ついに日本でもU-NEXTにて独占配信がスタートした『ポーカー・フェイス』シーズン2。『ウィキッド ふたりの魔女』のシンシア・エリヴォが出演する第1話「ゲーム再開」はまさに視聴者を驚かせるエピソードだったが、その舞台裏をご紹介しよう。
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ライアン・ジョンソンもお気に入りのエピソード!
「五つ子の謎」という奇想天外なアイデアに、クリエイター兼監督のライアン・ジョンソンは「最高にクレイジーで素晴らしい」と興奮し、挑戦を決意した。
ジョンソンは、最新のデジタル技術に頼るのではなく、“昔ながらのカメラトリック”でこのエピソードを完成させることを目指した。それは、シーズン1で確立されたヴィンテージな世界観を崩さずに、古典的な演出の面白さを最大限に引き出すためだ。「私にとって大事なのは、『お熱いのがお好き』やフランスのファルス劇(ドタバタ喜劇)のように、ドアから入り別のドアから出て、すれ違いや“別の人物になりすます”場面の楽しさを最大限に引き出すことでした」とジョンソンは語っている。
職人技とアナログな工夫が光る撮影現場
この複雑な撮影を実現するため、ジョンソンはすべてのショットの絵コンテと撮影マップを綿密に作成。
「コンテを描きながら、単にビジュアル面だけでなく、どう物語を伝えるかも考える必要がありました。どのキャラクターが登場し、どのカメラをどのタイミングで、どのセットアップに配置して撮るのかまで計画しました」
さらに、撮影効率を上げるため、すべてのアングルに番号を振り、「この衣装ではアングル1から3を撮影する。その後はカメラ2と3はそのままにして、この2つをカバーする」といった具合に撮影を進行させていったという。
撮影監督のジャロン・プレサントもまた、アナログな工夫を凝らしたと明かす。リハーサルの時間を使って、スプリットスクリーン(分割画面)やダブル(代役)を使う場所を事前に決定。シンシア・エリヴォが演じるすべてのキャラクターには、台詞を完璧に覚えた代役がウィッグと衣装を身に着けてスタンバイし、シンシアがリアクションできるよう現場でサポートした。シンシアは部屋の中を走り回り、次々とキャラクターを演じ分けていったのだ。
複雑な編集も“昔ながらの手法”で
編集においても、昔ながらの手法が駆使された。編集者のボブ・ダクシーは、アンバーがフェリシティに初めて出会うシーンについて、「アンバー入りのカットを何度も、フェリシティ入りのカットも何度も撮影しました。そのぶん選択肢が増え、エリヴォの演技を自分が望むだけ自由に組み合わせることができました」と語る。
完璧な役作りの鍵はヘア&メイクと衣装にあり
この難易度の高い撮影を成功に導いた最大の功労者は、なんといっても五つ子を一人で演じ切ったシンシア・エリヴォだ。「このエピソードを10日間で撮影できたのは、彼女のおかげでした」とジョンソンは絶賛する。
それぞれのキャラクターを個性豊かに演じるため、シンシアはヘアスタイルや衣装が極めて重要だったと語る。
「同じ顔だけれど、全く異なる人生経験を持つ人たちに見せたかったんです。そのことがコメディとしての面白さを高め、視聴者がそれぞれの女性たちに抱く感情にも影響すると考えました」
例えば、大学教授のセシーには、シンシア自身がフランス語の要素を加えた。脚本にはなかったこのアイデアを、ジョンソンは快く受け入れたという。また、農家のデリアについては、「できるだけ誠実に、良い人生を送ろうと努力している女性として、観ている人に彼女を好きになってほしかった」と語る。
複数のキャラクターを演じ分けるため、撮影は「ほとんどすべてのキャラクターを2回ずつ撮影したようなものでした」とシンシアは振り返る。衣装やメイク、ヘアスタイルを何度も変更しながら、キャラクターを切り替えていく作業は、まさに“頭が爆発しそう”なほど大変だったという。
「それぞれが違う動きやしぐさ、座り方、話し方をし、声も違う。切り替えるたびに、今どのキャラで、どこにいて、どんな声と仕草で、どんな見た目かまで全部思い出してやらなければいけません」とシンシアは語る。困難な役どころではあったが、「演技の幅を思い切り発揮できてとても楽しかった」と語るシンシアの熱意が、この驚くべきエピソードを完成させたのだ。
『ポーカー・フェイス』シーズン1~2はU-NEXTで独占配信中。(海外ドラマNAVI)
参考元:Variety