたが、児童虐待、アルコール依存症、同性愛嫌悪など、ティーンエイジャーが抱える非常に重要なテーマも扱っていた。また、同性愛者の学生をオープンに描いた最初の作品の一つでもあった。このようなテーマを取り上げた作品ゆえに、特に若い女性たちに支持され、女性を主体としたコンテンツが大量に作られるようになったのにも関わらず、シーズン2は実現しなかったのだ。

その1つ目の理由として、ホルツマンは、Elleに次のように語った。「"誰のための作品なのか"と言われました。"大人向けなのか、10代向けなのか"とね。お偉いさんはそれに戸惑っていたのです。"この作品に夢中になっている人たちのためのものです"という以外に答えはなかったのです」

ABCにとってはその回答は十分ではなかったようだが、爆発的なヒットでないにせよ視聴者を惹きつけていることは明らかだった。しかし、ティーン向けのドラマで大人の話題を取り上げるという大胆なストーリーを考えると、同作は少しリスキーなものに感じられたのだという。

2つ目の理由として、クレアのことが挙げられている。TVシリーズの主役に起用されたにも関わらず、クレアはシーズン2の製作には迷っていたという。というのも、彼女は大学に進学したいと考えていたからだ。学業と俳優業を両立させるのが難しいと感じていたクレア(他のキャストも同様)にとって、ロケのスケジュールはあまりにも厳しいものだった。クレアの両親は、自分の娘をシーズン2に関わらせたくないとプロデューサーに直訴したという。「クレアが本当にもうやりたくないと思っていることがわかったので、私はシーズン2を製作したいと思えなくなりました」とホツルマンはインタビューに答えている。

「脚本を書く喜びは、みんなが応援してくれて、やりたいと思ってくれるからこそ。そして、私はクレアを愛しています。だから、彼女が100パーセント乗り気でなければ、喜びやその幸福感の一部は私から消えていたでしょう。当時は言えませんでしたが、振り返ってみると、みんなが楽しんでやっていた時期に終わったのは幸いでした。もしABCがシーズン2を発注していたら、もちろんできる限りのことをしたと思います。しかし、1シーズンで終わったのは正しいことでした。これは青春をテーマにした番組で、自分の青春時代に終わったようなものです。惜しまれつつ早く終わるものがすべてそうであるように、短命で終わったこのシリーズにはオーラがありました。この作品は、まだ色々な可能性を秘めているところで終わったのです」このような事情があった本作だが、ファンは当時ABCに対して抗議をした。だがもちろんその決定は覆ることがなかった。

そんなクレアの次の出演作は米Apple TV+が製作する時代劇ドラマ『The Essex Serpent(原題)』。ヴィクトリア朝時代のイギリスが舞台となる本作で、未亡人を演じる。(海外ドラマNAVI)

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『アンジェラ15歳の日々』
© Mary Evans/amanaimages