Netflixの人気シリーズ『モンスター』の新シーズン『モンスター:エド・ゲインの物語』が、再び物議を醸している。今回フィーチャーされるのは、『サイコ』の主人公ノーマン・ベイツのモデルとなったエド・ゲインだ。しかし、主演にチャーリー・ハナム(『サンズ・オブ・アナーキー』)がキャスティングされたこと、ドラマでの描写が「セクシーすぎる」として、専門家や視聴者からの批判が集中している。
-
『モンスター』シリーズ、あの悪名高いシリアルキラーは取り上げない!
ヒットメイカーのライアン・マーフィーが贈る、様々な実録犯罪を …
ジェフリー・ダーマーに続きエド・ゲインもセクシー化?
エド・ゲインは、2件の殺人を犯し、数々の死体を掘り起こしては遺体を使って衣服や家具を作ったという異常な行為で広く知られ、「実録犯罪」への関心を集めた人物である。
特に大きな批判が集まったのは、チャーリー・ハナムのキャスティングだ。その容姿が、実際のエド・ギーンとは著しく異なっており、殺人犯を不必要に魅力的に描こうとしているのではないかという懸念が強まっていた。
そもそも、このシリーズは第1シーズンでジェフリー・ダーマーを描いた際も、その描写について同様の批判を浴びている。さらに、第2シーズンではメネンデス兄弟が互いに性的魅力を感じるというサブプロットが加わり、批判はさらに集中していた経緯がある。
心理学者も言及、製作者の狙いとは?
こうした状況に対し、心理学者のAJ・マースデン博士がMirror紙の取材に応じ、キャスティングについて言及している。
マースデン博士は、製作者であるライアン・マーフィーが「この種のグロテスクな役に、伝統的に魅力的とされる俳優を起用する傾向がある」と指摘した上で、この手法が「一部のファンは現実の殺人犯が魅力的または華やかに見えると感じている」と述べている。
さらに博士は、「中には、ライアン・マーフィーが犠牲者を軽視した形で歴史を書き換え、事件に対する世の中の記憶を変えてしまっている、とまで言う人もいるでしょう」と、このセクシー化が持つ危険性について懸念を表明した。
一方でマースデン博士は、マーフィーの狙いは最終的に「これらの凄惨な殺人事件について議論を喚起し、彼の作品の視聴者を引き込むことにあるのだろう」とも推測している。また、マーフィーが事実に基づき過度なセンセーショナリズムを避ける限り、チャーリーのキャスティング自体に問題はないという見解も示した。
しかし、最後に博士はこう締めくくっている。
「むしろこれは、実録犯罪物語がメインストリームの観客にいかに商品化されているかという繰り返される問題を浮き彫りにしています。被害者の尊厳を守り、犯罪の事実に正確であることが重要です」
実録犯罪を題材とした作品において、真実の追求とエンターテイメント性の間で、製作者が取るべき倫理的配慮が改めて問われていると言えるだろう。
『モンスター:エド・ゲインの物語』はNetflixにて独占配信中。(海外ドラマNAVI)