長寿人気シリーズ『NCIS ~ネイビー犯罪捜査班』から生まれた最新スピンオフ『NCIS:トニー&ジヴァ』が、従来の枠組みを大きく超える新たな試みで注目を集めている。
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新たな伝説の始まり!『NCIS:トニー&ジヴァ』に登場するシリーズへの最高のオマージュとは?
長寿人気シリーズ『NCIS ~ネイビー犯罪捜査班』から生まれ …
変わるタイトル、変わらない“ドリームチーム”の絆
これまでの『NCIS』シリーズは、その頭字語がブランドとして確立されており、長年のファンにとっては親しみ深いものだ。しかし、今回のスピンオフがその意味を変えてしまうという決断は、シリーズの伝統を壊すのではないかという懸念を招いた。特に、『トニー&ジヴァ』が、どのように既存の正史と調和するのかは未知数だった。
9月4日に配信された第一話で、その謎はついに解き明かされた。トニーとジヴァの世界において、“NCIS”は「No Country Is Safe(どの国も安全ではない)」の略として新たな意味を持つことが明らかになったのだ。このフレーズは第一話のタイトルにもなり、さらに作中では二人が独自に使う危険信号として描かれている。
この大胆な変更は、本作の独自性を強く打ち出している。ヨーロッパを舞台にしたクライムドラマへとジャンルをシフトし、トニー(マイケル・ウェザリー)とジヴァ(コート・デ・パブロ)ならではの物語を『NCIS』というブランドの新たな在り方として提示したのだ。
この新定義は、スピンオフが本家シリーズへのオマージュを示しつつ、二人の唯一無二の絆を象徴する合言葉としても機能している。トニーとジヴァの歩んできた道のりを振り返れば、この言葉はまさに彼らの関係そのものを物語っていると言えるだろう。特にジヴァの物語には、故郷イスラエルやモサドからの脅威が常に付きまとっており、「No Country Is Safe(どの国も安全ではない)」というフレーズは彼女の人生を象徴している。
新たな試みが生み出す“NCIS”らしさ
『トニー&ジヴァ』は、本家フランチャイズから明確な距離を置いている。唯一の明確なつながりは、タイトルロールを再び演じるマイケルとコートの存在だ。ジャンルも変わり、舞台となるヨーロッパもシリーズ初。さらに、二人が揃って登場するのは実に5年ぶりである。
この時点で、すでにファンの愛する『NCIS』の世界観からは大きく離れている。“NCIS”という言葉の意味までもが変わってしまえば、さらに距離が生まれるのでは、そんな不安を抱えてプレミアを見たファンも多かったはずだ。
だが、実際に作品に触れてみると、この変化こそが今作に必要不可欠な要素だったと気づかされる。
第一話は、トニーとジヴァが平穏な市民生活を送ろうとするところから始まる。しかし、トニーの“相変わらず”な判断で、すぐに大きなトラブルに巻き込まれる。インターポールでの資金流出事件の調査中に、彼らの娘であるタリの居場所が犯人に突き止められ、絶体絶命の危機に陥るのだ。
この絶望的な状況で、トニーは助手の協力を得て、暗号化したシグナルをジヴァに送る。ジヴァがそれを解読すると、画面に映し出されたのはおなじみの「NCIS」の文字。その意味は「No Country Is Safe」へと拡張され、これが二人にとっての“危険信号”として機能することが明らかになる。
シリーズへの最高のオマージュ
この“NCIS”の新たな定義は、逆にトニーとジヴァ、そしてシリーズへの最高のリスペクトと言えるだろう。本家シリーズの登場人物やNCIS本部の存在が必須ではないヨーロッパを舞台にした逃亡劇だからこそ、あの頭字語を二人だけのアラートにすることで、彼らが『NCIS』で培った絆と物語の軸を保っているのだ。
かつて“所属していた場所”は、今やお互いのセーフティコードとなった。これ以上に象徴的なオマージュは存在しないだろう。
この変化は、スピンオフそのものの立ち位置をも示している。単にタイトルを借りるだけでなく、その意味を大胆に再構築することで、トニーとジヴァという唯一無二のキャラクターが、新しい場所で自分たちの色をつけながら『NCIS』というブランドを再定義していく。この試みこそが、最も”らしい”形で本家への愛を示しているのである。
『NCIS:トニー&ジヴァ』はParamount+(パラプラ)で独占配信中。(海外ドラマNAVI)
参考元:Collider