公開中の映画『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』で、ウーナ・チャップリン演じる、神秘の星パンドラを憎むアッシュ族のナヴィ「ヴァラン」役の日本版声優を務めた、田村睦心さんにインタビュー! シリーズ初参加となる本作での挑戦、そしてヴァランというキャラクターの魅力について語ってもらった。
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『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』ヴァラン役日本版声優・田村睦心さんインタビュー
──まず、世界が注目する『アバター』シリーズへの参加が決まった時の率直な感想を教えてください。これまで『アバター』シリーズはご覧になっていましたか?
実は、アフレコが終わって本作の試写を見た後に第1作と第2作を拝見しました。もちろん『アバター』という大作の存在は知っていましたが、まさか自分が出演できるとは思ってもいなかったので、オーディションのお話をいただいた時点ですごく嬉しかったですね。
第3作が初めて見た『アバター』作品だったわけですが、事前知識がなくても楽しめました。シリーズ作品ならではの単語もたくさんありましたが、それでも面白くて! 改めて過去の2作を見たら、気になることが次々と出てきました。過去2作を見た今の状態でもう一度『ファイヤー・アンド・アッシュ』を見たいです。
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──ヴァランは、これまで演じてきたキャラクターと比べてどんな位置付けの存在でしたか?
あまり経験したことのないタイプのキャラクターでした。外見や行動が恐ろしい雰囲気なので、こうした役を演じる際は低めのかっこいい声や、凄みのある声で演じることが多かったんです。しかし今回は、キリッとした顔立ちからは想像できないような「少女性」や「未熟さ」を求められました。それを表現するのが、特にオーディションの段階では難しかったですね。
私は普段、ファーストインプレッションでお芝居をさせていただくことが多いのですが、今回は見た目の印象と求められている表現にギャップがあり、そこが大変でした。
──アフレコの過程でヴァランに対する印象はどのように変化していきましたか?
当初から「悪役」だとは説明されていましたし、恐ろしい場面や襲撃シーンも多いです。しかし根底には、信じていたエイワ(パンドラの調和を保つ神のような存在)に裏切られ、過酷な目に遭い、それを自分たちの力で何とかしてきたという強さがあります。同時に、裏切られた痛みや傷も抱えているのだと感じました。そのうっすらとした寂しさを意識して演じることで、先ほどお話しした未熟さや少女性は比較的表現しやすくなりました。
アフレコを重ねるうちに「こんな表情をしていたんだ」「こういう動きをしていたんだ」という発見があり、距離感や関わり方が見えてくる中で、意外とチャーミングな面もあるのだと気づきました。
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──アフレコではどのようなディレクションがありましたか?
意外にも「なるべく高めの声で」という指示が多かったんです。ただ、それだけでは彼女の恐ろしさを出しにくいため、「ここはもう少し低い音域を使ってもいいでしょうか」と探り合いながら進めていきました。高めの声を要求されることも多かったので、そのバランスを調整しながらの収録でした。
「少し可愛すぎるので、もっと(恐ろしさを)出して」と言われることもありました。低めの声で恐ろしげに演じたり、憎しみが溢れ出るような表現も求められたりしましたね。ベースにある可愛らしさの上に、恨みや憎しみ、辛さが重なっていくイメージで、現場で試行錯誤しながら作っていきました。
──宴のシーンなど、感情が高揚して甲高い声を出す場面が印象的でした。演じる際に意識された点はありますか?
あのシーンは、実は原音(ウーナ・チャップリンの声)と私の吹替えを混ぜて使用しているんです。すべてが私の声ではなく、ウーナ・チャップリンさんの声も活かされていると思いますが、違和感なく馴染んでいると感じました。他のキャラクターも同様に、シーンによって使い分けているそうですが、その差が分からないほど精巧です。
私が確実に演じたシーンで、銃をもらって「ヤイヤイヤイヤ!」と騒いでいる場面があるのですが、そこは「銃もらって、やったぜ!」という爆発的な喜びを込めて演じました。演じていて非常に楽しかったですし、彼女の素直で可愛らしい一面を感じました。恐ろしい集団の一員ではありますが、感情豊かで魅力的なキャラクターだと思いましたね。
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──ナヴィ語にも挑戦されたそうですね。
3箇所ほどありました。台本に「ナヴィ語です」と書かれていて、非常に難しかったです。収録はしていませんが、常に「ファイヤー」に近い言葉を叫んで盛り上がっているシーンなどもあり、アッシュ族らしい勢いを感じました。
──ジェームズ・キャメロン監督は、ヴァランのことを「ただの悪役ではない」と言っていますが、一通り演じ終えてみて、ヴァランをどう捉えていますか?
一言で言えば「可愛い」に尽きます。ご覧いただければわかると思いますが、本当に可愛いんです。捕まって「やめて、待って!」みたいに情けない声を出すところなどは、勇ましい姿とのギャップが凄くて(笑)。
単なる狂気ではなく、痛みや困惑が混じった「泣き笑い」のような感情が見えるシーンもありました。「エイワに裏切られた」という信念に基づいた行動なので、何が本当の悪なのかを考えさせられますし、そうした背景を含めて非常に魅力的な存在です。
──観客として本作を視聴して、一番心が動いたシーンはどこでしたか?
たくさんありますが、個人的にはパヤカンが活躍するシーンですね。今作ではよりフォーカスされ、パヤカンをきっかけにトゥルクンたちが動く展開には胸が熱くなりました。
また、スパイダーを巡るとあるシーンも強く心に残っています。ジェイクの苦渋の決断と、それに揺れる思い、そしてネイティリの心の変化。当初は厳しい姿勢だった彼女が、最終的に情の厚さを見せる。彼らの純粋な家族愛や絆の強さが、非常に素晴らしかったです。
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──今回、洋画の吹替えもたくさん経験されていると思いますが、洋画吹替えならではの魅力は何だとお考えですか?
特に『アバター』のような映像美が際立つ作品では、映像に集中できるのが大きな利点だと思います。また、外国語特有のジョークやニュアンスは、その言語だからこそ伝わるものがありますが、日本語吹替版ではそれを日本的な「察する」ニュアンスに落とし込んで表現できます。「ここは面白い場面」「ここは怒っている」といった心情まで、よりダイレクトに伝わりやすいのが吹替版の良さではないでしょうか。
──最後に、お好きな映画や海外ドラマがあれば教えてください。
すごく昔の作品になっちゃいますけど、『天使にラブ・ソングを…』が結構好きですね。大変だったけど途中から巻き返してサクセスストーリーになる、ああいう作品を見るともう本当にぎゅっとなります。いつ見ても大好きです。
海外ドラマだと、クライムサスペンス系が好きですね。CIAものとか。結構そういう作品に関わらせていただいているのもあると思うんですが、事件が起きて大変なことになっている中で、そこに関係する人間模様とか、アニメにはない刺激を感じるというか。アクションもかっこいいので、すごく好きです!
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『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』公開情報
映画『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』は大ヒット公開中。(海外ドラマNAVI)

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