アストリッドになりきるためのルーティンが明らかに!『アストリッドとラファエル』特番取材レポート

フランス発の大人気犯罪ミステリードラマ『アストリッドとラファエル 文書係の事件録』シーズン5が、NHK総合にて4月6日(日)23:00より放送される。それに先駆けてキャストが来日し、特別番組収録も行われた。その特番用に、アストリッド・ニールセン役のサラ・モーテンセンと日本語吹き替え版でアストリッドの声を担当する貫地谷しほりが対談。和気あいあいとした雰囲気の中、互いに聞きたいことを質問し合った収録模様をお伝えしよう。

日本での撮影実現は?思いを語り合う

貫地谷:日本に来たのは今回が初めてですか?

サラ:2回目です。ただ、前回来た時は仕事だったのでまったく時間がなくて、撮影現場以外を目にすることができませんでした(苦笑)

貫地谷:そうなんですね。プライベートではこれから…?

サラ:1週間前に、もうすぐ16歳になる息子を連れて来日しました。彼と一緒に東京の街をいろいろ歩いています。息子との旅行でよくやるんですが、昼や夜に食べに行くお店を決めたら、そこまで徒歩で向かうんです。自由に歩き回って、見る場所を偶然発見するのが好きですね。ですから、ショッピングなどはせずに、ずっと東京の街を歩いてばかりいました。その中でちょっと迷うのも楽しくて、観光客がいないようなところ、日本人ばかりがいるような場所を散策するのも面白いです。

貫地谷:分かります。夫の趣味がテニスなので一昨年ローランギャロス(編集注:テニス四大大会の一つ。毎年初夏にパリで開催される)を観に行った時、パリを散策しました。その時、日本の雑貨店やおにぎりのお店が行列だったりして、日本人として嬉しかったですね。

サラ:おにぎりは最近フランスですごく人気なんです。もともと日本食自体が人気で、美味しい日本食のレストランも増えていますよ。今回の滞在中、ノルウェーのオスロにいる兄弟に毎日、日本で食べているものの写真を送っていたら、彼も日本食が食べたくなったみたいで、オスロで日本食を食べている写真が送られてきました(笑)

貫地谷:(笑)仲良しですね。

サラ:仲はすごく良いです。貫地谷さんは、アストリッドの吹き替え以外にも声優のお仕事はしているんですか?

貫地谷:そんなに経験はなくて…。だから今回のオファーが来た時は正直ビックリというか、挑戦という感じでした。

サラ:女優としてどういうジャンルの仕事が多いですか? 特に好きなのは?

貫地谷:テレビも映画も舞台もそれぞれやらせてもらっているので、どれが特に好きかと聞かれると悩んでしまいますね。

サラ:私もです。テレビも映画も舞台も好きなので選べなくて。好きなのはこの女優という仕事なんです。

貫地谷:一緒です(笑)

サラ:(笑)

アストリッドとラファエル 文書係の事件録
© Patrick FOUQUE - FTV – JLA

――アストリッドのイヤーマフやリュックのように、撮影に欠かせないものはありますか?

サラ:二つあります。一つ目は犬です。以前ベニという名前の犬を飼っていて、本当にいつも撮影現場に連れていっていました(編集注:2023年に17歳で他界)。今飼っているのはビビという名前の犬で、体重は3.5kgと小型で白黒の子です。この子も毎回撮影現場に連れていっています。もう一つは生姜です。自分で1リットルくらいの生姜ジュースを作って持っていきます。

貫地谷:生姜、お好きなんですか?

サラ:大好きです。

貫地谷:あったまるためとかではなく、味が好きなんですか?

サラ:生姜には抗菌作用があるので、撮影現場にはいいじゃないかなと思っています。味ももちろん好きですし、身体にいいところも気に入っています。

貫地谷:私は冷えるのがすごく苦手で、一度寒くなるとずっと寒くなってしまうので、足のカイロを常に欠かさず持っています。

サラ:それでいうと、アストリッドはどんな気温でも、外でも中でも同じ格好をしているんです。

貫地谷:確かに!

サラ:ですから、冬は特に足やお腹をカイロで温めたり、腰を温めるベルトを着けたりして乗り切っています。

貫地谷:えー! 私が普段使っているカイロをお渡ししたいです。

サラ:ありがとうございます。嬉しいです。

貫地谷:確かにアストリッドっていつも、ブルーのセーターと黒のパンツとコートって決まってますよね。だから、パジャマ姿を見た時にすごく嬉しかったんです。可愛かった。

サラ:アストリッドのパジャマについて制作側から意見を求められた時に私が出したアイデアが、帽子を被ること、そして靴下を履くことでした。その意図は、アストリッドは寝ている時にパジャマの下の裾が上がってしまって肌が見えるのが嫌だから、靴下を履くことで裾が上がらないようにすること。そして、前髪が額に下りていることでアストリッドは安心感を覚えることから、横になっても帽子があることでその状態が保たれるからです。

貫地谷:アストリッドはいつもぱっつん前髪で、後ろで結わえた髪も綺麗に揃ってて、そこにも性格が出てるなって思います。

サラ:すごく面白いことを言ってもらいました。アストリッドの髪型に彼女のキャラクターが見えるというのは初めて言われましたが、本当にその通りだと思います。

アストリッドとラファエル 文書係の事件録
© Patrick FOUQUE - FTV – JLA

――サラさんはアストリッドとラファエルのどちらに性格が似ていると思われますか?

貫地谷:アストリッドとサラさんは全然違う印象ですよね。最初にサラさんのInstagramを拝見した時、ビックリしたんですよ。

サラ:私の性格は、アストリッドともラファエルとも似ていないと思っています。もちろんアストリッドは自分の一部のようなものですし、彼女を演じる時には自分も撮影現場で習慣が必要になります。一方プライベートでは遅刻もよくしますし、髪もボサボサだったりします。とはいえ、ラファエルのように何かに熱中しすぎて息子のお迎えを忘れることもありません。母親、仕事それぞれに集中し、きちんとこなしています。割と大雑把なところもありますが(笑)

貫地谷:アストリッドを演じる時のルーティンはありますか?

サラ:例えば、靴、パンツといったアストリッドの衣装はずっと同じ物を身に着けています。セーターだけ新調したんですが、同じブランドの同じ色の同じ物です。リュックの中にも台本や傘といった常に同じ物が入っていますし、アストリッドのリュックは誰にも触ってほしくありませんから、撮影現場で物を移動する必要がある時、リュックは私が自分で動かすようにしています。

撮影準備の際には、まず服を着ますが、その時にすごく大事なのが、靴紐の長さがぴったり左右対称になるように結ぶこと。そして靴下とパンツの裾を2回折ります。その後、メイクをして、髪を整えて、最後に犬とちょっと触れ合って、そうするとやっと台詞が入ってきます。そういった習慣がないと、アストリッドになりきれません。

貫地谷:記者会見の時に「撮影時には、その期間に収録するすべてのエピソードの台詞を覚えておく」とおっしゃっていましたが、シーズン全話分を覚えるみたいなことなんですか?

サラ:(無言で頷く)

貫地谷:(驚いて)えー!

サラ:細かく言うと、シーズン全話を一気に撮るわけではなくて、まず最初の4話、後で残る4話という風に、2回に分けて撮影するんです。その期間に撮影する話数の内容はすべて頭に入れておきますが、把握しておくのは自分のためでもあります。というのも、まとめて撮影を行うので、一日で複数のエピソードを収録することもあり、その時のアストリッドがどの状態なのかを理解しなければならないからです。あとは、アストリッドがどういう状態なのか、どういう調査を行っているのかといったことを、シーンごとに台本で色分けしたりメモしたりもしています。そうやって事前にしっかり準備をしておいて、現場に行ったら何も考えなくていい状態にしておくと、私の中から自然にアストリッドが出てくるので、あとはアストリッドに任せて演技をしています。

貫地谷:凄い量ですからね。私は明日撮る分の台詞だけ覚えていけばいいんですが…(笑) 参考にさせてもらいます。

サラ:例えば、ラファエル役のローラ(・ドヴェール)は前日に全部覚える派です。

貫地谷:一緒だ(笑)

サラ:ローラ曰く、その前に覚えても忘れてしまうから意味がないそうです(笑) そんな風にそれぞれのやり方があるでしょうが、結局大切なのは本番で台詞がちゃんと自然に出てくることだと思います。

貫地谷さんはもともと、自閉症や自閉スペクトラム症に個人的な関わりはありましたか? この作品に関わるようになったことで視点が変わったりしましたか?

貫地谷:今回のドラマを通して、それこそテツオ役の(ケンゴ・)サイトウさんもおっしゃっていましたけど、こういう風に接すると緊張感を持たせなくて済むんだという学びはありました。ドラマを見て学ぶことはたくさんありますね。

サラ:本当にその通りですね。このドラマが描いているのは自閉症ではなく二人の女性の友情であり、違う者同士がお互いを受け入れるという寛容さがテーマです。そして変化がとても速い今の世の中にあって、テツオのような辛抱強さは素晴らしいです。アストリッドとテツオの愛というものは、男女の欲望ではなく詩的な関係性です。現代では出会い系アプリなどで人と簡単に知り合える一方でカップルになっても長くは続かないことが多いですが、愛とは時間をかけて築いていくものだというのも、このドラマが伝えている大事なことだと思います。

アストリッドとラファエル 文書係の事件録

貫地谷:この作品には日本の要素がたくさん出てきますが、日本で撮影することはないんでしょうか?

サラ:叶うかどうかは分かりませんが、そういうことがあったらいいなというのはずっと前から願っていることです。シリーズをずっと長く続けている中で、海外で撮影できたらいいですし、関係性の深い日本での撮影が実現したら素敵ですね。もしも実現したら、ぜひ二人で一緒に演じましょう。

貫地谷:お待ちしてます。

サラ:できたら本当に素晴らしいです。

貫地谷:アストリッドたちが日本にいる姿を見たいです。

サラ:私もです。

最後、サラから今後の展開が貫地谷にだけ内緒で教えられ、貫地谷が思わず大声を上げるほどビックリする一幕も。そして対談を通してすっかり仲良くなった二人は、貫地谷が話に出た足用のカイロをプレゼントしたり、子どもの写真を見せたり、一緒に写真を撮ったりもしていた。

アストリッドとラファエル 文書係の事件録

『アストリッドとラファエル 文書係の事件録』シーズン5(全8話)は、NHK総合にて4月6日(日)23:00放送スタート

アストリッドとラファエル 文書係の事件録
アストリッドとラファエル 文書係の事件録

(海外ドラマNAVI)

Photo:『アストリッドとラファエル 文書係の事件録』© FRANCE TÉLÉVISIONS - JLA PRODUCTIONS - Be-FILMS - RTBF (Télévision belge) – 2024/© Patrick FOUQUE - FTV - JLA