フランス発の大人気ミステリー『アストリッドとラファエル 文書係の事件録』の新たなリメイクが、スペインで誕生した。『ペーパー・ハウス』の制作会社が手掛けるこの作品についてご紹介しよう。
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『アストリッドとラファエル』シーズン7は?キャストが撮影状況を報告
2019年に仏France 2でスタートすると日本を含む国外 …
自閉症の描き方にこだわる
2019年にフランスで始まった『アストリッドとラファエル』では、几帳面で論理的なアストリッドと猪突猛進ながらも大らかなラファエルという正反対の二人が、互いの足りない部分を補い合うことで事件を解決していく。謎解きの面白さはもちろん、二人の主人公のキャラクターと友情が多くの視聴者を惹きつけ、もうすぐシーズン7の放送が始まるほどの人気シリーズへと成長した。
その人気ぶりを受けて、2025年1月にイギリス版リメイク『ペイシェンスとビー ヨーク警察文書係の事件録』が作られたのに続き、今年7月にお披露目となったのがスペイン版の『Ágata y Lola(原題)』だ。
物語の始まりは、オリジナルシリーズや『ペイシェンスとビー』とほぼ同じ。身なりの良い中年男性が銀行から大金を引き出す。しかし、男性はその現金をすぐにゴミ箱へ捨て、自分の身体にガソリンを浴びせるとマッチに火をつけて自殺する。不可解なこの事件を調べていた主任警部のローラ・カストロは、犯罪記録を扱う部署で働く自閉スペクトラム症の記録管理担当者アガタに、同様の死に関する資料を持ってくるよう指示する。しかし、アガタは別の事件を思い出し、ローラが指示しなかった3件目の事例が記録された箱まで持ってくる。彼女は、もう一つの不可解な自殺を記憶していたのだ。さらに、これらの自殺に共通する理由について、一つの仮説を提示する。こうして出会った、型破りなローラと、几帳面で秩序を重んじ犯罪学の知識を持つアガタ。正反対の二人の間に、友情が芽生え始める――。
『Ágata y Lola(原題)』を放送するAntena 3は、スペインの人気シリーズである『ペーパー・ハウス』や『ロック・アップ/スペイン 女子刑務所』をもともと放送していたことで知られる。制作を手掛けるのは、『ペーパー・ハウス』を手掛けたAtresmediaと、Banijay Entertainmentが出資するガリシアのPortocabo。『Alma/アルマ』のミレイア・オリオルと『ヴァレリア』のエヴァ・マルティンが主役の二人を演じる。
オリジナルシリーズ同様、『Ágata y Lola(原題)』は、自閉スペクトラム症について理解を深めるきっかけとなる作品でもある。例えば、他人に触れられることへの強い抵抗感や、複数の音が同時に聞こえる状況で混乱してしまうことなどが描かれる。アガタは公共機関を使わずに自転車で通勤し、記録保管室で働く際にもヘッドホンを着用している。
作品の開発担当者で脚本も執筆したニナ・エルナンデスは、この作品を作る上で意識した点について次のように語った。「私たちが特に新しく取り組んだのは、自閉症の描き方です。アガタについては、成人してから診断を受けた人物として描きたいと考えました。これは女性に深く関わる問題でもあります(女性の自閉症は見過ごされやすい)。私たちは、このテーマを掘り下げることに意義があると考えました」 本家のアストリッドは幼い頃から自閉症と診断されていたため、この点は新鮮な脚色と言えそうだ。

エルナンデスはさらに、主役コンビの描写、フランスのパリを中心とするオリジナルシリーズに対して本作がスペイン北西にあるガリシア州ビーゴを舞台に設定した理由について、こう説明する。「スペイン版では、アガタとローラの関係から生まれる心温まる雰囲気を、より前面に押し出しています。視聴者に希望や前向きな気持ちをもたらすことが、この作品の中心的な柱なのです。また、舞台を港町のビーゴに設定し、屋外のシーンをふんだんに取り入れました。街並みや周囲の海、豊かな自然が、もう一人の登場人物であるかのように作品を彩っています」
監督の一人、マリア・トゴレスも、本作の独自性について意識した点を明かす。「この作品を企画するにあたり、私たちはほかの作品とは異なる、独自の個性を確立することを目指しました。特に重視したのは、いくつかの重要な要素です。まず映像面では、印象的な撮影技術によって自然のロケーションを際立たせること。そして、美術部門とスタイリング部門が連携し、作品全体に一貫した美的世界を作り上げることです。キャラクターについては、特にアガタの特性を描く際、ステレオタイプから脱却することを目指しました」
同じく監督を務めたオリオル・フェレールも、次のように付け加えた。「私たちは自然主義的なアプローチを採用し、過度にドラマチックな演出を避け、筋書きそのものよりも登場人物の感情を優先しました。「葛藤は、事件の細かな内容から生じるのではなく、人間関係の中から自然に生まれてきます。目指しているのは、共感でき、親密さがあり、幅広い人々に受け入れられる作品です。視聴者が登場人物たちの日常生活の中に、自分自身の姿を見出せるような作品にしたいのです」
全8話の『Ágata y Lola(原題)』は、本家やイギリス版のようにいつか日本にも上陸するだろうか。
オリジナルシリーズの『アストリッドとラファエル 文書係の事件録』シーズン1~6はU-NEXT、Prime Videoのサブスクリプション「シネフィルWOWOW」にて配信中。(海外ドラマNAVI)






